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【日本商業新聞 コラム】心意気と美学 -613- 野蛮国への報復(暴言)

  子供の頃覚えたしりとり歌は「陸軍の、乃木さんが、凱旋す、すずめ、めじろ、ロシヤ、野蛮国…」と続くが、ロシアという国は昔から一貫して野蛮国と思われていたようだ。どさくさにまぎれて北方領土を取られてしまった日本だけでなく、多くの国がこの意地悪な国の被害に遭っており、今もウクライナが餌食になっている。


 極寒のウクライナの命の綱ともいえる電力を空爆で奪い取っている事実は、如何に戦時中とはいえ、同じ人間として看過できない。でも「それは施政者のこと、国民は違う」と思うのが普通だが、そうでもないらしい。


 戦場でのロシア兵士の残虐極まり行動が報道されるが、それを聞くと、この国には暖かい血の流れている国民はいないと思わざるを得ない。国も国民もそろって野蛮、そんな国がロシア、いまでもすらすらと歌えるしりとり歌には根拠があった。


 北朝鮮も同じ。ミサイル発射の現場に娘を連れて行くという将軍サマの前代未聞の狂った価値判断には寒々したものを感じる。他人を殺す兵器を未成年の娘に見せる目的は何なのか、まともな脳構造を持っている人間には到底理解できない。


 体制の維持のためには常識も道徳もどこかへ追いやってしまう粗暴さは野蛮国ロシアとメクソハナクソ。そしてここでも国民は体制に逆らおうとしない。「逆らえば報復が来るから」と擁護することなかれ、心底から将軍サマを敬愛しているようだ。隣国がどうなろうと、同胞がどれだけ不幸になろうとも、将軍サマ一族のために尽くす覚悟ができているような気がする。


 そんな二つの野蛮国とそれを受容する国民を民主的に諌める手段は残念ながら無い。国連も機能しないし、アメリカもNATOも暴れ馬の暴走を恐れて武力による制裁には及び腰だ。


 トランプが政権に戻れば、またアメリカファーストなどと寝言を言い、ウクライナの人権より自国の利益にこだわるのは必至で、やりたい放題の野蛮人にさらなる自由度を与えてしまうことになる。トランプも野蛮人なのだから当然過ぎる帰結なのだが。


 ロシアには北方領土、北朝鮮には拉致被害者、日本にはやられっぱなしの歴史がある。いずれも外交努力で取り戻すつもりのようだが、この20年の空しい成果はもはや性善説に基づく交渉などありえないことを証明している。


 少なくても脳の構造の違う相手にへりくだる愚だけはそろそろ止めたほうがいいのだが、それに変わる戦術を見出すことが出来ない。団塊農耕派は右翼でも戦争礼讃派でもないが、かつての赤軍派の武力闘争に一分の理を感じるときもある。


 どうしようもなく体制が腐っているとき、そして不条理に追い詰められたとき、動物的対応を余儀なくされるのは仕方ないこと…、残念ながらそう思う。


 拉致被害者の親は心の底で、北朝鮮にミサイルを撃ち込み、将軍サマを捕らえてほしい、そして被害者の家族に北朝鮮中を自由に探させてほしい、と願っているような気がする。


 これは間違いなく野蛮行為だが、毒をもって毒を制すと言う言葉があるように、止むを得ない行為として歴史は正当化してくれるかもしれない。


 ふっくらと太った幸せそうな娘を連れた将軍サマの笑みに、拉致被害者の親はどれだけ傷ついたことか、かつて日本には「あだ討ち」と言う美徳があったが、そろそろ…。

(団塊農耕派)

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