アルビオンは、2025年よりスタートする「新・中期経営計画」について11月14日、東京都中央区アルビオン本社にて業界紙を招き「アルビオン方針説明会」を開催した。同社代表取締役社長・小林章一氏が「新・中長期経営方針」について説明した後、具体的な「デジタル戦略概要」について、経営企画部経営戦略グループ課長・鈴木翔多朗氏が登壇し、2025年から実施していくデジタル戦略の構想について説明を行った。(中濱真弥)
■小林章一社長の方針説明
はじめに本年度の実績に触れさせていただく。まず「営業本部実績」は前年比110.1%、「会員数」49万1886人(同104.6%)。ブランド別売上でみると「アルビオン」107%、「イグニス」104%、「エレガンス」115.9%と全体的に順調な推移をみせている。特に今年度は2019年以来、アルビオンブランドが目標達成ベースで順調に推移しており大変嬉しく思っている。
また「デジタル&EC戦略」の説明をする前に、皆さまもご承知の通り食料品を中心に値上げが続いているが、化粧品原料も同じく価格が高騰。更に円安が重なり、少しずつ経営において影響を及ぼし始めている。
こういう状況を踏まえ、これから先アルビオンとしては、一部の容器、商品の値上げを検討させていただきたいと思っている。なるべく多くの商品にならないようにしたいと思っているが、決定次第、改めて皆さまへ事前報告をさせていただく。
それでは本題の「デジタル&EC戦略」について説明する。まず一番に申し上げたいのは、「これからもアルビオンは専門店さまとともに、ジョイントストアさまとともに歩んでいく」ということを誓う。
私どもはジョイントストアの皆さまに黙って、何も言わずに新しいことを始めるではなく、何かを始める時には、しっかりと皆さまに説明をしてから物事を始めたいと考えており、ジョイントストアの皆さまの売上・利益を考えた経営を第一にこれからも取り組んでいきたいと思っている。
デジタル&EC戦略の一番のポイントは、「店頭でのお客さまづくりを最優先に考えていく」「店頭での価値提供を最大化させる」ということ。私どもの反省点として、アルビオンはデジタル戦略に力を入れてこなかったことが挙げられ、まずはデジタルで店頭に一人でも多くの新しいお客さまに足を運んでいただくためのデジタル戦略を構築していく。
デジタル戦略の流れは2段階で考えている。まずは2025年より営業本部内に専門部署を新設。そして2025年後半より、本格的にジョイントストアさまに新しいお客さまを送客する施策を考えていきたいというのが第一段階となる。
例えば、店頭でお買い求めいただいたお客さまに何かプレゼントを差し上げる、あるいは店頭で商品の良さを実感していただき、リアルでしか体験できないシンプルな美容活動商材の開発も現在進めている。
そして26年か27年導入になると思うが、全く新しい「肌分析機器の導入」も検討したいと考えている。もう1つは、乳液をより一層実感していただける美容機器「パイラナイト」の導入を始めている。
このように、ただデジタルマーケティングで新しいお客さまに仕掛けを実施するだけでなく、店頭においても数多くの施策を用意し、そして一人でも多くの新しいお客さまに店頭にお越しいただけるよう努力をしていきたいと考えている。
その上で、2026年4月をめどにECを実施していきたいと思っている。ただ、アルビオンのECというのは、あくまでもリアルの店頭に来れない、あるいは近くにお店がなくて困っているお客さま向けのECである。
そうした観点から、例えばECのお買い上げに対して大量のサンプルを付けたり、あるいは商品1個お買い上げにもう1個おまけで付くという施策は一切しない考えであることをご理解いただきたい。
また限定品などは店頭のみの販売とする他、将来的にはたくさんの還元はできないが、売上に対してお取引店さまへの一部還元も考えていきたいと思っている。それと同時に、お取引先さまへ利益を還元する為に、お客さまの背番号制を導入していく。
背番号制に対しては、お客さま情報を獲得し、直接私どもがお客さまにプロモーションやおまけをつけて販売を試みるものではなく、先程も申し上げた通り、あくまでもリアルの店舗に来れない方、あるいはお店さまが閉店、廃業され買う場所がなくなり困ってらっしゃるそういった方々向けのECとなっているので、そこはしっかりとご理解をいただきたいと思う。
次に、デジタル戦略を考えるようになった経緯について触れさせていただく。実はこの1~2年、お客さまからアルビオン製品を購入したくてもできない悲痛の声が非常に増えたことがまず1点目。
もう1点は、本年度1月~5月で専門店さま32店が閉店あるいは廃業されている。この中で問題なのは、32店さまの中で18店さまが月々100万円~300万円以上をご販売されているお店であるということ。要するに、多かれ少なかれ会員さまは買う場所がなくなり困られているのではないかと推察している。
こうしたことを踏まえて、今回、私どもはデジタル&EC戦略を考えるに至った。そうは言っても、我々は先ほど申し上げたように、リアルでのお客さまづくりを最優先に考えていく。デジタルを通して、まずは店頭での新しいお客さまとの出会いをつくっていきたいと思っている。
最初に申し上げたが、私どもアルビオンは、これからもジョイントストアさまとともに歩む姿勢は一切変わらない。一店さま一店さまのお客さまづくりを最大化していきたいと思っている。
このプロジェクトを通じ、新しい出会い創出や様々な施策を通し、全社を挙げてジョイントストアさまの売上・利益に最大限貢献していけるよう努力をしていく。アルビオンにしかできない、アルビオンだからできるお客さまづくりを進めていきたい。
今回、プロジェクト名を「Meet New‼PROJECT」と命名。これからもリアルの店頭と商品で感動を与え続けるお客さまづくりに邁進していく。
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