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【日本商業新聞 2025年12月1日号】Shiseido Innovation Conference2025

  • 日本商業新聞
  • 13 時間前
  • 読了時間: 6分

資生堂は11月26日、資生堂R&D領域が描く持続的な成長にとっての重要な戦略と今後の取り組みを発表する「Shiseido Innovation Conference2025」をオンラインで開催。


第一部は、資生堂エグゼクティブオフィサーチーフテクノロジーオフィサーみらい開発研究所R&D戦略部部長・東條洋介氏が「資生堂R&D戦略について」説明。第二部では「R&D戦略に沿った取り組みの具体について」、みらい開発研究所シーズ開発センターセンター長・加治屋健太朗氏、ブランド価値開発研究所 グローバルブランド価値開発センターセンター長・大山志保里氏、同 グローバルプロダクト価値開発センターセンター長・池邉洋介氏がクロスセッション形式で説明を行った。



■「R&D戦略」を発表 3つのイノベーションパス


この中期戦略では、人と人とのつながりの中で新しい美を探求、創造、共有し、一人一人の人生を豊かにする人とのつながりがキーワードであった。そして「一瞬も、一生も、美しく」これが203年に向けた資生堂の新しいスローガンとして掲げた。この言葉は、社員にとっても心に響くものであり、これから一致団結して目指していきたいと考えている。


R&D戦略は、「3つのイノベーションパス」での価値を生活者に届けていく戦略となっている。まず1つめが「ブランドコア」として届けるサイエンステクノロジーで、ブランドに特化した技術を先鋭化し、そしてブランド価値を最大化する非常に大事なポイントである。


2つめが「コーポレートを横断してカテゴリーを強化する」サイエンスとテクノロジーを創出する戦略である。ここでは、カテゴリーをカテゴリーとして強くしていくために、ブランドを横断して骨太なサイエンスやテクノロジーを創出する戦略。


3つめは、今ある市場、今あるカテゴリーを超えて新しい価値を生み出す「新カテゴリー創出」として、2030年に向けた成長を加速させていく。



その中で本日は「ブランドコア」と「コーポレート横断」の2つについて説明を行う。まず「ブランドコアへの活用」について。資生堂では、「免疫発想の新エイジングケア」、そしてクレ・ド・ポー ボーテでは、かねてより肌を第三の脳と捉えた「肌知性」という考え方でサイエンスやテクノロジーの創出を行ってきた。


これらはブランドを横断することなく、ブランドの価値を先鋭化するものとして、2028年、さらにその先まで研究戦略が立案されている。



続いて「コーポレート横断」について。コーポレート横断のサイエンステクノロジーのことをコーポレート横断STと呼ぶが、こちらは先ほど申し上げた通り、カテゴリーを強化する戦略として、「スキンケア」「サンケア」「メイクアップ」と掲げている。


更にこれまで創出してきた骨太なサイエンステクノロジーの代表例として、スキンケアではアンチエイジングを最も大きな市場として注力しており、シミ、シワ、たるみといったさらに細分化されたカテゴリーでイノベーションを起こすために、例えばシミでは「スポッツライフサイクルサイエンス」、シワでは「レチノールトリプルロックテクノロジー」、たるみでは「抗重力サイエンスV」と、カテゴリーを横断して使えるテクノロジーをすでに10程度ローンチをしている。


特にたるみでは、化粧品技術者の学術大会において最優秀賞を4つ受賞、さらに今年1個追加されるなど非常に多くの賞を獲得している優れたサイエンスである。この結果、このたるみの領域では、ブランドを通じて価値としてローンチした後、市場では非常に高い支持を獲得、売上は複数年度好調に続いている。


今後2023年から作ってきたものに加え、2028年までにはこのような骨太なサイエンステクノロジーを10程度追加することでビジネスの成長を確かなものにしていきたいと考えている。


次に、この骨太なサイエンスやテクノロジーをどのように実現していくのかという仕組みについて説明していく。現体制の中で改革を進める中で、「基礎研究」をベースとして、そこから「ブランド価値」、そして「カテゴリー価値」のそれぞれを開発できる体制へとシフト。


このブランドカテゴリー、そして基礎研究が支える三味一体の構造が、ブランドホルダーに対しワンパッケージで価値を届けることができる一気通貫の基礎研究の強みとして、生活者に届ける大事な取り組みとして現在取り組んでいる。


この連携で生み出されるのが基礎研究初のユニークなサイエンスのソリューションとなるテクノロジーである。私たち資生堂のR&Dは、化粧品の技術をサイエンスから取り組み、その後テクノロジーを開発することで本物の価値を生活者に届けることができると考えている。


最後にこれからの成長戦略を支える上での「新たな挑戦」の部分について。中期戦略の中でも語られた一つが「メディカル&ダーマ領域」である。まず日本国内においては、皮膚科医との連携による「敏感肌サイエンス」の強化を図っていく。


海外での例を挙げると、アメリカでは、ドクターデニスグロスご本人とディスカッションを行い、どのようにデニスグロス医師の考えと私たちの強みが融合できるかを開始している。中国では、先行して中国における美容医療機関とコラボした新ブランド「RQ PYOLOGY」をローンチ。このように、メディカル&ダーマの領域は、皮膚科医の先生がまず地域としてコミュニティを持っているという点、さらにはアプローチも国によって好みを含めいくつもあることから、地域で最適な戦略を行っていくというのがR&Dとしても共通している点である。



続いて、まだ生活者が体験したり見たことのないような価値へのR&Dにおける挑戦である。資生堂ビューティーパークでは、「fibona」という研究所の化粧品ブランドがあり、ここでのポイントは、研究所に眠る資産や過去に開発した成果など、研究所に眠る多くの研究資産を価値に変え、製品にして生活者の皆さまと対話することで、眠っていた技術に伸びしろがあるのか、どのような価値として大きくなるのか、そういったことを検証する場としてすでに進めている。


2025年では4品を販売。その結果、すべて完売するという反響をいただいており、一部はリテーラーさまと一緒に、一部店舗での数量限定販売というようなステップを踏みながらスケールアップを進めている。



そして肌・体・心の状態から美のポテンシャルを可視化するサービス「美の検診」を開始。すでに数百人のお客さまにお待ちいただいている人気のコンテンツであり、このように今ある市場、そしてまだない市場へのチャレンジとして、2030年に向けて資生堂がさらに成長できるようにドライブしていきたいと考えてる。


なぜこのようなユニークなアプローチができるのか、それは資生堂が基礎研究からR&Dを行っているからに他ならない。さらに言えば、その研究の究極のユニークネスは、肌を肌だけと見ずに、一瞬も一生も人を人全体として捉えるヒューマンサイエンスに向き合ってきたからである。


これまで作ってきた仕組みの中で、今、基礎研究の強みが大きな価値となって製品やブランドに、そして生活者につながることができ始めてきた。今後も本物の価値を作り続けていくので、資生堂のR&Dに期待していただきたい。

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