【日本商業新聞 2026年9月14日号】変化する〝夏商戦〟
日本商業新聞独自の連載企画「専門店キャッチアップ9月号」(9月21日号掲載)では、年々温暖化が進む〝暑く長い夏〟に対し、今店頭ではどのような変化が起こっているのかなど、「四季から二季へと変わりゆく季節提案」をテーマに、各店の取り組みやお客様動向の変化について論及を実施。本1面では、各店の声をもとに、「専門店らしさ」が発揮できる夏の付加価値提案、あるいはどのような商品が寄与しているのかなど、今後の夏商戦のヒントとなる提案をお届けする。(中濱真弥)
■変化する〝夏商戦〟
今年の夏も各地で40度を超える酷暑日が続くなど、うだるような厳しい夏となった。9月に入ってからは、台風や前線の影響により、暑さが厳しくなる時期と和らぐ時期を繰り返す可能性があるものの、まだまだ暑さが続くと見込まれており、10月に至っても平年より暖かく、秋の深まりが遅れる見込みだと予測されている。
このように、近年〝夏〟の期間が長くなっていること、また〝四季から二季〟へと日本の季節が変化している現状に対し、化粧品専門店においてもいま一度「季節提案とは何か」を考える時がきたのではないかと感じている。
その背景について、美肌のお店いなとりの稲氏は「近年はエアコンが欠かせない日が増え、『夏なのに肌の乾燥を感じる』という相談が増加している。その為、これまでの夏であれば『さっぱりタイプ』をおすすめするのが一般的だが、あえて保湿力の高いタイプへと変更したり、美容液やミストを取り入れたりするなど、暑さと乾燥の両方に対する提案が増えてきている」と話す。
要するに、「夏だから美白」「秋だから保湿」というように、従来からの暦で区切る提案が非常に難しくなってきているということだ。
一方で、売場づくりにおいては「二季化したからといって季節感のある売場が必要なくなったというわけではない。むしろ店頭でお客様の目を引き、足を止めてもらうためには季節をひと目で感じられる売場づくりはこれまで以上に大切だと考えている」とミキヤの細川氏。
そこで季節提案を盛り上げる軸になっているブランドに目を向けると、ベネフィークやプレディア、イグニスといった、いずれも専門店専用ブランドが店頭を彩っていることが見えてきた。
■専門店専用ブランドが貢献
例えば、イグニスのサニーサワーシリーズは夏の店頭を盛り上げるアイテムとして定着。中でも今年6月に発売された「サニーサワージューシースムースマスク」は、発売から好調な動きを見せており、8月のブティックべにやミオ店の実績をみると、同商品をフックにイグニスの実績が前年比143・6%と大幅に伸長するなど売上にも大きく貢献。
その他にも、プレディア「ファンゴヘッドドライシャンプー」は頭皮のニオイケアとして注目。またベネフィーク「アイスエッセンス0」は紫外線ダメージやほてった肌を鎮めるひんやり美容液として貢献しているなど、ブティックべにや廣瀬氏は「二季化が色濃くなる環境において、専門店専用ブランドが新たなお客様との接点構築に寄与すると考えており、メーカー各社においては季節提案をこれまで以上に発信していただきたい」と期待をのぞかせる。
■進む〝パーソナル化〟
こうした変化がみられる中で、全店一致した考えが、売場も接客も〝今だからこの美容〟を大切にしたいということ。また、この〝今〟を届けられることこそが「化粧品専門店の強みだ」とも話す。コスメティックハウスリボンの柏木氏は「化粧品専門店の最大の強みは、〝今のお客様〟に合わせて美容を変えられることにある。暦ではなく、気温や肌状態、生活環境、そしてお客様の気分まで感じ取り、その時々に必要な美容を提案できる。商品を売るだけではなく、季節を感じ、美容を楽しんでいただく。この体験こそが、これからの化粧品専門店ならではの季節提案だと考えている」と力強く話す。
このように、これからの季節提案はよりパーソナル化が進むと考えられ、化粧品専門店にとっては〝追い風〟になるのでは…と感じている。



コメント