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【日本商業新聞 2026年3月9日号】ピンチをチャンスに変える時

  • 日本商業新聞
  • 28 分前
  • 読了時間: 4分

■物価高で買い控え進む

「物価高で化粧品を買い控える生活者は今後も増えるだろうか…」


これはある専門店経営者の言葉だ。この数年、食料品をはじめ様々なモノの価格は上り、家計に影響を及ぼしている。


化粧品専門店においても「昨年からお得な時のまとめ買いやランクダウンが増えている」と危惧する声は多い。ただ、生活者の購買行動を紐解いてみると、年齢層によって違う特性があることが分かってきた。特に〝化粧品選びに失敗したくない層〟は増えており、この部分に関しては専門店が最も強みとするところである。ピンチをチャンスに変える時なのかもしれない。(半沢健一)



■より自分に合った化粧品選びへ


昨年から「化粧品を買い控えする生活者が増えている」という声が届いているが、その中身を紐解くと、化粧品の買い方に対する意識が変化していることが分かってきた。某バラエティストアのマーケティング担当者は、購入する商品の価格が、高価格帯から中価格帯へシフトする傾向が昨年から強まっていると説明する。


その実例の一つが、韓国や中国のコスメの台頭である。パッケージデザインやトレンドにいち早く対応する開発力の高さで支持を集めるが「高い機能性があるのにも関わらず、低価格という価格設定も支持を集める理由の一つ」と話す。さらに、オンラインで化粧品を購入したり、ポイント還元やセールで実質的負担を抑える生活者も増えており、節約志向は高まっているように感じる。


ただ、節約志向が高まっている一方で、「購買行動や化粧品に対する意識は年齢層別にそれぞれ違いがある」という。例えば、20代なら低価格の商品を選択する傾向が強く、30代はスキンケアへの意識が高くなるが、それでも「自分が必要と思う化粧品だけを購入する」を傾向が強い。


特に記者が注目したのが「40代」「50代」「60代以上」の3つの層だ。40代では、年齢を重ねたことで肌悩みが増え、肌質や肌悩みに対応した化粧品の購入意向が高くなる。50代は、よりスキンケア意識が高くなるのに加えて、子育てが落ちつく時期であるため、高価格帯であっても、より自分の肌に合ったスキンケア化粧品を愛用し続ける生活者が多い。そして、60代以降は、長年使い続けてきたブランドや化粧品への信頼が高く、スイッチする生活者は少ないというのが3つの層の傾向となっている。


これら3つの層、特に40代と50代に共通するのは、節約志向のベクトルが買い控えでなく「より自分の肌に合った化粧品を」「本当に効果を感じる化粧品を」というベクトルに意識が向けられていることである。だとすれば、これらの層の生活者が化粧品を購入するニーズに応えられるのは専門店以外にないのではないのかと思うのである。


その背景には、「より自分の肌に合った化粧品」「本当に効果を感じる化粧品」を求める生活者にとって、高い専門性と相談しやすい環境を両立させた環境が整っていることが挙げられる。特に〝化粧品選びに失敗したくない層〟においてはカウンセリングが何より効果的であり、実際に効果や使用感、香りを確認できる店頭体験は欠かせない。さらにこの層は、睡眠や食事、ストレス等への関心も高く、サプリメントや健康補助食品等と組み合わせた提案で満足度が高められる。専門店には、「信頼性の高いブランド・商品がある」「効果が実感できる」「肌質や肌悩みにあった提案を受けられる」、これら3つの要素が全て揃っているのが専門店だ。


今後も物価高が続いたならば、化粧品選びは更に厳しい状況に立たされるかもしれない。そうなれば、逆に高機能で信頼性の高い化粧品への期待やニーズはより高まると考えられる。そしてその思いに応えられるのは専門店の役割だと考えられるだけに、カウンセリングや美容に対する知識力の強化、あるいはタッチ活動といった肌に触れる体験を強化していくことが、生活者から選ばれるポイントになることは間違いない。1人ひとりにあった商品を提案するという強みを発揮出来たならば、物価高というピンチをチャンスに変えることも可能なのではないかと感じている。

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