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【日本商業新聞 2026年2月2日号】〝AI〟にどう立ち向かうか

  • 日本商業新聞
  • 41 分前
  • 読了時間: 4分

コロナ禍から5年。急速に進んだデジタル化は、〝AI〟という形に変え、より正確な情報で「パーソナル提案」に攻め寄り始めている。既報の通り、花王とアイスタイルが設立した「RNA共創コンソーシアム」は、「スマホひとつで肌・心の状態をデータとして可視化する」AIを開発。アイスタイルではアットコスメアプリに搭載し、新たなスキンケア選びの手段として活用を開始している。〝AI時代〟の中で化粧品専門店が生き残る術とは―。厳しい時代の幕開けとなりそうだ。(中濱真弥)



■スマホで高度肌解析


デジタル化の波は、当初化粧品専門店も驚異的な存在であったが、現在ではインスタやLINEをはじめとするSNSを活用した情報発信の他、資生堂のオミセプラスや自社ECの立ち上げといったECへの参入も増加。施策面をみると、資生堂では早くからDX化に取り組み、購買後のフォローメールの送信やインスタ広告の打ち出しなどリアルとデジタルの融合を進めてきた。


このように、デジタルとの共存を深めつつ、一方で専門店が主軸とする店頭での高い接客力やサービスといった、人を介したコト提案を強化することによって、リアルで化粧品を購入することの優位性を保ってきた。しかし、デジタル化も〝AI時代〟に突入し、今後専門店においては今以上に厳しい時代を迎えるのではないかと感じている。


1月26日号にて花王とアイスタイルが設立した「RNA技術」の取り組みについて報じたが、RNA技術を簡単に説明すると、RNAとは体調や食生活、運動、ストレス、紫外線といった環境要因によって変化する遺伝子であり、今回開発した技術によって、その時々の肌・心の状態をデータとして可視化するAIを実現したというもの。


解析方法も簡単で、スマートフォンで撮影した素顔の写真データから肌タイプを導き出すというもので、言い換えれば「スマホひとつで高度なカウンセリングが可能になった」ということだ。


これまでのデジタル領域では、「検索ワード」に合わせ、その人が探しているモノに近い商品を提案するというものであったが、問題は実際に提案された商品を使った際に「肌に合わない」と感じる消費者も一定数いること、また選択肢の多さに「その情報が自分に合っているのか」という不確実性がデジタルの弱点であった。


このデジタルの弱点を強みとしているのが化粧品専門店であり、肌診断機器や高い美容知識、肌実感を通じてより個々に合わせたパーソナルな提案を実現。これにより、消費者は化粧品の購入に対する納得感や満足度が高まり、失敗しない化粧品選びができることが特徴であった。



■〝パーソナル提案〟に攻め寄る

しかしながら、先述の通り、AIは肌や身体の状態をRNAレベルで解析が可能となり、「その情報が自分に合っているのか」という不確実性を解消。自身の現在の肌質を把握でき、そのデータをもとに自分に合ったスキンケア選びができるようになった。


要するに、これまで専門店が強みとしてきたカウンセリング領域に確実に近づいてきていると言える。アイスタイルでは、昨年5月から、RNA技術を活用した「お肌のケアどき診断」をアットコスメアプリに搭載。


「肌遺伝子モード」から、ケアをした際の伸びしろが大きいと推測されるケアポイントを、肌遺伝子モードごとにそれぞれ3つ、計6つのパラメーターで表示し、最も効果的なケアポイントを1つ診断するというもので、ベタつき・毛穴・しわのケアどきを「つるつる期」、くすみ・黄み・つやのケアどきを「ぴかぴか期」として判定。


またアイスタイルでは、ユーザーの肌遺伝子モードと化粧品評価データを照合した結果、肌遺伝子モード判定が、ユーザーにとってより自分に合った商品を選ぶ上で重要な指標となる可能性を示唆したと発表した。


AIの進化が続く中で、今後専門店は、AIの弱点と言える感情や共感の理解といったより高度なコミュニケーション、あるいは専門知識の向上など、より〝人〟の強みを生かす取り組みの強化が求められてくると感じている。

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