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【日本商業新聞 コラム】-750- 東大との共同研究

  • 日本商業新聞
  • 25 分前
  • 読了時間: 3分

公的な化粧品協会だと思わせる怪しげな団体となぜか俗っぽい東大の先生が絡んだ贈収賄事件が発覚して、産学協同研究のあり方を見直す機運が生まれていますが、この件はそんな高尚な話ではありません。団体も教授も営利主義に染まった人たちのようで、真面目に共同研究に取り組む人たちにとっては迷惑な存在です。



昨今、ネット通販には東大との共同研究を謳った化粧品が賑々しく載っていますが、化粧品の研究手法や効果効能を少しでも知っている人ならば、その欺瞞性を見抜くのに時間はかかりません。


卵の成分が育毛に効くと唐突に言われて半分疑い、東大の先生がそれに加担していることを知ってその組み合わせの不自然さに疑問に感じ、買う気が失せるのが常識的な消費者だと思うのですが…。



今回の事件で腑に落ちないのは、ホンモノの権威のある業界団体が音なしの構えでいることです。ニュースを見た人が本物より本物っぽい団体名ゆえにまともな学術機関だと誤解しやしないか、化粧品の世界とはそんなものだと思われやしないか、そんな心配をするのが普通ですが、いまだ釈明していません。鈍感すぎます。



たいした効果の無い商品ほどその生まれてきた背景やストーリーに拘ります。研究開発に縁の無い新参会社が富山や奈良の伝承薬メーカーを装って見せたり、大手までもがiPS細胞や再生医療研究の成果だとホラを吹いてみたり、近年その例に事欠きません。


「大谷選手との共同開発」を謳うスポーツドリンクがありますが、大谷選手はどこまで係わったのでしょうか。CMに有名選手を使うのは、知恵要らずの古典的な常法ですが、それによりその商品が売れるのなら目くじらを立てることもありません。でもどこか儚く、安普請の域を出ず、賢い消費者は「商品を馬鹿にしている」と言って去っていくような気がします。



東大との共同開発はこれまでの通念では、最高峰の優良誤認作戦と言っても過言ではなかったはずです。天下の東大がお墨付きを出しているのだから相当に凄いはず…、今回も贈賄側は消費者にそう思わせたかったにちがいありません。


でも今はそんな伝説は通用しません。ノーベル賞受賞者は京大のほうが多く、いろいろな先端技術を生むのも別の大学だし、学生も受験で培った一定の学力だけが取り柄で、飛びぬけた秀才は居ないようだし、東大は権威の象徴の座から遠ざかっています。


それに今回のふしだらな出来事が重なれば、東大ブランドはもはや失墜の象徴になっていてもおかしくありません。すでに何社かは東大云々という文言を宣伝コピーから外しているようです。



昔から化粧品業界でも医者と付き合うのはお金がかかると言われていますが、今化粧品各社の皮膚研究の水準が大学を凌ぐほどになっていることを考えれば、医者(とりわけ皮膚科医)をそれほど崇めることもないと思います。


過剰接待はまさに「盗っ人に追い銭」ということになります。今回の不幸な出来事は昭和以来の古い悪しき体質にほかなりません。それでも「良い化粧品」を作るために、良心に基づいた産学協同は必要です。見つめるのはお金や名誉ではなく消費者の肌であることを肝に銘じましょう。

(団塊農耕派)

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