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【日本商業新聞 コラム】-749- 化粧品開発は自由闊達に

  • 日本商業新聞
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

この四半世紀、グローバルとかダイバーシティとか地球環境とか、時代に迎合しようとしたばかりに歯車が狂ってしまい、かけがいのない社員と技術と文化を失い、取るに足りない(と思っていた)ライバルにシェアを奪われ、お客を見ていないとか、組織が硬直しているとかさんざん言われ、下剋上が当たり前の殺伐とした風土に慣らされ、気が付けば過去の栄光だけが取り柄の会社になっていく…、日本にはいまそんな会社がうんざりするほどある。



代わりに台頭してきた会社が素晴らしいのなら我慢もできるが、目くそ鼻くそで、いや格段にマイナーで、昔自分たちがやっていたことをまねしているだけ。商品だってクラゲのように骨が無く、1品珍しい具が入っているだけ、スキンケアもメーキャップも20世紀の産物のまま…。取って代わることができたのは流通を知り、小売りに媚びを売り、SNSに群がる知的でない若者を虜にしたからで、ブランドや商品が消費者の為になったためしがない。


 

〝お客を知る〟ことは基本動作だが、それが〝お客のため〟になるとは限らない。むしろ足を引っ張る行為かもしれない。トレンドだってファッションだってお客はろくなことを考えていない。メーカーの作った服を気に入れば〝これこそ私のオリジナル〟なんて言ってくれるのだ。客などなめてかかった方がいい。お客から学ぼうとする行為はその時代に露呈しているニーズに応えるに過ぎず、アウトプットは想像できる範囲で終ってしまう。


クレームや商品アイデアなどお客さま窓口に寄せられる情報をありがたがる人もいるが、まともな開発担当者なら知っていて当然のもので、そんなもので本当に目からうろこが落ちるなら低レベル開発者の証拠だ。転職したほうがいい。また企画するにあたり調査会社に市場調査などを頼むケースが増えているようだが、これも大金をドブに捨てる行為と言わざるを得ない。外部調査を義務化し、その結果報告が無ければゴーサインを出さないトップが居るそうだが、その人にも退場を促したい。会計係はクリエーターに向かない。



客のニーズの大半はメーカーが作るものだ。そして〝ああこれこそ欲しかったものだ〟と言わせることだ。アイデアや技術の前にお客をひれ伏させることだ。昔のボクたちにはそれができ、お客はボクたちのあとを歩いてきた。でも今はそうではない。この体たらくはお客を見すぎたからだ。たわいも無いニーズに耳を傾けすぎたからだ。


そのニーズだって無添加とかヴィーガンとか肝細胞とか、口先三寸の会社が見つけてきたもので、ボクたちが本当に戦いたい分野ではなかった。でもハードよりソフトが大切だなんていう風潮に負けて、地道な研究開発を怠り、言葉遊びの勝利にこだわってしまった。気がつけば大手から中小にいたるまで、似たような商品が氾濫し、お客はその優劣をつけられずに居る。



かつて化粧品の研究員の実験台の引き出しには企画担当者に売り込みたい自信作(試作品)がたくさん入っていた。企画側もそれを見るのが楽しみで研究所通いをした。今、その引き出しには何も入っていない。


提案が来たら実績のある処方を用意し訴求ワードを考えれば一件落着。その味気なさを嫌い、昔のように好き勝手に商品開発をしてみたいという研究員は多いが、錆付いた右脳を再活性化するのは無理かもしれない。

(団塊農耕派)

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