top of page

【日本商業新聞 コラム】-769- たかが化粧品、されど化粧品

  • 日本商業新聞
  • 4 時間前
  • 読了時間: 3分

「化粧品は中身じゃないよ。売り方だよ、宣伝だよ」

「ハードよりもソフトが大切だ」、そんなうんちくを垂れる人は意外に多い。


愚直に化粧品を作ろうとする人を「融通の利かないカタブツ」として見下す。そしてあろうことかそんな奴ほど出世が早い。そんな風潮を嘆いて大手化粧品会社の元研究所長は「たかが化粧品、されど化粧品」と言い、化粧品と研究員の尊厳を守ったが、いまや業界は「たかが族」が氾濫している。



そもそも研究などに興味がなく、手軽に商品を作り、いや調達し、その価値を数倍に膨らませて消費者に伝える。そしてその仕組みを考えるのが有能なマーケッターだと豪語する。インフルエンサーなる社会悪もこの発想上で生まれた仇花だ。


かくして夜中のBS放送は有象無象の通販化粧品会社の独壇場。どこから見ても胡散臭い商品が美辞麗句を弄して売られている。「母のために作った商品」や「東大で研究した商品」や「再生医療やiPS研究から生まれた商品」などを賞味期限切れのタレントが絶賛推奨している。


P&G社が開発したはずのナイアシンアミドなど釣りの餌として格好らしく、〝自社開発〟と偽って売りまくる会社が後を絶たない。大幅な値引きと購入をせかす脅迫文句で正体が分かりそうなものだが、意外と簡単に消費者は財布のひもを緩めるようだ。



聞き捨てならない広告コピーに絶句する。笑ってしまうほど信用ならない商品が累計1千万個も売れていると言うのだ。虚無感に襲われる。


時間をかけて真面目に研究し、小売り1店1店とともに真摯に創り上げた商品よりはるかに多い、桁違いの売り上げを誇っているとは。そのセールス商法が欺瞞だらけのように、この大本営発表もウソであってほしいと思ってしまう。


でもこの数字が事実だとすれば、本当に正直なメーカーは貧乏くじを引くことになる。ウソがまかり通る世界に嫌気がさせば廃業も視野に入る。ついでに騙される消費者にも怒りは向かう。オレオレ詐欺を警戒して固定電話を外すほど慎重な人ならば、こんな商法にも警戒心を持ってほしい。テレビショッピングの全てがウソだと決めつけてもおかしくないのだか

ら。



一方で未熟なために「たかが族」になってしまう可哀そうなメーカーも存在する。


本来は作りたいものが明確な「されど族」だが、新参で、耳学問ゆえにそれを実現する技術を用意出来ず、中途半端な出来栄えで終わり、気がついて見れば「たかが族」に分類されてしまうケースだ。


石油系原料や動物原料は絶対にイヤ、フェアトレードは必須、バイオは歓迎、添加物は一切ダメ、イスラム圏にも受容、そのくせスキンケア効果はクレドポー並み…、 夢に追い付く技術が無く、OEMメーカーにあれもこれも削られて陳腐な商品でお茶を濁す自称ベンチャーコスメは少なくない。テレビショッピング常連の「正統派たかが族」ほど悪質ではないが、消費者を欺くと言う点ではメクソハナクソと言うことになる。



化粧品会社は株式欄では「化学会社」に入れられている。サービスやファッションの会社ではない。ならば技術立社を目指すのが本筋だ。良い商品を作れば客は勝手についてくる、と泰然としていればいい。商売下手の負け惜しみと言われようが。

(団塊農耕派)

コメント


bottom of page