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【日本商業新聞 2026年1月26日号】機能と情緒の2つを叶える売場

  • 日本商業新聞
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

この数年、化粧品業界では、最先端の成分や技術を搭載した高機能化粧品が持つ機能的価値へのニーズが増しており、最も顕著なのが「成分買い」だ。


「今後も機能的価値を重視する消費者は増える」と見る業界関係者が多い一方、従来の、世界観等もブランド固有の情緒的価値を重視する消費者も存在し続けるだろう。


今後、機能的価値と情緒的価値の二極化が進むであろうが、その先に、その2つの価値を兼ね備えた商品やブランドが求められると記者は捉える。そして、それらの商品を展開する売場として最も相応しいのが、化粧品専門店だ。(半沢健一)



■人を介しての体験価値


先日、花王とアイスタイルが2024年に立ち上げたRNA共創コンソーシアムが「RNA社会実装に向けたプレスカンファレンス」を実施。皮脂RNAモニタリング技術を活用した商品やサービス、そして社会実装への具体的な取り組みや今後の展望について各担当者が詳しく説明した。


このRNAとは遺伝子の一つで、一生変化しないDNAとは違い、天候や紫外線等の外部環境をはじめ、運動習慣や食習慣等のライフスタイル等で日々変化するという性質を持つ。今の環境に合わせて肌と体を変化させる時に必要なものを作り出す時の指示役で、そのRNAの変化を捉えることで、肌や体の今の状態を遺伝子レベルで把握しよりその生活者に合った商品やサービスの提供を可能となる。


この数年、最先端の成分や技術を搭載した高機能化粧品が存在感を高めている。特に若年層を中心に「どんな成分が配合されているのか」を重視する、いわゆる「成分買い」の消費者が目に見えて増えている。SNSやネット等で「自分の肌質や肌悩みに合った成分」の情報を簡単に調べられるようになったことも、この流れを後押しする。


ある日、某大手バラエティストアの幹部社員と話をする機会があった。「これまでブランドの世界観やデザインに魅力を感じて化粧品を購入する消費者が多かったが、今後は成分や機能を優先する消費者が増えていくのか」と尋ねてみた。


その幹部社員は「成分買いのお客様はこれから増えていく」と語ったうえで、「従来のブランドの世界観を重視する消費者も依然と存在しており、今後は二極化が進む。ただ、その先には技術や新規性の高い成分を搭載している等の『機能的価値』と、ブランドの世界観やストーリー、デザイン等の『情緒的価値』を両立させていることを重視する消費者が増えるだろう」と話していた。


記者も同じ考えである。幾ら優れた機能性を持っていても、それ以上の機能を持つ化粧品が登場すればシフトする可能性が高い。一方、どれだけ魅力な情緒的価値でもその消費者の肌に合わなければ離れてしまう。つまり、ずっとその商品やブランドを愛し続けてもらうためには、機能的価値と情緒的価値を両立させていなければならないということである。



■売場としての価値づくりへ


今後、消費者が化粧品に求める価値はさらに多様化するであろうし、その中で機能的価値、情緒的価値への選択眼もより厳しさを増す。そうした状況のもとで、やはり重要となるのが機能的価値と情緒的価値を感じる売場である。「商品が肌に合っているのか」「どんな特長を持っているのか」を美容のプロから直接聞きながら、同時に使用感や香りも体験できる売場、要は「人を介した体験ができる売場」で、それは化粧品専門店に他ない。


百貨店も「人を介した体験ができる売場」だが、企業やブランドを横断で比較しながら体験できるのは化粧品専門店だけ。さらに、普段のライフスタイルや嗜好を踏まえて、肌質や季節、年齢に合わせて提案し、継続愛用を促すことができるのも専門店である。


そのためにも機能的価値と情緒的価値の2つを感じられる売場であることが重要で、より高い接客スキルや専門的知識が必要になるためにスタッフ教育の充実化も欠かせない。しかし、それらが売場としての価値づくりへ大きくつながる。消費者が求める2つの価値を同時に提案、消費者に高い満足感を感じてもらえる売場として最も相応しいのが化粧品専門店だ。

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