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  • 日本商業新聞

【2023/9/11 日本商業新聞】「化粧水」への期待感低下か/使用法と使用量徹底/ポイントはレッスン活動

 ある大手メーカーの調査によると、生活者の約8割は「化粧水」に「うるおい」の効果を求める一方で、「効果の違いを実感しにくい」と感じていること。そして、「化粧水」を選ぶ際の選択基準は「何となく成分で選ぶ」「沢山使えるもの」で、「化粧水」に対する効果実感への期待感は低く、その反動で「乳液」「美容液」に投資する生活者が増えていることがわかった。

 コロナが収束して化粧することが当たり前になった今、もう一度スキンケアのベーシックアイテムへの取り組みを見直す時期にあるのではないのか。(半沢)



■「化粧水」への期待感低下か


 日本商業新聞社では、毎月「化粧品出荷統計実績」を紹介しており、今号では今年1~6月上半期の実績を掲載。上半期の個数は前年同期比1.7%減、金額は同0.2%減と共に減少。分野別では、「頭髪用」が個数で同1.2%増、金額で同0.3%減。「皮膚用」が個数で同10.3%減、金額で同7.4%減。「仕上用」が個数で同10.1%増、金額で同9.5%増。「特殊用途」が個数で同11.5%増、金額で同18.6%増。個数、金額共に前年同期実績を上回ったのは「仕上用化粧品」「特殊用途化粧品」の2分野。


 その中で今回が注目したのが「皮膚用」の「化粧水」。6月までの実績は個数で同0.9%減、金額で同20.2%減と、顕著に金額の落ち込みが目立つ。「化粧水」はスキンケアのベーシックアイテムだが、ここまで個数と金額に開きがあるのには何かしらの理由がある。


 ある大手メーカーの調査では、生活者の約8割は「化粧水」に「うるおい」といった効果を求める一方で、「効果の違いを実感しにくい」と感じていることが判明。さらに「化粧水」を選ぶ際の選択基準として、「何となく成分で選ぶ」「沢山使えるもの」といったように、その効果を実感しにくい「化粧水」に対する期待は低く、反動で効果が実感しやすい「乳液」や「美容液」に投資する生活者が増えているらしい。事実、SRIデータでは2022年の化粧水カテゴリーの平均単価は2019年比で17%減少と大きく減少している。


 そこから見えるのは、各社が展開する「化粧水」は、長年の研究で得た知見が盛り込まれているのにも関わらず、その機能や効果を十分に体感していないことと、大手メーカーが示す通り、生活者意識として「化粧水」よりも「乳液」「美容液」への期待が高く、それは出荷統計実績で金額単価の低い「化粧水」にシフトしている傾向からも見て取れる。



■使用法と使用量徹底、ポイントはレッスン活動


 何故、生活者は効果を感じにくいのか、その背景には正しい使い方や適性な量でケアが行

われていないことも理由の一つとしてあるのではないだろうか。


 コロナが収束して以前のように外出機会が増えたことで、化粧をすることが当たり前になった。しかし、そのコロナ禍で外出機会が減少した中でよりスキンケアへの意識が高まったとも聞く。だとすれば、「化粧水」も勿論、その他のベーシックアイテムの「乳液」「美容液」を正しく使う生活者を一人でも多く増やすことが大切になってくる。


 それに対して大きなポイントとなるのは、これまで専門店で行われてきた「レッスン活動」ではないのか。「コットンを使っているのか」「適性使用量なのか」「正しい手順で行っているか」などを伝えていく場であると同時に、その肌状態に適切な提案をしていくことで、そのブランドや専門店への信頼も高くなる。だからこそ、今一度「化粧水」「乳液」「美容液」等、ベーシックアイテムへの取り組みの見直しが大事になる。

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