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  • 日本商業新聞

【2024/2/12 日本商業新聞】豊富な品揃え×お客様ニーズ/変わるドラッグの売場/「売上高」「来店頻度」が向上

 新型コロナが昨年5月に5類へ移行して以来、人の流れも戻り、それと共に個人消費も回復に転じてきている。ただ、生活者の化粧に対する行動や意識はコロナ前と比べて確実に変化しており、その一つがスキンケア意識の高まりだ。ただ、スキンケアに時間やお金をかける生活者が増えた一方、時短コスメを愛用したり、投資額を減らす生活者も増える等、二極化もさらに進んでいる。そうした変化はこれだけに留まらない。コロナ後の変化は、ドラッグストアの化粧品売り場においても見られるようになっている。(半沢)



■変わるドラッグの売場


 ドラッグストアの化粧品売り場というと、これまではどの売り場も画一的で、正直「代り映えしない」という印象しか持っていなかった。


 しかし、先日、都内の大手ドラッグの化粧品売り場に立ち寄った時のことだ。以前に来店した時とは明らかに違っていて他の店舗ではあまり見ないブランドや商品が並べられていただけではなく、見せ方自体も「化粧水」「乳液」「美容液」とカテゴリー別に陳列され、まるでバラエティショップのような、来店客への訴求度の高い売り場が展開されていた。


 実はそのドラッグストアの店長は昔からの知人で、「売り場づくり」について話を聞かせてもらうことができた。その店長いわく「以前はメーカーとの商談は本部主体なため、どの売り場も同じだったが、この数年、売り場づくりについては各店舗の裁量にまかされている。うちのお店の場合、客層の中心は40~60代で都心店と比べても若干高めなことと、化粧品を購入しない来店客が多いため、その年齢層に支持が高いブランドや商品を中心に取り揃え、そしてその商品特長をわかりやすく伝えることに取り組んでいる」と説明する。


 ドラッグストアの化粧品売り場といえば、大手メーカーを中心に豊富なブランド揃えと商品揃えが展開されているが、どうしても画一的な売り場という印象が強かった。しかし、この店舗の場合、客層に合わせてブランドや商品を選んで提案しており、それが記者には他のドラッグストアとは違って見えたのだった。



■「売上高」「来店頻度」が向上


 客層に合わせて商品を選んで提案することは、「小売店」からすれば当たり前。駅前等、集客立地で来客数が見込める店舗ならいいが、駅から少し離れた住宅街に位置する立地では、たとえ数多くのブランドを取り揃えていても、ニーズに合っていなければ集客は望めない。


 この店舗では、「豊富な品揃え」に加え、「地域特性」「お客様ニーズ」を掛け合わせた提案に取り組んでいる。資生堂やコーセー、カネボウといった大手メーカーのブランドだけでなく、40~60代からの支持が高いブランド、そして40代以降の女性が抱える肌悩み、具体的には「シミ」「毛穴の黒ずみ」「毛穴の開き」「シワ」「たるみ」への効果を訴求した「化粧水」を売り場の最も目立つエリアに集約して展開。その隣には「乳液」「美容液」、さらにメイクアイテムも展開しており、バラエティショップのような、来店客への訴求度の高い売り場となっている。


 また、目を引くのは各商品には特長を記したPOPも貼られ、ふらっと立ち寄った女性が真剣な表情で読んでいる様子も目にした。こうした売り場づくりはここ数年注力している取り組みだが、その成果として、これまで医薬品や日用品だけを購入していたお客様が、化粧品も購入するようになり、来店頻度も目に見えて高まっている。


 来店客のニーズに合ったブランドや商品を揃えること、そして商品の特長や正しい使い方をきちんと伝えることは、コロナ以降、改めて重要視されている。この店舗では、今後これらの取り組みを化粧品だけではなく、インナービューティーの分野にも拡げるとのことで、美容食品や飲料、トレーニング器具まで化粧品と関連づけながら美容・健康という大きな括りの中で提案していく計画だという。


 これまで画一的な売り場の印象が強かったドラッグストアの化粧品売り場ではあったが、今後、今までにない個性的な売り場が増えていくのは明らかで、ここでも変化は起きている。

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