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  • 日本商業新聞

【2022/11/28 日本商業新聞】専門店・デジタル化飛躍へ

 コロナがはじまりもうすぐ3年が経過するが、ゼロベースで始まった化粧品専門店における〝デジタル活用の進化〟には目を見張るものがある。「情報発信および収集」、お客様との「コミュニケーションの進化」など、それぞれのお店が創意工夫を凝らし、よりリアルを高めるツールとしてデジタルを活用している。化粧品専門店のニューノーマル時代は今後も広がりを見せていくだろう。(中濱)



■専門店・デジタル化飛躍


 コロナ禍に入りデジタル化は加速度的に進化した。ECを筆頭に、リモートワークや無人レジといった非対面・非接触方法が生まれた他、情報の発信および収集、また新たなコミュニケーション手段としてもデジタルは生活の一部として溶け込んでおり、〝ニューノーマル〟と呼ばれた時代は今や当たり前の存在となっている。


 化粧品専門店を取り巻くデジタル環境をみても、当初は外出自粛で買い場がないお客様に向けたECからの取り組みだったが、たった約3年という期間で〝リアル活動に繋げる〟ツールとして、あるいは〝リアルの強みを活かす〟ツールとして、様々なお店が創意工夫を凝らしたデジタルの活用を行っている。


 まずコロナ禍で最も影響を与えたことは〝購買行動の変化〟である。スマホを中心としたメディアを通し、情報を収集してから商品を購入するという買い方が主流となったことで、これまでお客様の来店を待つ〝受け身〟であった専門店も、デジタルを通じてお店を知っていただく〝外へ向けた発信〟へと活動が変化している。


 そこでお店の情報発信として活用されているのが「インスタグラム」や「YouTube」であり、埼玉で路面専門店を営んでいる「パーミンダイゴウ」では、コロナ禍の中でいかに来店動機に繋げていくかを考え、2020年4月にYouTubeで「鈴木店長の美容チャンネル」を開設。


 現在のチャンネル登録者数は2・7万人を超え、大郷代表は「鈴木店長めがけて来店するお客様も増え、お店の認知度アップにも繋がっている」と話す。最近では、鈴木店長と他店の奥様がコラボしたインスタライブを行うなど、その活動は全国の専門店へと広がりを見せている。



■随所に光る創意工夫


 次にお客様との繋がりという点では「LINE」の存在は重要さを増している。その理由としては、まず「情報発信」という点で、これまで紙ベースであったDMやハガキをLINEに置き換えることができる以外にも、リアルタイムで情報を発信できるという利点が1つ。

 もう1つはお客様との「コミュニケーション手段」として、いつでもどこでも連絡が取れることから「予約活動」にも活用できるなど、店側にとってもお客様にとっても非常に便利なツールとして効果を発揮している。

 更に「経費削減」にも貢献しており、某専門店では「DMやハガキでかかっていた経費が浮いた分、別の形でお客様に還元している」と話すなど、「LINEは即活用したいツール」として専門店への貢献度は高い。



■リアル高めるツールに成長


 また、実習型のコト活動を更に充実させるツールとして、資生堂オンリー店として展開している福岡の「ウエキ化粧品店」では〝WEBカウンセリング〟を積極的に取り入れている。その背景には「例えばお店で実習したものの、おうちに帰られてから使い方を忘れてしまったという方も多く、そうした時に再度来店していただかなくても、WEBがあればすぐに対応が可能なだけでなく、お客様もご自身の好きな時に好きな場所で自由にカウンセリングが受けれるメリットを感じてくれている」というように、〝店頭への来店〟を飛び越えた〝デジタル来店〟へとカウンセリング方法も進化を遂げている。


 その他にも、北海道の「星の国」では、カウンセリングシートをPDFでデータ化しお客様とLINEで共有。「紙で渡すと紛失することも多いが、データであれば何度も見返すことができて便利」だという。


 このように、ゼロベースから始まった専門店におけるデジタル化だが、よりリアルを高めるツールとして進化させている専門店の柔軟さには改めて感服した次第である。

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