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【日本商業新聞 2026年2月9日号】専門店が選ぶ楽しさサポート

  • 日本商業新聞
  • 11 分前
  • 読了時間: 4分

今、選ぶことにストレスを感じてしまう生活者が増えているらしい。自分好みの商品を選ぶ行為自体は楽しいが、数があまりに多いと楽しさは迷いとなり、ストレスになってしまう。


そうした中、専門店ではこれまで長年取り組んできた、カウンセリングというリアルの強さを生かした活動が「わかりやすさ」という視点でも評価されている。それはお客様を理解したうえで、数ある商品を絞った提案に対してである。今後もさらにわかりやすさは大事だが、そのためにも、今以上にお店やお客様をよく知る必要がある。(半沢健一)



■選ぶことがストレス


某専門店の経営者から「時間がある時、お店においでよ」と連絡をいただいた。お店は関東近郊のターミナル駅すぐ隣にある商業ビルのテナント店。店前の通路は、異なる交通機関を結ぶ連絡通路なため、毎日数千の人が店の前を歩いている。


ひろめの店内には有名ブランドの什器が整然と配置され、大手百貨店のようなラグジュアリーな雰囲気の売場となっているが、訪れたのは平日の夜なのにも関わらず、そこまで人の数がいないのは予想外だった。今回、記者が呼ばれた理由もそれで、経営者は「きれい過ぎてお客様が敷居を感じているのではないか」と説明していた。


ただ、記者は経営者とは違っていた。確かにお店はきれいだが、そのことよりも、このお店がお客様に何をしたいと考えているお店なのかがわかりづらくなっていないか、その思いのほうが強かった。申し訳ないという思いで率直にお話しすると、「やはり」とひと言。どうも前々から思うところがあったらしい。


そのお店が長年大切にしてきたのは「スキンケアによるお客様づくり」である。周辺には百貨店やバラエティショップ、ドラッグストア等の競合店がひしめき合う中で存在感を発揮するためだ。経営者は記者との会話の最後、「活動やお店の見え方、情報発信も含め、スキンケアのお店であることをわかりやすく伝えていく」と話していた。


話は変わるが、今選ぶことにストレスを感じる生活者が増えているという。沢山ある商品から自分好みの商品を選ぶ行為は楽しいが、数があまりにも多いと「もっといい商品があるかも」「買い物に失敗したくない」「買った後に後悔したくない」等の心理から迷いが生まれて、それがストレスを感じさせているようだ。


化粧品を選ぶ際、ネットで載っている化粧品ランキングや口コミ等を参考に購入する化粧品を決める生活者が多いのもそのせいだろう。情報を手軽に取得できるようになり、沢山の商品を知ることができたが、それが多くなり過ぎて、反対にわかりづらくしている。


こうした時、化粧品業界において最もなサポート役が、美容部員やスタッフだろう。自分のライフスタイルや嗜好、肌質や肌悩みを踏まえて「この商品はいかがですか」と数ある中から、最適な商品を絞っての提案は生活者にとってとても有難い。また、カウンセリングだけでなく、例えば各社のギフト商材を集積したコーナー展開や、手書きで商品特長や実際に使った感想を書いたPOPも生活者の選ぶ楽しさをサポートしている。これらの活動の根幹にあるのはやはり「人」であり、それがリアルならではの強みにもなっている。



■わかりやすさで高評価を


これらの活動は今に始まったことでなく、多くの専門店が長年取り組んできたことである。さらにその手段も一律でなくお店やお店に来店する生活者に合わせて、独自に進化させてきた活動で、情報過多の今、「わかりやすさ」という視点でも、リアルならではの良さが高く評価されている。


また、今後さらに情報がより多く、より詳細になっていくのも間違いない中、生活者がより求めるのは、沢山ある情報の整理を行い、自分にとって最適な商品をどれだけわかりやすく提案してもらえるかである。


繰り返しになるが、そのためには自分のお店が大切にしていること、そしてお店に来られる生活者、お店がある周辺エリアの特性をどこまで把握して理解しているか、これらのことがポイントになる。そうでなければ、そのお店ならではの選ぶ楽しさをサポートしていくことが叶うことはないと確信している。

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