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  • 日本商業新聞

【2023/5/22 日本商業新聞】ポーラが専門店で展開開始/流通の垣根は更に低く/専門店独自の活動で明確化

 既報の通り、これまでオンラインや百貨店を主な販路に展開してきたポーラが、化粧品専門店「LOOKさんすて福山店」内に化粧品専門店第1号となるコーナーを6月1日にオープンすることが発表された。しかし、こうした動きはこれが初めてではない。数年前にはアットコスメストアで複数の百貨店ブランドが導入される等、百貨店ブランドの販路は拡がりを見せており、専門店と百貨店との垣根は確実に感じにくなっている。(半沢)



■流通の垣根は更に低く


 化粧品メーカー各社の今期第1四半期決算がひと通り出揃った。各社の決算状況を見る限り、共通するのは国内においてはコロナが一応の収束を迎えたことで動きが出始めてきた一方、海外は国や地域で差が見られ、特に中国ではロックダウンの影響から、まだまだ回復傾向にあるともいえないことであった。


 足元の国内についてだが、高価格帯のスキンケアブランドが好調で実績を牽引、加えてメイクにも動きが出てきていることが共通の傾向として見られる。そうした状況を踏まえると、今期は各社動きの出始めてきた国内市場に対し、商品施策は勿論、店頭施策でも取り組みをより強化していくのではないだろうか。


 一方、専門店の店頭でもこの数年、新しい動きが見られる。まず、2018年オープンの「アットコスメストア/ららぽーと富士見店」では、「ディオール」や「イヴ・サンローラン・ボーテ」「クリニーク」「ランコム」等の海外ブランドが導入され、チャネルの垣根を超えたチャネル横断型店舗として話題を集めた。


 また、2020年にはオンラインと直営店舗で展開していたオルビスが一部の専門店で展開をスタートさせた他、これまでオンラインや百貨店を主な販路としてきたポーラが、広島県と兵庫県で9店舗を展開する化粧品専門店「LOOKさんすて福山店」内に化粧品専門店第1号となるコーナーを6月1日にオープンすることを発表。「オルビスだけでなく、ポーラもか…」と驚く業界関係者も多い。顧客体験向上のため、新たな接点拡大が目的という。 

 

 この数年間、化粧品メーカー各社では新たな接点拡大として販路を拡げる動きが見られるようになり、例えば「見え方」の部分で消費者は専門店と百貨店との違いを少しずつ感じにくくなっているのかもしれない。



■専門店独自の活動で明確化


 そうした状況の中で、流通の垣根というか、流通特性や違いを明確に感じてもらうには、やはり活動に尽きる。専門店専用のブランドを取り扱っているから専門店ではない。専門店としての活動を行っているから専門店なのである。


 もっと言えば専門店でも百貨店ブランドを展開する今の時代、流通の垣根が感じにくくなっているからこそ、専門店としての活動を全面に出していかなければならないしそれを一人でも多くの消費者に伝えていくこと、感じてもらうことが大切ではないのか、そう思えてならない。


 百貨店のコーナーではその消費者のことを真剣に思い、その消費者に最適な提案をしている。この活動は専門店も変わらない。しかし、専門店の場合、そのメーカーだけでなく、お店で取り扱うブランドの中から、肌質やライフスタイルも考慮しながら、より選った提案が出来る。これが活動において、専門店と百貨店との一番の違いだし、消費者の満足度も違う。実際、コロナ禍にあって様々な流通がある中で最も早く回復傾向を見せたのは専門店であることからも実証されている。


 専門店には集客立地店と路面立地店とがあり、当然客層も活動も違うがそれでも専門店に来店するのは、「肌の悩みを解決したい」「キレイになりたい」「ビューティーを楽しみたい」と明確な目的があるからで、それに応えるのが使命である。


 今期、特に下期は各メーカーから新製品が導入されることが発表されている。その詳細については明らかにされてはいないが、各社の反応を見ている限り、かなりの大型新製品であることは間違いない。そして国内市場への取り組みが強化されていくことが予測される中、で大事なのはその新製品をより魅力的にする専門店にしか出来ない活動に尽きる。

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