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  • 粧サポ 長谷川

【2023/11/6 日本商業新聞】専門店の「二極化」加速/〝店なのか人なのか〟/自店の生き方見直す変革期へ

 今後化粧品専門店流通は、好立地である程度の坪数を有し、様々なブランドやアイテムを取り揃えた展開で〝店〟としての存在価値を高めていく大型店としての生き方と、1人ひとりの個肌を追求し〝人〟を介した活動によって、地域のお客さまから高い信頼を勝ち取っていく路面型店と、同じ専門店でも生き方は更に〝二極化〟の方向へ進むのではないかとみている。コロナ禍を経て、今自店の生き方そのものを大きく見つめなおす変革期に来ているのかもしれない。(中濱)



■専門店の「二極化」加速〟


 2023年も残すところあと2カ月。コロナ禍が明け本格的な経済活動が再開される中、化粧品専門店流通においては、今後顧客は〝店〟につくのか、あるいは〝人〟につくのかという専門店の二極化が進むのではと感じている。


 その背景には、高トラフィックな立地である程度の坪数を有し、多数のブランドを展開しているいわゆる「大型専門店」では、自由に化粧品を試すことができる〝セミセルフ型〟の展開が功を奏し大きく成長。


 例えば、大阪駅にオープンした「アットコスメ大阪」では、予想を大きく上回る来客数で連日賑わいをみせている他、愛知県を中心に24店舗を展開している「パルファンくわこや」では、今年度過去最高の売上67億円を達成するなど、魅力あるアイテムを取り揃え、売場における楽しさやワクワク感を届けると共に、高い接客力を持ち合わせた提案がコロナを経て高い支持を獲得している。


 某大型専門店の経営者によると「コロナの前後を比較したお客さまの動きをみて感じることは、『あの人から買いたい』という購買行動から、『あの店で買いたい』という風に、確実に〝店〟のファンとしてリピートするお客さまが格段に増えた」というように、大型店においては、店全体としての魅力を上げていくことが成長に欠かせない要因になると考える。



■〝店なのか人なのか〟


 一方で、路面店を中心に、限られたブランドで地域のお客さまをターゲットに展開している中小の専門店においては、より〝人〟にフィーチャーした活動へとシフトしていくと考えられる。その中で最も注目されている活動が〝エステ〟だ。


 愛知県西尾市で路面専門店を営む「オリーブ」では、フェイシャルやボディをはじめ、早くから脱毛も取り入れるなど「地域のお客さまの美は全て当店で叶えたい」という思いのもとエステ活動に注力。山と海に囲まれたのどかな町で、殆どのお客さまが車での来店のお店だが、エステと化粧品の連動は約8割というだけでなく、男性や子どもまで幅広い年代層の来店も多いなど、地域において盤石な体制を築く。


 また「路面専門店として新たな生き方を示す先駆者になりたい」と目標を掲げる兵庫県明石市の「シバニ化粧品」では、前々号の1面にて、フレイル予防といった地域貢献活動にて存在感を高めていると紹介したが、エステ活動においてもこだわりをみせる。


 メニューは、コロナ禍で肌悩みのトップを占める超音波の毛穴エステから、資格を持ったスタッフによる眉カットや眉ワックスなど、出会いに繋がるライトエステから、特別感や満足感を高めるお手入れまで幅広いメニューを展開。


 しかし、同店の特長はエステの内容やメニューだけではない。水野社長代理がエステで最も重きを置いていることは〝エステのあと〟だと話す。「エステ活動において目的としていることは、エステを通じ、いかに化粧品の購入に繋げていけるかである。エステの何が強みかと言うと、必ずお客さまは半顔及び全顔ノーメイクになること。ここでいかにメイク提案であったり、その方の肌悩みに合わせたスキンケア相談など、個肌に寄り添った提案を行えるかによって〝このお店に肌を預けたい〟〝次も来店したい〟と思っていただける重要な要素になる」と、専門店におけるエステの役割や目的において言及する。


 このように、一括りに専門店といっても、店全体を強くするのか、あるいはより人を追求した活動に注力するのかの分かれ道にきていると感じている。コロナ禍を経て、自店の生き方そのものを見つめなおす変革期に来ているのかもしれない。

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