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  • 日本商業新聞

【日本商業新聞 2022/1/31 1面】「人」の重要性さらに増す

◆「人」の重要性さらに増す


メーカーだけでなく、専門店にとっても消費者との出会いのキッカケの一つが「商品」や「ブランド」なのは言うまでもない。それを消費者に広く伝えたり、魅力的なものにするための取り組みがマーケティングであり、化粧品は当然、それ以外の様々な業界でも力を入れている。


専門店にとって確かにマーケティングは重要な存在なのは間違いない。ただ、それ以上に重要なのが「人」ではないだろうか。専門店ならではの武器であることは言うまでもなく、この部分の強化なくして今後化粧品専門店として当然、お店としての存在感を高めるためにも、その重要性は益々高まっている。



 先日、東京ビッグサイトで行われた国際化粧品開発展には国内外513社が出展、オミクロン株の感染拡大が危惧される中、3日間の期間中、約2万4000名が来場した。会場では、化粧品だけでなく、原材料や容器、美容・健康食品等が一堂に集められ紹介されたが特に多くの人だかりが出来ていたのが、スマートフォンアプリやデジタルサイネージ等、デジタルやWEBを活用したマーケティング提案をする企業が集まるエリアだ。


 以前展示会で多くの注目を集めていたのは商品や原材料、容器を紹介するエリアであり、先述のデジタルを使ったマーケティング提案はそれらをサポートするための取り組みであり、今回ほど注目度は高くなかったと記憶している。しかし、今回はこうしたマーケティング提案が効果的な手法として来場者の注目を集めていたのは明らかであり、改めて業界の変化を感じる機会となった。



 記者自身もこうしたデジタルやWEBを活用してのマーケティング提案の重要性は理解しているつもりである。ただ、最終的に消費者にとって化粧品に求める一番の価値は「機能性」で、それを広く認知してもらうための取り組みとして欠かせないのが、それらのマーケティング提案だと捉えている。そうした中、取材で訪れた、ある専門店のオーナーとの会話の中で、マーケティング提案をどう捉えているのか尋ねると、「専門店と消費者との出会いのキッカケは商品やブランドだが、その存在を知ってもらうためにもマーケティング提案は大事。ただ、それ以上に欠かせないのがお客様に対する活動とスタッフや美容部員の『人』の部分で、お客様との関係づくりには欠かせない」と説明していた。


 まさにその通りで、だからこそお店は自店の従業員だけでなく、メーカーの美容部員をとても大事にする。お店にとって「お客様を美しくする」という使命に取り組む仲間なのと同時に、お客様との関係づくりに欠かせない、お店の「商品」「ブランド」だからだ。


◆拠点店の不可欠要素 「人」介在でより魅力的に


 今、GMSやドラッグストアをはじめ、多くの小売業ではWEBで顧客接点を拡げ、独自の集計データをもとに販促強化に取り組んでおり、先述のマーケティング提案への注目が高まっている背景にもなっている。勿論、専門店でも顧客接点を拡げて新規獲得・愛用者化を促進する取り組みを行っている。一見、同じに見えるが、圧倒的に違うのはそこに「人」が介在し、より魅力的なものにしていることである。


 それゆえに今後もそうしたマーケティング提案が注目を集める中で、「人」の重要性はさらに増し、より一層強化していくことが求められていくのではないか。そのためにもお店単体で取り組むのは当然、メーカーの営業とお店がとことん話し合い、「人」という専門店の武器を販促企画や販売計画に落とし込んでいく作業が必要になる。幾ら魅力的な「商品」「ブランド」でも、消費者と直接対面し、その魅力を伝える「人」が存在していなければ十分に伝えきることは出来ない。だからこそお店もメーカーも積極的に「人」への投資や教育に取り組んでいかなければならないのは当然の流れと言える。


 現在、メーカー各社ではエリア毎での拠点店づくりに力を入れる動きが活発になっているが、その意味でも「人」への取り組みは欠かせない要素であるし、化粧品専門店として、お店として存在感を強めていくためにもやはり「人」の重要性は今まで以上に増すのは間違いないだろう。


(半沢)

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