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【日本商業新聞 コラム】-760- 拝金主義

  • 日本商業新聞
  • 5 時間前
  • 読了時間: 3分

拝金主義が日本企業の成長を止めたのではないかと思うときがある。



成長期を支えた日本古来の〝徳の経営〟を見下し、アメリカ流の不道徳な経営手法を導入、模倣し、収益だけを追求する会社になり下がり、愛社心も人間味も無い人間が舵取りをし、気がつけば最も大切な秘伝のタレを失い、殺伐とした企業風土を作ってしまった。


「どこかおかしい」とようやく思い始めたが、政府までもが「投資」を奨める時代、国民を拝金主義の病から救い出すのは容易でない。でもその努力が日本復活の唯一無二の手段であることに違いない。



大谷選手の活躍はめでたいが、彼の報酬は日本のプロ野球の選手と比べて法外の度が過ぎている。アメリカンドリームという一律的な言葉では言い表せない。


でもこれは昨今のアメリカ世界では当然のことで、勝ち組が天井知らずの利潤を手にしても誰も文句を言わない。宝くじ以外に恩恵に浴す機会のない一般の人もそんなものだと諦めている。だから大金持ちのうそつきトランプが貧しい人のための政治を説いても国民は違和感を持たない。国も他人も別物、どうでもいい、肝心なのは自分のこと、拝金主義に慣れると個人主義しか芽生えなくなる。哀しい因果関係と言わざるを得ない。



そうMBLでは選手は商品でしかない。MBL新参の村上が大活躍していて球団は喜んでいるが、それはチームが優勝できそうだからではない。村上を高く売れそうだからだ。競走馬や錦鯉や金への投資と同じなのだ。


昔阪急ブレーブスは優勝を重ねても観客数が12球団最下位だったが、球団が選手を売るようなことはなかった。儲けよりも優れた技術を持つ選手と慧眼のファンを大切にした。結果阪急は後世の語り草になる玄人好みの球団に成った。


しかし今のMBLは金儲けだけが目的の成金オーナーに操られている。だからアメリカで阪神や広島のようなチーム愛や地域愛に溢れるチームを探すのは難しい。ちなみに広島カープの前身は市民球団で、運営は寄付金と選手のアルバイトで賄っていた。今でも広島ファンは異常なほどの団結力を見せるが、創設期の遺伝子がまだ消えていない証拠だと思う。



また企業の間でもハイエナのようなファンドが跋扈し、M&Aを仕掛け、弱肉強食の世界の象徴となっているが、彼らとMBLは同じ穴のムジナ。創業者が心血を注いで大きくした会社を窮地に追い込み、安く買い叩き、大きな利幅をとって第三者に売る、という勤勉な日本人が一番嫌う手法を弄す集団だが、いまや我が世の春を謳歌している。


そして昨今は優秀だと言われる学生までもがこの種の金融会社やコンサル企業にこぞって就職するようになり、目指すはその会社の繁栄ではなく、自らの充実と経済的豊かさだと平然と言う。会社の繁栄とそれを取りまく人間関係が自らの幸福の源泉だと考えた老輩の生き様を嗤う。



インバウンド需要で日本の化粧品会社が濡れ手で粟の状態だった頃、ある中国人が帰国時にこう言っていた。「戻ったらまた稼がなくては」。どうやら彼らは「宵越しの金はもたない」という日本人の美学を曲解して身につけているようなのである。


持っているお金は全て有効に使う、貯蓄などしない、投資に勤しんで倍にする…、MBLやファンドと同じ発想だ。大谷さん、村上さん、商材扱いから逃れて、日本に戻ってきませんか。

(団塊農耕派)

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