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  • QuaLim 株式会社

【日本商業新聞 1面】各社拠点づくりに注力 2022/3/21

各社拠点づくりに注力


営業の重要性高まる

店との関係性更に明確化



 昨年、化粧品大手メーカーでは、新型コロナの影響を背景に化粧品専門店に対して様々な施策を打ち出したが、その中で特に注目しているのは、メーカーがこぞって「拠点店づくり」に関する施策を打ち出していることだ。拠点店とは、「〇〇〇〇ブランドを購入するならあのお店に」と生活者の誰もが思う、そのエリア(商圏)における旗艦店を指す。拠点店を目指すうえで、メーカーと専門店との強い関係性と、お互いの覚悟が必要になる。そしてそれらの施策を推進するにはメーカー営業の役割はこれまで以上に重い。(半沢)



 先述の通り、各メーカーでは、専門店流通への施策として「拠点店づくり」に関する取組みを打ち出した。例えばコーセー「フラッグシップショッププロジェクト2024」やカネボウ化粧品「絆プロジェクト」がそう。一部の専門店との共働体制を強め、「〇〇〇〇ブランドを購入するなら、あのお店で」と流通に関係無く、生活者の誰もが思うような、そのエリアの旗艦店を目指す。

 この2つの施策に加え資生堂「ビューティーパートナー施策」やアルビオン「EX―PLAN」もここ数年取組み続けてきた活動で、そのエリアの生活者からの支持を獲得して、地域一番店を目指すという意味で方向性は同じである。

 各メーカーが、こうした施策に取組む背景には限られた経営資源の最大化は勿論、高品質の化粧品に展開する売場としてリアル店舗の重要性が高まっていること、一方、地方では百貨店の閉店によりラグジュアリーな雰囲気の売場が減少していること、そしてメーカーが有力専門店との関係性を深めることも目的として挙げられる。

 どのメーカーもこれらの施策に全社体制で取り組むことを明言、実際、プロジェクトを推進するための社内組織を編成したり、人材育成への取組みを整えている。また、専門店もドラッグストアやEC等、急速に多様化が進む化粧品業界の中で生き残りをかけて取組んでいる。暫くコロナの影響が続いていく中で、メーカーと専門店との取り組みがどう市場に変化をもたらすのか、そして専門店流通の活性化にどう繋がっていくのか、とにかく注意して見ていかなければならない。

 一方で、そうした流れを見ていて記者としては、メーカーと専門店との関係性がより明確になるということと、メーカーにも専門店にも相当の覚悟が必要になってくると考えている。そのエリアでの拠点店になるためには、当然今以上にそのメーカーとの取組みを強化していかなければならず、様々なメーカーと取引している併売店にとってメーカーを絞ることは相当の覚悟が必要だ。また、店頭活動やスタッフへの教育をはじめ、店や商品の見せ方も拠点店に相応しいものに進化させなければならず、メーカーもそうした想いに応えるために一律でない、エリアや専門店の特性を考慮した、もっと踏み込んだ提案や取組み、サポートが必要となるため、やはり覚悟が必要である。

 そうなるとメーカー営業が担う役割は今まで以上に責任重大だ。何故なら拠点店には店や商品、ブランドの個性を伝えきる店づくりが前提で、そのためにもどれだけ店を理解し、その店にあった提案を行い、それを実行していく力が必要で、それが拠点店づくりでの大きなポイントといえる。

 この数年、専門店の経営者と話をする中で「コロナ後の専門店の形はどうなると思う?」と聞かれることが多かったが、その多くは仕組みや見せ方に関する部分が大半だった。しかし、昨年頃から、それらの質問に加えて「高品質の化粧品を展開する専門店として何が大事だと思う?」と聞かれることが増えていた。その背景には、この数年化粧品業界が大きく変化している中で「化粧品専門店としての存在感を発揮していけなければ」と考える経営者が増えていることがあり、この拠点店づくりに関する施策はそうした専門店に対するメーカーからのアクションといえるだろう。そう考えると、店の見え方だけでなく店頭活動においても「〇〇〇〇ブランドを購入するのなら、あのお店で」と頭に浮かぶ専門店を目指すための取組みが流通としての存在感を打ち出すためにも必要ということになる。

(半沢)

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