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  • 日本商業新聞

【2024/1/29 日本商業新聞】売り場づくりの奥深さ/自然と使う姿を想像/「シガーロ」売り場に注目

 化粧品における売り場づくりの目的は、立地や客層、店内の導線、売れ筋ブランド等、店舗特性を踏まえ、「入りやすい」「見やすい」「手に取りやすい」「買いやすい」売り場に整えることだが、それ以上に、目の前を通った生活者をブランドや化粧品のファンにしていくことも欠かせない。先日メンズコスメブランド「シガーロ」の売り場を見学した。驚いたのは、百貨店の紳士服売り場でも展開していたこと。普段目にする華やかな雰囲気とは一線を画し、その重厚な雰囲気の売り場は多くの男性客の目を引いていたのが印象的で、改めて売り場づくりの奥深さを感じることとなった。(半沢)



■「シガーロ」売り場に注目


 先日、化粧品専門店の経営者に「シガーロというブランドの売り場が気になっている」と教えてもらい、早速見学させていただいた。


 「シガーロ」は2013年に日本で誕生したメンズコスメブランドで、スキンケアだけではなくボディケアやヘアケア、オーラルケアやフレグランスまで幅広いカテゴリーを展開している。


 その特長は、化粧品としての華やかさよりも、40代以降の男性が好む、重厚な容器デザインやモノづくりに徹した世界観で、一部ユーザーから絶大な支持を集める。現在、全国40店舗以上の売場を展開。主な売り場は百貨店だが、化粧品売場ではなく、紳士服売場での展開が中心となる。


 先ほど、経営者が「気になる」と言っていたのは、そのブランドの見せ方である。実際に売り場を見ると、紳士服売場に一角に置かれたネクタイやカフスボタン等の紳士雑貨の横に展開。こじんまりとした売り場ではあるが、それでも紳士服売場の中に化粧品があること自体目を引くし、自然とその化粧品を使っている自分の姿を思い浮かべていることにも驚く。


 一般的に百貨店の紳士服売場を訪れる男性客の年代は高めだと考えられている。「シガーロ」もそうした30代、40代以降の男性をターゲットに設定していて、その売り場が紳士服売場で展開されているとなれば、おのずと生活者からの関心も高くなってくる。


 化粧品メーカーでは商品は勿論、売場づくりにも力を入れている。売り場の中でブランドの世界観や存在感を発信して、来店客の目を引いて関心を高めること、そしてブランドのファンになってもらうためだ。専門店の店頭では、各ブランドが趣向を凝らした売場づくりが行われていることで店舗全体の雰囲気を華やかなものにしている。


 「シガーロ」の場合、華やかな雰囲気とは言えない紳士服売場においてブランド単体でしっかり重厚感というブランド特長を発信。紳士服売場全体がとても落ちついたような雰囲気で、改めて売場づくりの奥深さを感じることとなった。


 以前、「これからの化粧品にとって重要な要素は『魅せる』」と記した。勿論、化粧品自体もそうだし情報発信もである。そして売り場づくりも化粧品を「魅せる」うえで欠かせない。この「シガーロ」の売場づくりにも当てはまる。ブランドの世界観や個性でファン化する、そして化粧品を使っている自分の姿を想像させる売り場も「魅せる」ことの一つだといえよう。

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