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  • 日本商業新聞

【2022/7/4 日本商業新聞】2類愛用者育成が大きな課題

 今春以降、外出する人の数も増え、少しずつ専門店の来店客数もコロナ前に戻りつつある。そうした中、今専門店で好調なのが、コーセー「コスメデコルテ」の「イドラクラリティ」ライン。アットコスメの今上半期ベストコスメでも多くの商品がランクイン。そうなると次のステップは、その商品をキッカケにどれだけ「化粧水」「乳液」を併用する2類愛用者を育成出来るかだろう。多くのお店では新型コロナで既存客が離店してまったケースもあり、客数が回復傾向の今、これからの重点活動と言える。



■愛用者づくりが重要

 現在、コロナ禍の時とは違い、ショッピングモールや駅ビル等での来館人数は多く、それに伴い専門店への来店客数も増え、店内は徐々に活気を取り戻しつつある。


 そうした中、多くのお店が「今後取り組んでいく活動」として口を揃えるのが「2類愛用者づくり」。コロナ禍の約3年間ショッピングモールや駅ビルの来店客数は激減、当然そこで展開するお店も新規客が減少した他、既存客が離店する等、厳しい環境下にあった。それ故に人の流れが回復傾向の今、新型コロナで減った愛用者を増やす活動に改めて力を注ぐお店が増えている。


 そうなるとクリアしなければならないのが「単品志向の消費者をどう2類愛用者に育てるのか」である。コロナに関係無く、数年前から消費者意識の多様化を背景に単品志向の消費者が増えていた。実際、ある専門店では雑誌やSNS等で人気商品を指名買いした消費者を分析してみると、予想以上に「化粧水」「乳液」の2類愛用者の構成比が低く、その背景には「メーカーでは単品志向に合わせた施策が中心で、お店独自の取り組みだけでは限界がある」と説明。殆どのメーカーが2類愛用者を増やすことが愛用者づくりに直結することを認識する一方、企業として数字を作っていかなければならず、そこにお店とメーカーの取り組みの差が生まれていた。先ほどのコーセー「イドラクラリティ」も、それぞれの商品は非常に順調だが、それでも化粧水と乳液の併用率はそこまで高くないとの声も聞こえてくる。


 メイクもしかり、単品のヒットアイテムも新たな出会いを生み出す。そして、その先お店が期待するのは、その商品をキッカケにお店やブランドを長く愛用し続ける「生涯顧客」に繋げていくことであり、そのためには化粧水と乳液の2類愛用者の育成が欠かせない。例えば幾ら単品で実績を作っても、それを継続させるのは難しい。


 そして単品志向の購入者に対して化粧品専門店としての強みの、お客との信頼関係も作りにくい。自分が好きな化粧品や肌に合った化粧品を使い続け、使い切る直前にお店に来てもらう。そして、その時の肌状態や季節に最適な化粧品を提案するというサイクルを重ねることでお客の専門店に対する信頼は深まっていくからだ。


■お客様との信頼関係を強化


 お店がメーカーに求めるのは「いい商品(モノ)づくり」「売れるモノつくり」だが、それはその化粧品をキッカケにした愛用者づくりを見据えているからこそ。しかし、今夏以降、某メーカーから大型新製品として化粧水が発売される予定だが、店頭では化粧水に絞ったプロモーションが行われる予定で「2類愛用者を増やせるチャンスなのにもったいない」と首をかしげる専門店は少なくない。


 勿論、2類愛用者を増やすには地道な紹介活動しかなく、その取り組みは直ぐに実績には結びつかないし、手間も時間も必要になる。しかし多くのお店がそうしたリスクを踏またうえで愛用者づくりに取り組んでいる。その想いに応えることもメーカーの役割である。


 秋以降、各メーカーが大型新製品の導入を計画しているが、その中でメーカーに要望するのはその化粧品をキッカケに化粧水や乳液の愛用者を増やすための施策である。単品施策では専門店もメーカーも一時的に数字を作るが経営の柱にはならない。回復傾向という流れの中で、今取り組まなければいけないのは、改めて専門店門店やブランドのファンを増やすことで、つまり「生涯顧客」という経営の柱を強く太くすることである。

(半沢)

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