【日本商業新聞 2026年10月12日号】「健康」切り口に新たな商機
「健康」を切り口にした新たな提案で〝商機〟を掴んだ化粧品専門店がある。
町の一角で小さな路面専門店を営む同店では、数年前から「健やかに、キレイに、地域のみんなで楽しいお店を」をモットーに、美(化粧品)に加えて健康提案を強化。ファスティングやボディケアなど健康面でのカウンセリングを強化したことにより、「健康軸から新しいお客さまとの出会いに繋がっている」と確実な手応えを得ている。健康意識の高い40代以降の人口が2人に1人となった日本において、健康提案はこれからの専門店にとって新たな活路になるのではと感じている。(中濱真弥)
■中高年2人に1人へ
コロナ禍以降、健康に対する意識が年齢を問わず高まっており、また3人に1人が65歳以上という高齢化社会を迎えた日本において、今後は「美と健康」から「健康から美へ」へと、より〝健康〟への訴求強化が求められていくと感じている。
もう一つの理由として、現在の日本の総人口約1億2000人のうち、健康面を意識し始める40代以上の中高年・高齢者層は約7600万人となり、専門店が強みとするターゲット層である40代以上に置き換えると、なんと人口の2人に1人になるという側面がある。
また、健康に対する意識や悩みを年代別にみると(WellWa調べ)、40代では更年期障害をはじめ、体型や血圧、コレステロールといった数値に不安を感じ始める一方で、時間的・心理的余裕のなさが挙げられ、50代になると健康意識はより「リスク回避」や「病気予防」へとシフト。社会的にも責任のある立場となり健康維持は欠かせない年代へと移行していく。
そして60代以降になると、いかに生き生きとした生活を送れるかといった「健康寿命を延ばす」意識へと変化していくなど、それぞれの年代で健康に対する内容が変わっていくことが分かる。
このように、「健康」とひと言でいっても、年代によって悩みは千差万別であることから、個々に寄り添いパーソナルな提案を強みとする専門店において、健康への提案はまだまだ拡大の余地があり、可能性は高いと感じている。
また40代以降は子育てもひと段落し、自分投資ができる年代でもあること、更に物価高を背景に、化粧品にかける金額が減少している昨今、健康という切り口で新たな美類拡大に繋げられるというメリットもある。
すでに専門店の中には、資生堂が提案する高齢者向け「フレイル予防」や「更年期予防」といった取り組みに参入するお店も増えている以外にも、水素吸入やエステなど独自の体験価値を提供するお店も増えている。
そうした中で、ベネフィークとプレディアなど専門店専用ブランドを中心に、路面店で化粧品専門店を営むある専門店では、数年前から「健康提案」を強化。
ボディケアの他、大阪に本社を置く「大和酵素」の酵素ドリンクを軸とする独自のファスティング指導を取り入れたことで、「これまで繋がりのなかったお客様との出会いが生まれている」と、健康を軸とした活動で新たな商機を掴んでいる。
■ファスティングで新客獲得
現在、酵素ドリンク市場は500億円を維持し底堅い動きを見せているが、一方で成長が緩やかな背景として、流通経路がネットやドラッグストアが中心で、「自分に合った酵素ドリンクやファスティングの仕方が分からない」など、相談できる場所が非常に少ないという点が伸び悩みの要因だと考えられる。
実際に、相談が受けられる場所は一部のエステサロンや薬局・薬店と限られた店舗となっており、先の専門店も「ファスティング市場(酵素ドリンク)は完全なるブルーオーシャン」だと話す。
また記者調べによると、「ダイエットや腸活など、自分の目的や身体に合ったパーソナルなファスティング指導が受けられるならやってみたい」という声は多く、需要や関心は非常に高いという印象だ。このように、ファスティングを一例に、「健康」という観点を軸とした、専門店の「高付加価値カウンセリングサービス」を見いだしていくことが、新たな商機を掴む鍵になるのではと思っている。



コメント