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【日本商業新聞 2025年8月25日号】コーセー記者ミーティング実施

  • 日本商業新聞
  • 8月28日
  • 読了時間: 6分

コーセーは、「2025年12月期第2四半期連結決算」を8月7日に発表。それに伴い、第2四半期に関する記者ミーティングを同日、東京中央区のコーセー本社で実施した。


記者ミーティングには、代表取締役社長/小林一俊氏の他、執行役員経理部長/松浪慶太氏と取締役経営企画部長/原谷美典氏が出席。松浪氏から第2四半期のサマリーについて、そして小林社長からは「欧米」「日本」「アジア」の各事業の現状と下期の取り組みについてそれぞれ説明。その後、質疑応答と直近のトピックスとして、DECORTÉ事業部グループマネージャーの井口史生氏から好調な動きをみせる日本市場でのデコルテの展開について説明した。(半沢健一)



【2025年下期の取り組み(代表取締役社長/小林一俊氏)】


■迅速な収益性向上を


欧米における事業戦略として「タルトの成長基盤の再構築」に力を注ぐ。上期は自然災害やトランプ関税の影響による経済の不確実性により、消費意欲が減退してメイクアップ市場の第1四半期は低調だったが、第2四半期は回復の兆しをみせている。依然厳しい市場環境が続いているが、店頭消化の回復とブランドのプレゼンス維持を優先したマーケティング投資を継続しており、成長チャンネルのEC、ソーシャルコマース等での販売を拡大している。


タルトはもともと、コンシーラーをはじめメイクアップカテゴリーにおいて、ロイヤリティの高い商品の強化に取り組んでおり、下期も継続する。リップカテゴリーは、他社との様々なコラボレーションで話題性を高めて新顧客を獲得。これらの取り組みが奏功し、第2四半期は回復基調となった。今後は的確にターゲットを絞った施策で市場の逆風を乗り越えることに注力する。過去においても、色々と米国市場でも厳しい環境下の中、スピーディーに施策を打つことで成長。下期、そして来期はさらに収益性を向上させ、営業利益率も再び2桁以上に引き上げることは十分可能と考えている。


続いて、日本における事業戦略の一つに掲げる「コーセー事業のコスト削減」。特に今期は販管費を中心としたコスト削減を実施しており、期初計画に計上済みの管理部門等における24億円の削減に加え、マーケティング費用の追加削減を実施。2025年度通期では総額48億円削減する。2026年度以降も、今年度のコスト削減ベースに投資効率等の精査を強化して、継続的な収益性の改善を図る。



■プレミアム市場を積極攻略


さらに「ハイプレステージを主軸とした利益創出」において、コスメデコルテでは、売上・利益共に貢献している。引き続き追求して拡大し、その利益を次なる成長市場へ投下していく。今年度の取り組みとしては、成長するプレミアム市場の攻略を掲げ、AQシリーズに引き続き注力する。毛穴美容オイルは発売前から多くの話題を集めた。下期以降もブランドの勢いをさらに促進するべく独自に開発した黒麹発酵液を配合した高機能化粧水「ユース パワー エッセンス ローション」を9月16日に発売。これら当社のモノづくりによる新商品を引き続き発売して、売上・利益の拡大を目指していく。


アルビオンについては今後も店頭を核とした顧客づくりを推進。ハイプレステージブランドとしての魅力を訴求し、顧客ロイヤルティを高めて店舗ごとの売上を増加して収益性のさらなる向上を目指していく。2026年にはECサイトをローンチする予定で、顧客接点の拡大を通じてブランドの訴求力を高め、店舗への導線を強化する。


そして、フラルネの高保湿スキンケアライン「ライブリーライン」を8月に刷新する他、エレガンスから「モデリング カラーアップ ベース」を9月に発売。また、新たな試みとして、8月に新生「フラルネ」のプロモーションで大きなメディア広告を打つ他、9月に企業ブランド「アルビオン」の認知度向上を目指し、大型プロモーションを実施する。こうした取り組みで、新規顧客の獲得につなげていく。



続いて「コスメタリー事業」。競争が激化している日本のマス市場において、上期は前年並みの売上を確保したが、下期は積極的な商品展開とマーケティング活動によって通期での増収を目指す。


コスメポートについては、ヘアカテゴリーのシェア拡大を目指し、ジュレームから新ラインを発売する他、グレイスワンではエンジングカテゴリー№1の維持に向けて新製品を発売。また、クレンジング等の主力カテゴリーでは、同様に新商品や限定品の発売等で需要喚起を強化し、売上拡大を図っていく。また、セルフブランドでは、ヴィセからリップカテゴリーの強化と、メイクキープミストシリーズのライン拡充等を進め、市場シェアの拡大を目指す。



そして「価格改定による収益性改善」について説明する。原材料価格の高騰に対応し、商品価値と顧客ニーズのバランスを見極めながら、利益率向上のために価格改定を実施。アルビオンのエレガンスは4月1日に、コスメデコルテは6月1日に実施。またインフィニティ、雪肌精、ワンバイコーセー、メイクキープ、カルテHD等のコーセーの主力ブランドも10月1日に実施する。


コスメデコルテについては、駆け込み需要が大変多くあったが、価格改定後も顧客、ロイヤリティの高さを維持しており実績的にもプラスに転じていて、今後の売上伸長にも寄与し、粗利改善にも貢献すると考えている。10月以降の価格改定についても、今期実績への影響は限定的だが、2026年以降の売上と粗利率の改善に貢献すると考えている。


アジアにおける事業戦略での「中国事業の収益性改善/パンピューリ事業の事業展開」について。中国コーセーでは、昨年度の構造改革を経て非正規市場への対応を継続させて収益性の改善を行ってきた。第2四半期も6月18日の大型ECイベントが計画通り推移したことで、第1四半期に続いて黒字を維持した。下期は「W11」での計画達成を目指し、セール期間以外での販売強化や費用対効果の高いプロモーション投資を推進、今年度も黒字化を達成していきたいと考えている。


また、グローバルサウスにおけるパンピューリ事業については、一時的にタイの治安に対する懸念からタイ国内における中国人の旅行客が減少したことで、内需向けの消費が落ちたが、対前年では増収増益を目指す。また、中国人以外の旅行客を獲得するため、日本を含む海外への早期展開を進める。グローバル市場におけるパンピューリブランドが持つ潜在的な成長可能性は非常に大きく、タルトに次ぐ成功を目指して新市場を獲得できるブランドにしていく。



最後に現在、各展開地域の市場環境、競争環境が変化する中、あらゆる対策が必要になってきている。その環境の変化にスピーディーに対応して中長期ビジョンのフェーズⅠにおける構造改革の完遂と基盤再構築に着実に取り組み、継続的な成長に向けた基盤を構築していく。

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