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【日本商業新聞 コラム】-754- ○○フリーがもたらす災い

  • 日本商業新聞
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

「最近のクライアントさんの要望は皆おなじ。まるで生成AIも使って提案書を書いているようだ」最近聞いた某OEM会社の社長の嘆きの言葉だが、それほど昨今はOEM会社にお願いする化粧品の特徴が似ているそうだ。


同時に彼はこうも嘆いている。「足し算で作ってきた良かれと思う化粧品は門前払いされ、代わりにあれもダメ、これもダメと配合する原料にナンクセをつけ、素うどんみたいなった引き算の化粧品を求めてくる」



化学のにおいのするものが嫌われるようになったのは20世紀の後半だが、その内容は年々露骨、いや宗教的になり、いまや新しいスケープゴートを見つけることがそのブランドの生命線になっている。


香料も界面活性剤も防腐剤も今の製剤技術では全く問題ないのに、いや天然原料よりはるかに安心なのに、極悪視され、限られた素材で処方つくりをせざるを得ないOEMメーカーは路頭に迷うことになる。



こうしてスキンケア効果も無く、安全性も安定性もおぼつかなく、ただただ「自然派」だけがとりえの商品が市場に氾濫し、小売りも消費者もそれを有難がる。情けないとしか言いようがない。


とりわけこの種の人たちは石油由来の原料を嫌う。ところが幸か不幸か今、トランプさんの愚挙のお陰で、石油の供給に暗雲がかかっている。それほど石油が嫌いならば、この輸入の停止を歓迎して、原始の生活に戻ればいいと思うのだが、そうはしない。石油文明の恩恵を放棄したりはしない。ご都合主義なのである。点滴の袋も、歯ブラシも、トイレットペーパーもなくなったら困ると思っており、無くなれば行列の先頭に並ぶ人たちなのである。



しかし信念がグラグラなのは彼らだけではない。化粧品業界の体質にも問題はある。欧米の化粧品がデータさえあれば効果効能を自由にうたっていいのに対し、日本では医薬部外品という息抜きがあるだけで、肌への画期的な効果は何一つ言えないのである。


化粧品の世界では、莫大な費用と年月をかけて原料と商品を開発しても、その後雨後の筍のように登場してくる追随品(模倣品)と同列化されてしまうのである。



優位性を説明したくても、すればお縄になるのだから指をくわえて我慢するだけ。これでは開発マインドは高まらない。直球勝負の愚直な開発などバカバカしくてやってられなくなり、くだらない成分戦争でお茶を濁すメーカーが増えることになる。


一方で、メーカー側も引き算処方なら技術は要らないし、流行に乗っているし、原料代も安いし、飛びつかないテはないのである。こうしてOEM会社の開発はますます刹那的になり、ODMなど夢のまた夢、と言うことになる。だから昨今のOEM会社から優れた商品は生まれず、大手との技術力の差はひらくばかりなのである。


ところがその大手も、これまで自分たちが作ってきた土俵や文化に自虐的になり、無いものねだりに走り、海外のナチュラル志向のブランドなどを買収して大やけどをしているのだから、もはやつける薬は無いといった状態なのである。



〇〇フリーは業界に巣食う腫瘍のようなもの、そんな意識がいつまでも続けば、化粧品はますますつまらないものになってしまう。

(団塊農耕派)

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