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  • 日本商業新聞

【2023/5/29 日本商業新聞】〝脱マスク〟で活動本格化/〝メイク〟復活の兆し/口紅のリベンジ消費に熱視線

■口紅のリベンジ消費に熱視線


 3月以降、マスクの自由化及び5類への引き下げによって、化粧品業界にもようやく良い波の到来がやってきた。特に「口紅」をはじめとするメイクアイテムは復活に向け好調な動きをみせている。一方で「活動の再開」という点では、店頭においては「お肌のタッチ活動」が徐々に再開に向かっている他、化粧品組合では、各地でリアル総会の開催を復活させるなど、製販の関係性づくりもコロナ前へと戻りつつある。(中濱)



■〝脱マスク〟で活動本格化、〝メイク〟復活の兆し


 〝脱マスク〟以降、化粧品業界においては、口紅やファンデーションをはじめとするメイクアイテムに復活の兆しが見え始めている。


 日本百貨店協会によると、全国百貨店の3月の化粧品売上高は前年同月比17・4%増の約416億円で、コロナ前の平成31年3月の約76%まで回復。


 特に、コロナ拡大による外出減少やマスク着用の常態化でつける機会が大幅に減った「口紅」はリベンジ消費に盛り上がりを見せており、2月の平均単価が2021年同月を2割近く上回るなど、高級品の動きも活発化している。


 化粧品専門店に現状について話を聞くと「3月のマスク自由化以降、リップやファンデーションをフックに、メイクアイテムがしっかりと動きはじめている」と答えるお店がほとんどで、なかには「リップの新色は今までになく好調で、クレ・ド・ポー ボーテのルージュクレームはこれまでで一番予約が獲得できた」といった声や「リップの品切れが目立っている」というように、専門店においても口元関連のアイテムは好調な動きを示しているようだ。


 またメイクだけでなく「お肌に触れる活動」も着実に再開へと向かっている。マスク着用率も全国平均で約6割まで減少しており、本格的な夏本番を迎える頃には更に下がっていると考えられるだけに、今から下期に向けて一気に駆けあがれる準備をしておくことが重要になるだろう。


 話は変わるが、「活動の再開」という点では、化粧品組合においても各県粧協でリアル「総会」が行われており、記者も近畿を中心に参加させていただいている。


 よく「組合に加入しているメリットとは?」がディスカッションに挙がるが、記者が感じる最大の組合のメリットは、お店同士の情報交換はもちろんのこと、一番は普段会うことのないメーカー幹部をはじめ、様々な業界関連の方々と親交を深め合うことができるという点だ。こうした組合を通じた出会いの〝橋渡し〟が、ひいてはお店の経営に繋がることも多く、組合の醍醐味として大きな意味合いを持っていると感じている。


 和歌山県粧協では、今月18日から1泊で「第25期70周年記念総会」が白浜で開催され、各メーカーから沢山の来賓が出席し盛大に記念総会を盛り上げた。各県粧協に特長はあるが、特に和歌山においては、竹中前理事長の時から〝和〟を大事にする組合として、老若男女・年齢問わず組合員みんな仲が良く、まさしく〝和を以て貴しとなす〟という言葉を体現している県粧協と言える。


 アフターコロナ初の制限のない今回の総会では、食事やカラオケ、温泉などあらゆる場面でメーカーとお店の方が懇親を深め、互いに人となりを分かち合っている姿が見受けられるなど、コロナ前の活気が戻った非常に充実した総会となった。


 総会後、ある組合員のお店の方が「総会で某メーカーの方と今後について色々と話し合えたことで、お店に戻ってからのミーティングもスムーズに進んだ」という後日談も聞かれるなど、有意義な集まりであったことが感じとれる。


 一方ではこんな話も。某組合の総会で、あるメーカーが欠席したと聞き驚いた。理由を聞くと「その日は誰もオフィスにいないので出席できない」との返答だったそうだ。もちろん、やんごとなき理由があってのことだとは思うが、年に1度の総会に代役も立てれない程だったのか、はたまた組合とそのメーカーはそこまでの関係性なのかと勘繰ってしまう。コロナを経ても変わらぬもの、逆に変わるものもあるんだなとつくづく感じた次第である。

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