top of page

【日本商業新聞 コラム】-774- 名誉男性

日本商業新聞
16 時間前
読了時間: 3分

「名誉白人」というおぞましい言葉がある。


有色人種が差別される社会において、外交や経済などで白人社会が国益を得るために法的措置として行われる場合と、白人の権利者が個人的に懇意にしている人を特別扱いする場合の2通りがある。いずれも差別されない側の人間として扱うことを約束する制度である。


南アにおいてはアパルトヘイトのさなかでも白人と同じ権利を与えられた人たちがいたし、日本人も貿易振興をもくろむ南ア政府から名誉白人として扱われて世界中から非難されていた時代があった。人種差別以上に人道的に許されない政策と言わざるを得ない。



「名誉男性」なる言葉もある。男社会の中で実力以外の方法でうまく立ち回る女性に対して、それを苦々しく思う男性たちが揶揄して付けた言葉で、属国意識からトランプ大統領に媚を売り、同じ女性なのに女系天皇を否定した我が女性宰相にも送られている。


また多くの企業はご時勢に遅れまいと女性の管理職や役員を無秩序に増やしているが、そこでは同じ実力なら、いや少しくらい劣っていても女性が登用され、結果的に「名誉男性」が増産されている。この人事政策の誤走は将来に禍根を残すと思われるが、企業はそんな懸念には目をつぶる。



10年ほど前、ある基幹産業の女性役員と女性若手企業家と3人で会食したことがある。意気投合すると本音が出てくる。役員いわく「50くらいまでは不幸だったわ。責任ある仕事は任せてもらえないし、出世は遅いし…、でも急に風向きが変わったの。私は変っていないのに。女って得よね」 企業家が相槌を打つ「実力は関係ないですね。意欲としおらしさがあれば十分。経営の知識よりもメークの勉強よ」 その場に居るのが辛くなった記憶があるが、今思えば名誉男性の本音トークに付き合ったことになる。



政治の世界に話を戻せば、女性の人権向上に一生を捧げた市川房枝さんは名誉男性ではない。男性社会を変えるにはその渦の中に入り込んで居場所を確保し、みずからも施政者の一員になって女性の味方のような顔をしていれば用は済むが、彼女にそんな選択肢は無かった。理想を曲げずに愚直に戦い抜いた稀有な人であることは歴史が物語っている。口先だけの強気と保身に明け暮れているように見えるどこかの国の女性宰相とは器が違う。



名誉男性には硬軟2通りある。一つは超保守系の男性が喜ぶような極論を吐き、そのグループで存在感を維持する人。重箱の隅をつつく様に男性優位社会を口汚くののしる女性評論家や中韓を蔑視する右翼系の政治家や評論家がそれに属する。唐突に国旗損壊罪を制定したり、男性優位の皇室典範をさらに揺るがないものにした件の女性宰相はこのタイプだ。


もう一つは主義主張などどこ吹く風で、男性社会の歯車の一員を自認し、サシミノツマであることを恥じない女性たち。数合わせで議員に当選した元人気タレントや、トゲの少なさとトップへの従順さが認められて分不相応な昇格に浴した女性社員がこれに属す。



「名誉男性」は過渡期の現象。いずれ後ろ指を刺されない実力者が登場してきてこの言葉

を死語にするだろう。そこは団塊農耕派がこれまで見たこともないフランクな世界に違いないが、一方で男らしさ女らしさを失った味気ない世界かもしれない。

(団塊農耕派)

コメント


bottom of page