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【日本商業新聞 2026年4月6日号】化粧品専門店 物価高に対する調査を実施

  • 日本商業新聞
  • 2 日前
  • 読了時間: 6分

近年続く物価高騰の波はじわじわと消費者の家計を圧迫し、お得感や納得感の高まりといった購買行動へと変化をもたらしている。化粧品専門店においても「昨年の秋頃から顕著にお客様の購買行動に変化が見られはじめた。年明け以降も厳しい状況が続いている」という声が相次いでおり、またその声は立地や店舗形態に関係なく全国的というのが特徴だ。そこで日本商業新聞では、化粧品専門店における「物価高の影響について」アンケートを実施。店頭の声とその総括についてまとめた。(中濱真弥)



■「客数減」が顕在化 - ハイブランドは維持傾向か


まず化粧品専門店の「店頭の状況」及び「お客様の動き」について、各店の声は次の通り。


〈路面店〉

物価高の影響はかなり感じている。1月以降の化粧品購入客数が大幅に減少しており、売上自体も減少している。中でも来店回数が減っていることと、高額商品の購入に対する財布のひもが固くなっていると感じている。

例えば、毎年実施している限定セットがあるのだが、例年40セット程度出るところ、今回は20セットにとどまった。


〈路面店〉

1月は初売りが好調だったため、対前年で105%と前年を超えたが、これは「お得なタイミングで買おう」という不景気からくるものもあると感じている。2月はギリギリ前年を超えることができた。一番の要因としては、アルビオンとコーセーが好調に推移していることが挙げられる一方で、資生堂は少し苦戦を強いられている。


〈テナント店〉

1月は売上102%、客数94%、客単価109%。2月は売上104%、客数95%、客単価110%と、客数が減少し、客単価増で補っている状況である。

 物価高の影響はクリスマスプレゼントの購入金額においても顕著に表れており、24年は「予算1万円」という方が多かったが、25年は「3000円~4000円」を挙げる方が増えた。化粧品だけでなく、他業種の物価高の影響も色濃く感じている。また以前は新製品などお勧めすると購入して下さる方が多かったが、最近は購入を見合わせる方が増えている。


〈テナント店〉

1月は売上99%、客数94%、客単価105%。2月は売上97%、客数94%、客単価103%と、客単価は増えたが売上・客数は前年を割った。メーカー別でみると、コーセーの落ち込みが大きく影響している。また昨年1月~4月の各メーカーの値上げ前の駆け込みという特需があったことも一因にある。


〈テナント店〉

1月は売上102.1%、客数90.1%、客単価112%。2月は売上107.9%、客数101.5%、客単価106.2%と、1月は客数が前年を割り込んだが、2月は全項目クリアとなった。

値上げの印象としては、コーセーの値上げが続くが、お客様は不思議と織り込み済みのようで、デコルテは落ちることなく好調が続いている。2月は久しぶりにアルビオンも目標をクリアし、アルビオンの復調を実感している。


〈路面店〉

5000円ラインを使う40~60代のお客様の離脱が多い(特にベネフィーク愛用者のうち、使用量の少ない方)。一方で、高価格帯のクレ・ド・ポー ボーテやデコルテAQ、アルビオンのエクシアなどをご愛用いただいている既存メンバーに関してはあまり影響を受けておらず、逆にデコルテとアルビオンは新規が継続して取れている。


業績面では、1~2月の店全体の売上は106.7%、客数100.9%、品目104.9%、単価105%と全項目で伸長している。


好調の要因としては、昨年末よりスポットで打っていた新規広告を、Googleもしくはインスタで必ず展開し、SNS広告期間を途切れないようにしたことで、新規獲得が継続。また近隣のイベント会場で非営利イベント(性別年齢フリーのメイク・スキンケアイベント)からも数名の新規を獲得しており、何よりも店頭でのタッチアップを継続していることから、離脱もそれなりにあるものの、メンバー数が増えてきていることが何とか伸長できている要因と考えている。


〈テナント店〉

1月売上は101.8%、客数95.9%。2月は売上106%、客数94%となり、昨年より客単価アップによって売上が前年クリアはしているものの客数減が続いている。SC全体の客数も減少しており、この点の改善が急務として挙げられる。


〈路面店〉

物価高の影響を感じている。来店回数が減り、その分単価は少し増えている印象だが、客単価についてはメーカーの値上げ理由もあるので販売品目が増えているわけではない。


〈テナント店〉

現状は物価高よりも、数年続く最低時給アップに伴う人件費の増加幅が会社として課題に挙がっている。またお客様動向でみると、主要メーカーのヒット商品が弱くなってきていることが昨年秋くらいから顕在化してきたと感じている。


〈テナント店〉

年明けからかなり厳しい状況。売上90%、客数90%、客単価95%と各社のヒット商品も少なく新規客が減っている。カウンセリングブランドの値上げにお客様がついてきていない。化粧品デーやイベント時には反応はあるものの、平時の来店頻度が弱い。


〈テナント店〉

物価高が始まった頃から客単価・客数の影響は常に感じている。特に資生堂ブランドにおける影響が大きい。



★人材確保も大きな課題


このように、特に「客数減」を挙げるお店が殆どであることが分かる。またその他意見としては、


・メーカー各社のEC強化や美容部員の派遣減など、リアル店舗で今まで手をかけていた接客モデルが厳しくなっている。メーカー施策は「戦術」でしかないため、それだけやっていては商売は難しく、市場でどう生き残っていくかという「戦略」が大切な時代だと感じる。


・資生堂のコスト削減が顕著に表れていると感じる。


・客数が減少する状況で売上を確保するには、しっかりとした接客が欠かせないが、メーカー共通で美容部員の確保ができていない、また自社での採用も苦戦している状況であり、今年も売上に合った適正な美容部員が入店してもらえないのは大きな懸念点である。


・営業や美容部員の教育向上をお願いしたい。


など、カウンセリングを強みとする専門店において、「人材確保」や「人件費の高騰」が今後大きな課題となっていくことは間違いない。


一方で、「物販が減少している一方で、エステやネイルといった施術関連に大きな影響は出ていない」という声も。要するに、消費者の出費にかける順番が変わってきたことが感じられる。



★高価格帯と低価格帯に格差


【総括】

①立地や店舗形態にかかわらず、全国的に「客数減」と「単価上昇」が続いている。ただ単価アップは来店回数が減っていることにより、1回のお買い物での総額が上っていること、あるいはお得な時のまとめ買いなどが要因として挙げられ、品目がふえている訳ではない。


②高価格帯のお客様は維持傾向で、中価格帯のお客様によるランクダウンが見受けられ、以前にも増して高価格帯と低価格帯との格差が広がっている。その背景には、日銀が発表した資金循環統計によると、25年12月末時点で個人が保有する金融資産の残高は前年末比5.3%増の2351兆円と過去最高を更新するなど上流層は一定しているものの、高齢者や若年層の非正規雇用者が片側で増加していることにより「中流」が消滅、相対的貧困率は約15%と経済的困窮層が増えていることも要因の一つとして考えられる。


③物販はプチプラ化が進む一方で、エステやネイルといった施術(体験型)の需要は減少していない。化粧品のランクを落とし、癒しや体験といった「特化型美容」にお金を回す傾向にあるのではないかと推測される。


④物価高に加えて人件費増や人手不足も片側で大きな課題として顕在化しており、今後は専門店の強みをいかに発揮できる状況を見出していくかが業界全体としての課題になってくる。

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