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【2025/6/3 日本商業新聞】ミニコスメが注目を集める理由

  • 日本商業新聞
  • 6月3日
  • 読了時間: 4分

今年になって、化粧品メーカー各社から数多くの新商品が発売されているが、そのペースはさらに高まっている。2年前に新型コロナの収束以降、スキンケアやメイクの需要が高まっていることが挙げられるが、もう一つ、トレンドが大きく変わっていることも背景にあるようだ。そうした中、昨年から高まっているのが「ミニコスメ」。「持ち運びしやすい」という利便性だけでなく、生活者の「試してみたい」という心理も働いているように思える。そんな生活者の心理の変化に専門店がどう対応していくべきなのか。(半沢健一)



■ミニコスメが注目を集める理由


冒頭にも記したが新型コロナが収束して以降、化粧品メーカ各社から新商品が矢継ぎ早に発売されているが、ここにきて強まっている傾向なのが、「美容医療コスメ」といわれる、美容医療の施術をヒントにしたスキンケア商品である。新規性の高い成分や処方技術がふんだんに盛り込まれ、その高い効果感に生活者も大きく期待を寄せている。加えて、より高い効果を求める傾向が強くなっていることもあって、インナーケアを重視する生活者が増加。美容と健康をサポートするサプリメントやドリンク剤も注目を集めている。


そうした中、もう一つの傾向として強く感じているのが「ミニコスメ」で、「美容医療コスメ」と同様、確実に注目を高めているのが、今年3月にリニューアルオープンした「@cosme TOKYAO」(東京原宿)の新コーナー「ミニコスメコーナー」だ。プチプラコスメからデパートコスメ、さらには韓国コスメ等、様々なブランドのお試しサイズやトライアルサイズ約100アイテムが展開されている。オープン後の取材時には若年層をはじめ、幅広い年齢層の来店客が大勢押し寄せる等の人気ぶりを見せ、それは今も変わらない。


そうして注目を集める背景には、「持ち運び」という利便性もそうだが、加えて「気軽に試してみたい」という心理が働いているように思えてならないのである。



■化粧品選び失敗したくない


例えば、ネットでのクチコミが幾ら高評価でも情報過多の今、肌質や香り、使用感触が自分が求めているものであるかどうか判断ができず、やはり実際に自分の肌で試してから購入したいと考えるのは当然のことであり、ネットで商品の効能・効果や特長に関する情報だけでいきなり本品を購入する生活者は限られてくる。


「ミニコスメ」が注目されている背景には、そうした生活者の心理の変化が大きく作用しているように思える。ましてや、様々なモノやサービスの価格が高騰している今、「化粧品選びに失敗したくないから、肌で試してから購入したい」と考える生活者が増えるのは当然のことといえる。


今後、専門店にとって重要な取り組みの一つであるのは「生活者へ体験を提供すること」なのは変わらない。生活者からの注目を集めている化粧品の魅力を、生活者自身の肌で体感してもらい、「自分の肌質に合っているのか」「自分の嗜好に合っているのか」等、それを確認してもらう活動ともいえる。もっといえば体験してもらうだけでなく、その一人ひとり違う肌質や悩み、生活習慣に適したお手入れ方法を加えていくことで、生活者に寄り添った体験価値の提供し、より満足感を高めていくことが専門店ならでは「強み」や「活動」といえる。


■生活者自身の肌で体験


専門店ではこれまで店頭での紹介活動やサンプリングに力を注ぐことでお客さまづくりに繋げてきた歴史がある。ここで改めて、紹介活動やサンプリングも含めた体験、いい換えれば「生活者自身の肌で試してもらう」活動が持っている意義を確認し、その商品へ期待を寄せている生活者に向けて、商品の新規性や魅力を伝える、さらには専門店の魅力も感じてもらうことが、より大切になっていくだろう。


そのためには専門店だけでなく、化粧品メーカー各社のサポートも欠かせない。「化粧品選びに失敗したくない」「自分に合った化粧品を使いたい」、そうした思いを持つ生活者が増えている今だからこそ、専門店とメーカーと共働して取り組むことが生活者の思いに応えることに繋がっていくのだと確信している。

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