【日本商業新聞 2026年9月21日号】Jビューティ構想本格始動
政府の「Jビューティ構想」は、日本のビューティ産業を国際市場向けに価値化し、化粧品等を輸出産業として育成する政策である。日本の化粧品輸出が伸び悩む一方、韓国コスメの日本向け輸入は2023年に約1340億円、中国コスメも3年で約2倍と台頭が著しい。(※JETRO地域分析レポート「韓国化粧品が世界に躍進」「中国の化粧品市場規模」による)
政府は競争力強化へ制度整備を進め、日本固有素材のブランド化や認証制度の導入を推進する。構想が今後10年で輸出産業化を目指す中、メーカーには研究力・品質を軸に国際市場での認知拡大が求められ、化粧品専門店は素材の物語や品質基準を伝える体験拠点として役割が高まる。(丸毛敏行)
【Jビューティ構想の全体像】
政府が掲げる「Jビューティ構想」は、日本のビューティ産業を輸出産業として育てる取り組みである。近年、日本の化粧品輸出額は2021年をピークに減少傾向にある一方、韓国コスメ、中国コスメの存在感が急速に高まっている。
こうした環境変化を踏まえ、政府は2033年度に海外売上2兆円規模を目標に掲げ、産業横断の連携や制度整備を進め、国際市場での競争力強化を図っている。構想の核となるのは、日本固有の素材や生活文化を価値として再定義し、地域資源を活用したブランド育成を後押しすることにより、地域経済の活性化と輸出産業化を両立させることだ。
【各メーカーに求められる役割】
構想の中で各メーカーは、日本ブランドの信用を支える「研究力・品質・安全性の幹」として位置づけられている。韓国コスメはSNS発のヒット創出力と開発スピードを武器に、日本のメイク市場でZ世代の支持率40%前後を獲得し、中国コスメもECチャネルで前年比150~200%成長を続けるなど、競争環境は一段と厳しくなっている。
日本の垂直統合型モデルは品質確保に強みがある一方、海外規制対応やスピード面での課題が指摘されており、政府はODMとの連携や業界横断の情報共有を促している。
メーカーに求められる役割は、日本固有成分の科学的エビデンスの確立等国際競争力の基盤づくりが中心となる。メーカーが海外展開を経営戦略の最優先事項に位置づけることで、Jビューティ全体の成長を牽引する構図が描かれている。
【専門店の役割が拡大】
「Jビューティ構想」では、化粧品専門店の役割も大きい。
第一に、地域素材や生活文化を価値として組み込むJビューティにおいて、専門店は「体験拠点としての重要性」が高まり、素材の背景や物語を伝える役割が期待される。
第二に、政府が導入を進める認証制度や品質基準を、消費者にわかりやすく伝える「品質の翻訳者」としての機能である。安全性や処方思想などの情報を生活者に橋渡しする場として、専門店の信頼性がより重要になる。
第三に、カテゴリーが多様化する市場において、専門店は「カテゴリー横断のナビゲーター」として機能する。生活者の悩みに寄り添い最適な商品を提案する専門性は、Jビューティが掲げる「生活文化の価値化」と親和性が高い領域だ。さらに、国内でのブランド体験を起点に海外展開を促すという役割も強まる。専門店での体験が、海外市場での購入につながる流れをつくることが構想の実現に欠かせない。
【今後の展望】
「Jビューティ構想」は、制度整備と産業連携を軸に、今後10年で本格的な輸出産業化を目指す政策である。メーカーは研究力と品質の基盤を担い、化粧品専門店は生活文化・地域素材を生活者に伝える「体験のハブ」として、Jビューティ時代に向けた売場づくりが重要性を増し、その役割への期待が高まっていくだろう。



コメント