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  • 日本商業新聞

【2023/10/9 日本商業新聞】美容意識高まりへの対応を/「成分」「技術」を重視/最後はプロの説明決め手

 先日、あるブランドへの取材をしている中、店頭での説明がいかに重要であるかを、改めて認識させられた。今年リニューアルしたヘアケアをキッカケにスキンケアの愛用者も増えているそうで、その背景にはスタッフの説明を受ける中でブランドの魅力や特長に触れ、ブランドに共感したためである。それは、ネットで様々な情報を取得しやすくなった一方、最後は実際に自分の肌で試しながら受ける美容のプロからの説明が最後の決め手となっていることを表す。今後、美容意識はさらに高まっていく中、それに伴い、店頭における活動の重要性もさらに高まる。(半沢)



■美容意識高まりへの対応を


 そのブランドはスキンケアを軸に、他にもシャンプーやトリートメント等のヘアケアシリーズも展開もしており、今年そのヘアケアシリーズをリニューアルして以降、好調に推移しているだけでなく、そのヘアケアをキッカケに、軸のスキンケアの愛用者育成にもつなげることが出来ていると担当者は説明していた。


 当然、化粧品専門店に来る生活者は美容意識が高い人が多い。だからこそ、店頭でヘアケアの説明を受けている中でブランドの魅力や特長に触れスキンケアにも関心を持つ生活者が増えているのだろう。


 アイスタイルでは「化粧品の情報収集実態」に関する調査結果を発表。化粧品を使用・購入する際の重要なポイントとして最も高かったのが「サンプル」で、次いで「友人・知人・家族」「テスター」「口コミサイト」「インスタグラム」と続く。口コミやSNS等で化粧品のことを知ったり、情報を収集するケースが多いことがわかった。


 また、違う調査会社のよると、口コミやSNSで化粧品のことを知った後にとる行動として多いのが「サンプル」や「テスター」を使って、実際に自分の肌で試してから購入を決めることが多いこともわかっており、面白いのは若い世代になるほどその傾向は強くなることだ。



■「成分」「技術」を重視


 繰り返しになるが、化粧品専門店や百貨店で化粧品を購入している生活者の美容意識は総じて高い。また、そのような美容意識の高い生活者の多くが重要視するのは、配合成分や搭載されている処方技術で、つまり「エビデンス(根拠)」となっている。「どの化粧品を購入するか」と迷っている時の決め手は「配合成分」「処方技術」で判断する生活者が確実に増えているようだ。


 それら美容意識が年々確実に高まっていることを踏まえて、大半の化粧品メーカーでは、配合成分の新規性や独自の処方技術の優位性等を生活者に伝えるため、ブランドサイトやイベント等を通じて広く発信していくことに取り組んでいる。ただ、実際に店頭で自分の肌で体感しながら受ける美容のプロによる説明の方がわかりやすく理解もしやすい。それは、その生活者の肌質や肌悩み、ライフスタイルに合わせた形での説明や提案であるからで、生活者も自分にあてはめてイメージしやすいからだろう。



■最後はプロの説明決め手


 ネットを介して、化粧品の口コミや商品情報を習得しやすくなることでこれから益々生活者の美容意識は高くなる。だとすれば、化粧品の購入を決める際、「エビデンス」は今以上に重要ポイントとなってくる。


 化粧品を知るキッカケは口コミやSNSで、化粧品を購入する決め手は店頭での説明になってくるのではないかと記者は考えている。つまり、店頭にいる美容のプロ、言い換えればお店にいるスタッフやメーカーの美容部員による店頭での活動の本質ともいえる取り組みが今まで以上に欠かせなくなる。


 そう考えると当然、教育面での取り組みだけでなく、店頭での生活者への伝え方も重要になるのはいうまでもない。特に専門店に来る生活者の大半は美容意識が高く、その生活者達に数あるブランドの固有の魅力や特長を伝えていくためには、その関わり方や話法、活動の仕組みも進化させていかなければならない。どれも手間も時間も必要になることだが、これからの化粧品業界において、化粧品専門店という流通がより存在感を発揮するためには必要なことではないかと記者は思えてならない。

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