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【日本商業新聞 2026年1月1日号】〝DX戦略〟出揃う年 「デジタルとリアル」両軸強化を

  • 日本商業新聞
  • 14 時間前
  • 読了時間: 5分

2025年、国内の化粧品市場は「物価高」の影響が色濃く表れた一年となった。消費者の購買行動はよりシビアになり、〝お得感〟が得られる特売日に来店する傾向が高まった他、商品も高級品とプチプラの〝二極化〟が更に進行。一方で、SNSでの情報収集が定着する中、化粧品専門店においては、「デジタルの強化」と「リアルでの価値提供」という2つの柱の強化が求められている。2026年は、それぞれの地域において「自店にしかない価値」を語れるかどうかが大きな鍵になりそうだ。(中濱真弥)



■〝自店の価値語れるか〟が鍵に


2025年の国内化粧品市場規模は、複数の調査機関の予測によると約2.6兆円台半ばから後半、前年比で2~4%程度の成長が見込まれている。富士経済では、2025年(見込み)の化粧品市場を価格帯別に分類。「高価格帯」は1兆1841億円(前年比104.7%)、「中価格帯」は1兆1435億円(同102.2%)、「低価格帯」は7701億円(103.7%)となり、コロナ禍からの回復が一巡し市場の伸びは鈍化しているものの、機能性訴求による単価アップがスキンケアやヘアケア・ヘアメイクなどの複数のカテゴリーで進んでいることに加え、ステップ数増加の傾向も継続しており、市場は拡大を維持すると予測している。


そうした中、価格別では2019年時点ではボリュームゾーンは中価格帯であったが、2025年は高価格帯が約40%、中価格帯が約35%、低価格帯が約25%と高価格帯と低価格帯への二極化が進んでいる。


二極化の要因としては、様々な物やサービスの値上げを受け、経済性重視の消費者と機能性や効果実感重視の消費者に分かれつつあること、また化粧品自体の価格上昇に伴い、中価格帯から高価格帯へカテゴリーが変動するアイテムが増えていることが挙げられる。


「高価格帯」では、失敗しない買い物への志向が一層強まる中、スター商材のリニューアルや派生品の投入が活発に動き、市場はさらに拡大するとみられている。


「中価格帯」は、引き続きマス向けカウンセリングブランドや韓国ブランドのスキンケアが成分や機能性で支持され市場をけん引。一方、ポイントメイクやヘアケア・ヘアメイクは価格の二極化の影響で苦戦。複数のマス向けカウンセリングブランドの終了もあり苦戦が続いている。


「低価格帯」では、引き続きシートパックやクッションファンデの需要が伸長。ポイントメイクではリップやマスカラなど1800円前後の比較的高単価なアイテムの投入が増えていることや、ミニサイズアイテムの展開でトライアルや複数買いの促進がみられた。


次に、「化粧品専門店」においては、「売上」「客単価」は前年を超えたものの、「客数」をみると前年を下回ったお店が多くみられた。その要因には、例えば化粧品デーやポイントデーといった「お得に買える」特売日にまとめて購入するケースが増えており、その背景にはやはり物価高や値上げの影響で消費者の財布の紐が固くなっていることが挙げられる。


またアイテムのランクダウンを求める顧客も増えている他、美容液など「これだけは良いものを使いたい」というものは高価格帯を、一方でポイントメイクは低価格帯のものを…というように、「絶対に外せないものと妥協できるもの」といった〝化粧品選びの二極化〟も同時に進んでいる。


物価高対策においては、電気・ガス代補助、子供への給付金、ガソリン税の暫定税率廃止、自治体への重点支援交付金を柱とする経済対策が決定されたが、その効果は限定的であり、円安や財政問題といった構造的な課題が解決されない限り、根本的な物価高の克服や持続的な景気回復には繋がりにくいという見方が強いことから、2026年も化粧品選びの二極化や、まとめ買い傾向が続くのではないかと考えられる。



■〝DX戦略〟出揃う年 -「デジタルとリアル」両軸強化を


そうした中、2026年の化粧品業界の動きをみると、まずはアルビオンが1月より「デジタル戦略」が開始されることを受け、化粧品専門店で展開する大手制度品メーカーの「DX戦略」が出揃うこととなる。


アルビオンのデジタル戦略の注目ポイントは〝店頭での価値最大化〟を目的に、「ポイント利用は店舗限定」「公式ECの売上の一部を活動支援金として還元する」など、リアルを優先した基本設計となっていることと、専門店からの支持が高いことが挙げられる。


もしECとリアル双方の顧客層をしっかりと掴むことが出来たならば、アルビオン全体として飛躍の一年になるのは明かであり、更に化粧品専門店を主体に展開する第二・第三のメーカーからも高い注目を集めていることから、アルビオンの動向を受け、その他メーカーも追随してアルビオンのデジタル戦略をベースとした展開を図っていく流れになることは大いにあり得る。


そして専門店においても、今や「SNSで情報を得る」という購買行動が当たり前になってきている中で、デジタルの強化は必要不可欠となってきている。これは情報発信だけでなく業務内容の効率化も含んでおり、美容部員の派遣が減少する中、いかに今いるスタッフを接客に集中させるかなど、人件費効率のアップという観点からもデジタルの導入が進むと予想される。


そして、その片側で重要視されているのが「リアルでの体験価値をどう磨き上げていくか」である。場所や時間に捉われることなく化粧品が購入できる時代において、専門店では今まで以上に「このお店に行きたい」と思えるような価値を提供できる店舗になることが求められている。


その為には、それぞれの地域において、自店ならではの商品や接客、サービスを際立たせることが大きな鍵になる。自店にしかない価値を語れるお店になれているか?いま一度問うてみてはいかがだろうか。

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