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  • 日本商業新聞

【日本商業新聞 1面】専門店の「商品」とは 2022/2/28

 この2月、多くの大手メーカーが2021年度決算を発表。化粧品だけでなく、日用品メーカーも大半が増収を達成。国内は厳しい状況が依然続くが、海外では中国を中心に消費動向に回復傾向が見られ、それらが売上高を下支えしている。


一方、利益面は増益減益と違いはあるが、懸念材料として多くの企業が人件費や物流費、原材料の高騰等を挙げる。企業経営で利益確保は大きな課題だが、コロナ禍で消費者意識が変化している今だから「どう売上を高めるか」、そこに対する取組みにポイントがあると感じている。



◆「利益」だけでなく「売上」も


 化粧品業界大手メーカーの、直近の決算で「売上高」「営業利益」の増減を見た場合、▼資生堂/増収増益▼コーセー/増収減益▼ポーラ/増収増益、日用品業界では、▼花王/増収減益▼ユニ・チャーム/増収増益▼ライオン/増収減益で、その多くが売上高で前期実績をクリアしている。


 化粧品メーカーの売上高だが、2020年の新型コロナで消費意識が大きく落ち込んだことやインバウンド需要が無くなったことへの反動と、海外事業の回復や個々の企業努力で伸長。一方利益面は人件費や物流費、原材料の高騰等のマイナス要素が存在する中、各社共に全社挙げてのコストコントロールで改善に取組んだ。ただ、こうしたマイナス要素は今後暫く在り続けるというのが大方の予測で、そうなると今後「利益をどう確保していくのか」が企業経営の最優先課題と言える。


 実際、一部のメーカーでは、例えば美容部員の派遣やサポート営業の取組み等、経営資源の最適配置の動きが見られるようになっており、今後そこに対するメーカーの考え方が更にハッキリしていくのは間違いない。


 経営資源の最適配置は大切だが、その利益を創るのは売上だ。売上高を高めるためには、新商品、既存品問わず「売れる商品」を一つでも多く生み出さなければならないのは当然、新型コロナで消費者意識が大きく変化している今だからこそ、それらの商品で新しい価値を提案し市場を創造していく可能性があるように思える。


 直近のメーカーの動きを見ると、3月以降、新商品や新ブランドの導入をはじめ、既存商品の拡売施策が明らかにされている。ただ、繰り返しになるが、人件費や物流費、原材料の高騰等のマイナス要因がある中での難しい舵取りが求められているのは間違いなく、この2022年、メーカー各社がどう取組んでいくのか注意していかなければいけない。



◆専門店の「商品」とは


 「売れる商品」と「新たな価値提案」の部分において、専門店流通ではどうだろうか。専門店にとって「商品」は、言葉通りメーカーの化粧品もそうだが、それ以外にもお店にしかない「サービス」「活動」もそうだ。


 幾ら優れた化粧品でも消費者はその魅力を自身の肌で感じなければ購入に繋がらない。そのために専門店はカウンセリング等、肌に直接触れる活動を通じて伝えてきた。先述の「サービス」「活動」とはまさにそれで、それは専門店ならではの「商品」とは言える。


 ならば、その「商品」で今までにない新しい価値を提案し、この専門店流通で新市場を創造していける可能性があるのではないか。もっと言えば、様々な意見があると思うが、それを店頭活動の一つに留めず、事業展開していくことも可能ではとさえ記者は思っている。



◆売れる商品で市場を創造


 今後も暫く新型コロナの影響は続くと考えると肌に直接触れる等の対面式サービスは厳しい状況にある。しかし、エステサロンをはじめ、専門店でも肌に直接触れる活動を求める消費者はいる。ある専門店では「お店で肌タッチしていますか」と電話をかけ、わざわざ遠くから来る女性もいて、やはりコロナ禍でもそうしたサービスを求める消費者は存在する。


 メーカーにとって売れる商品を生み出し、その商品で市場を活性化することが「売上」を高めることに繋がると述べたがとりわけ専門店流通での「売れる商品」とは、今まで当たり前に取組み続けてきた「サービス」「活動」等、肌に直接触れる活動。その商品で専門店における新価値を創造していくことも今後の専門店流通の在り方ではないだろうか。

(半沢)

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