top of page

【日本商業新聞 2025年10月13日号】「人」という要素がさらに重要

  • 日本商業新聞
  • 10月14日
  • 読了時間: 4分

化粧品業界において、様々な理由で美容部員の派遣数が減少していく方向にある。さらに、専門店でも人材確保が大きな課題となっている。そして、市場環境が厳しさを増している現在、改めて「人」という要素の重要性が高まっている。


その中で、ブランドの魅力や特長を熟知し、高い販売力を持つ美容スタッフの存在は非常に重要である。現在、毎年秋に発行している特別冊子「STORY」の取材で全国の化粧品専門店へ訪店しているが、スタッフや美容部員という「人」への取り組みに強い思いで取り組む専門店の姿勢は非常に印象的である。(半沢健一)



■店頭活動の質を上げる


現在、毎年秋に発行している特別冊子「STORY」の取材で、手分けしながら全国の化粧品専門店を取材している。今号が発行する頃には、編集作業に取り掛かっているだろう。今回取材したお店はこれまで同様、お客さまへの思いや独自の工夫・こだわりによって強い存在感を放つお店ばかりで、来月下旬に発行予定なので、是非一読していただきたい。


今回取材した中でとても印象的なのが、美容部員やスタッフ、要は「人」という要素に取り組むことで、強さや良さが際立っているお店がこれまで以上に増えていたことである。今回の取材店の一つ、東北地方の某テナント店もその一つ。商業施設やお店自体の集客力は高く、順調に新規客を増やしているが、それでも経営者は、「新規のお客さまはしっかり取れていますが、その後、繰り返し来店してもらうためには『人』の要素がとても大きく、そこを強く意識しています」と話す通り、美容部員やスタッフも含め店頭にいる全員がワンチームとなり、充実した店頭活動を実践する。



■共通名刺で責任感と緊張


色々話を聞いていく中で最も共感したのが、美容部員にもスタッフと同じ形式の名刺を用意し、初めて接客するお客さまには必ず渡すという取り組みだ。経営者は「いつもスタッフや美容部員には、お客さまに化粧品を購入していただくことがゴールではなく、その時がスタートであり、提案したお手入れでお客さまが望まれている『美しい肌』を手に入れていただいた時がゴールだと話しています。名刺をお渡しする理由は、お客さまに美しくなっていただくことに一人ひとり責任があると自覚してもらうためです」と説明する。


名刺はお客さまと信頼関係を築くうえで大切だ。肌トラブルがあった際に「あの人に相談したい」となった時に連絡しやすく、安心感も生まれる。また、美容部員の視点でいうと経営者が話したように美容のプロとしての責任感と緊張感もさらに強まる。その結果、それはお客さま満足感へとつながり、家族や知人を巻き込みながら、新たなお店のファンを増やすことにもなるだろう。


また、名刺による効果はそれだけではない。特にメーカーから派遣された美容部員にとって、店名が入った名刺に自分の名前が記されていることで、「私もお店の大事なスタッフの一人であり、みんなと一緒に頑張ろう」とモチベーションをさらに高められる。勿論、美容部員はお店やお客さまを第一に日々頑張っているが、こうした取り組みにお店全体がより一つにまとまって店頭活動の質も今以上に高まっていく。



今、化粧品業界においては、様々な理由から美容部員の派遣数が減少していく流れにある。加えて、多くの専門店では人材不足が大きな課題であり、多くのお店が頭を悩ませている。そして、市場環境が厳しくなっている今化粧品専門店としての強みを発揮していくためにも、改めて「人」という要素がとても大切なものになっている。


そうした中でブランドを熟知し、高い販売力を持つ美容部員の重要度もさらに増しており、お店と美容部員とのより密接した関係性を構築することが求められている。だからこそ、スタッフや美容部員の「人」という要素に強い思いで取り組む専門店が増えている。エリア特性や立地、お客さま特性を考慮しながら独自の取り組みを講じて際立った強い存在感を放つ専門店は多い。言い換えれば、その柔軟な発想とこだわり続ける、強い姿勢こそ専門店の大きな強みだと思えて仕方がない。

コメント


bottom of page