【2025/4/7 日本商業新聞】正念場迎えるJビューティー
- 日本商業新聞
- 4月8日
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日本国内の化粧品産業は「少子高齢化の影響で成長は難しいだろう」との見方が大半で、特に「中価格帯」の化粧品市場はブランド撤退が続くなど厳しさが続いている。しかしこの状況に「待った」をかけたのが〝韓国コスメ〟だ。斬新な商品展開に、国を挙げた支援体制でまたたく間に市場を拡大。ついには長年首位を独走していたフランスを抜き、2022年には日本の輸入額1位に韓国が躍り出るなど躍進を続けている。〝MADE IN JAPAN〟を掲げるジャパンビューティーは今まさに正念場を迎えている。(中濱真弥)
■韓国コスメ 日本市場で攻勢強化 フランス抜き輸入額〝第1位〟に
韓国コスメの勢いが止まらない。日本国内では2011年の東日本大震災以降、消費者の低価格志向が顕著になり、1000円前後のプチプラコスメが売り上げを伸ばす一方で、ボリュームゾーンである2000~3000円台の中価格帯コスメは苦戦を強いられてきた。
中でも中価格帯を支えてきた「コフレドール」と「オーブ」の撤退は驚きを隠せない出来事として記憶に新しいが、コロナ禍を経て、より一層プチプラコスメと高級化粧品の〝二極化〟が鮮明になっている。
この中価格帯市場に大きなメスを入れたのが〝韓国コスメ〟だ。韓国における「化粧品輸出額」は、2011年はわずか8億ドルだったが、2021年には92億ドル(約1兆3000億円)にまで拡大。そして2025年には100億ドルを突破すると予想されている。また2023年の「国別輸出先」でみてみると、中国が28億ドル、米国が12億ドル、日本が8億ドルと日本は第3位の輸出国として位置付けている。
一方、日本の「化粧品輸入額」でみると、長年首位を独走していたフランスを抜き、2022年に韓国が「輸入額1位」に躍り出た。2023年の日本人女性の韓国コスメの「購入率」は19.9%と、5人に1人が年に1つ以上の韓国コスメを購入しており、「購入金額」もこの5年で2.2倍にまで増加。10代、20代に限ると購入率は3人に1人まで高まるという。
次に日本の「化粧品市場規模」で比較すると、2023年の市場規模はメーカー出荷金額ベースで2兆4780億円(前年度比104.6%)のうち、同年の韓国コスメの「消費額」は313億円(前年比37.3%増)と、日本の化粧品市場で占める割合はそこまで高くはないものの、「ベースメイク市場」では6%のシェアを占めるなど存在感を上げてきていることは間違いない。
こうした韓国コスメの躍進の背景には国を挙げての取り組みが大きく、民間主導型の成長から、Kポップや韓国料理と並んで世界に発信する「韓国文化」の1つとして、手厚い政府の支援体制が大きいことも理由の1つとして挙げられる。
また、最新の技術や美容成分を取り入れた高品質で低価格な商品である以外にも、「リップティント」や「クッションファンデ」のように、斬新な発想かつ、インスタ映えするかわいいパッケージやカラー展開などで若年層を中心に支持を獲得している。
気づけば、苦戦を強いられてきた中価格帯市場は韓国コスメにシェアを奪われる事態になっているといっても過言ではなく、近年の成長率をみるとこの勢いはまだまだ続くと考えられる。
逆を言えば、「日本国内の化粧品産業は少子高齢化で成長は厳しい」との見方がなされていたが、韓国コスメに限らず、中国コスメといった海外コスメが日本での展開を強化していることを考えると、実はまだまだ成長の余地はあったのではないか?と感じるのである。時事ドットコムによると、韓国コスメ大手のアモーレパシフィックは、「成長の潜在力が大きい米国と日本等に集中していく計画だ」とも話している。
ただ、ジャパンビューティーを支えるOEM関連企業も黙っていない。「韓国が国を挙げてくるならば、日本は〝チームジャパン〟でたたかうべきだ」との声があちこちから挙がっている。
足元の日本国内における〝MADE IN JAPAN〟の復活はあるのか。今まさにジャパンビューティーは正念場を迎えている―。
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