【日本商業新聞 コラム】-764- 過剰防衛
- 日本商業新聞
- 10 時間前
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980ヘクトパスカル程度の台風なのにテレビの天気予報は仰々しい。脅かしてくれる。
鉄道各社は間引き運転すると言うし、飛行機は早々と欠航を決める。しかし開けてみれば大したことはなく拍子抜け。最近はそんなパターンの繰り返しばかり。
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災害にならなかったのだからそれでいいと言う優しい人ばかりではない。中にはその狼少年ぶりに腹を立てる人もいる。
小心者を自認する団塊農耕派もその一人だ。数年前の大きな台風で甚大な被害を受けて以来、僅かな風音にも敏感になり、台風が来れば家族を見捨てて都内のホテルに敵前逃亡を企てる団塊農耕派にとって、不安ばかりを煽り立てる天気予報は脅迫そのものなのだ。
「大丈夫だよ。それほどの台風ではないよ。でも予報が外れることもあるから避難の準備だけはしておこうね」と言う予報官は居ないものか。
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小を中にし、中を大にして言うのは、国民の被害を最小限にしたいという気象庁の善意だと思いたいが、悪意を込めて邪推すれば、外れたときの批判から逃れる〝アリバイ保険〟と言えないこともない。過剰防衛と言われようが、5割増しの深刻予想をしておいていたほうが後々のため、と考える処世術のような気がする。
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地震の予想も同じで、国民に恐怖を与え続けている。
どうやら予知に関してはそれほどのスキルを持っていないらしい。地震の起きたあとでは分かったようなことを言うが、すべてが後付けで、その後の予知に繋がるコメントなど聞いたことがない。「同じくらいの規模の地震の起こる可能性がありますから2週間ほどは気をつけてください」の常套句がついてオシマイになる。
南海トラフも富士山噴火も地震学者として挙げておかなければならないアドバルーンに過ぎず、あいまいな告知がどれだけ国民を困惑させているかの創造力に欠けている。予知を外し続けたイタリアの地震学者が罪に問われたという笑えない話があるが、日本の学者も気象庁もそのくらいの危機感、いや使命感を持ってほしいものだ。
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過剰防衛の典型は先の阿部前巨人軍監督の事件で見た。
児相と警察が教科書的な仕事ぶりをやって見せたのだ。親に殴られたと言う子どもの通報を受け、児相が条件反射的に警察に知らせ、警察が直ちに逮捕したという事件だが、世間一般には子どもを救うため行った速やかな措置として評価されている。
しかし阿部監督には監督辞任と家族崩壊という二重の不幸が待っていた。この正義のリレーが正しかったのか懐疑的になる人が居てもおかしくない。同じような、でも本当に深刻な事件で遅れをとって批判されていた両者が面目を保つ為に行った拙速な行為だとする見方もあながち下衆の勘ぐりではないかもしれない。
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高齢者がクルマの免許を更新するにあたってその難易度が大幅に高められた。それは事故の数を減らしたい警察のごもっともな政策には違いないが、クルマが無ければ暮らしていけない老人のことを一切考えていない。
警察はコンプライアンス遵守と胸を張っても、それによって不幸になる人がいる以上、それは心無い過剰防衛と見られても仕方がない。
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さて6月初旬の台風の日、予報に怯えて外出を止めてこのコラムを書いていたが、電車は何事もなく動いていたらしい。本当は行きたいところがあったのだが。
(団塊農耕派)



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