チーム粧サポ キャリア担当、化粧品店経営者キャリコンの長谷川です。 本ブログは全国初「化粧品店経営者+キャリアコンサルティング」という立ち位置で経営者の皆さんの悩みを共有し、お題に対し皆さんのメッセージをいただきながら、解決策を共有してくことを目的としております。
毎日コロナウイルスの話題ばかりが取り沙汰されて重大関心事とはいえ少し辟易としてしまいますね。 ですので今回は市場環境ではなく、経営環境がピンチに陥った時のためにという観点で「社内」に目を向けてみます。
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記憶に新しい出来事に、東京都中央区の保育士さんが大量退職するニュースが有りました。
J-CAST ニュース「保育士大量退職へ... 東京・中央区の認可保育園に何が起きたのか」 野口博之氏 https://www.j-cast.com/2019/03/13352605.html?p=all
記事によれば、例に漏れず給与ダウンなどの待遇悪化や、人手不足による長時間労働が挙げられております。真因を知る由はありませんが、このようなケースの場合、表面的には待遇であっても、実際は人間関係に端を発することがほとんどです。
そこで今回は、人間関係の構築にあたって、心理学やキャリアコンサルティングで重要視する、「ラポール」というものをお伝えします。
ラポール(rapport)はラテン語で「持ち帰る」という意味raporterを語源として、「報告する」という意味をもっていました。時代を経て、報告できるような「より緊密な関係、信頼」というフランス語に行き着き、以後その信頼関係を表す用語として使用されています。…エラソーに言ってますが、キャリアコンサルタントの試験勉強をするまで知りませんでしたけれど(汗)
さて、ラポール=信頼関係ですが、なぜ心理学やキャリアコンサルティングで重要視されているか。それは「信頼」が話を聞き出すための大前提にあるからです。例えばあなたが初めて会った人間に質問を受けた時、どこまで正直に答えられるでしょうか?あるいは友人に質問を受けた時なら?その差がまさに相手との信頼のバロメーターなのです。
カウンセラーは相談者の真の困り事や不安を聞き出すため、このラポールが形成された状態、つまり「相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり感情の交流を行える関係が成立している状態」を目指します。でも経験の積み重ねが少なければそう簡単には信頼できませんよね。ですから表面的な部分=態度で信頼を表すことを重視しています。これには様々な手法がありますが、その一例を出してみます。
1.姿勢 相手を最大限に尊重すること、という姿勢です。姿勢なんて結構曖昧な表現ですが、信頼関係を築きたいという思いが態度に現れます。相手を支配しようとか、自分の言うことを聞かせたいとか×です! そしてその態度は「傾聴」という行動で現れます。相手の話を否定せず、共感しながら聞いてあげるのです。これが意外と難しいのです。
2. 類似性 相手に自分を合わせる手法です。ドラマで説明されたりしますね。 自然界でもそうですが、敵か味方かを「見た目」「行動」「様態」で見極めているからですね。 考え方や趣味趣向で似通っているものを見つける、相手と呼吸のペースをあわせる(ペーシング)、相手の動きと同じ動きをする(ミラーリング)、相手と言葉を合わせる(バックトラッキング)などの手法があります。
3. 感覚 神経言語プログラミングという技法*において、人間に備わる五感、これは人によって活用するクセがあるそうです。*1980年代に開発された心理療法の技法の一つ 聴覚をよく活用する人には聴覚に訴えかける会話を、視覚をよく活用する人には視覚に訴えかける会話をするわけです。相手の使う言語によくよく集中すると、その傾向が見えます。
【引用】NLP-JAPANラーニングセンター「NLPプラクティショナーテキスト」 社員が視覚タイプ、社長が身体感覚タイプ 噛み合わない会話 部下: 社長、私には当社のビジョンが見えないのですが? 社長: どうしてそう感じるんだ? 部下: ・・・・・。 部下: 会社がどこに行こうとしているのかが描けないんです。 社長: 心配するな。そのうち順調にいくことを実感できるさ。 部下: そのうちとかではなく、わかりやすく明確に見える形で示してほしいのです。 社員に合わせて視覚タイプの話し方をすると 部下: 社長、私には当社のビジョンが見えないのですが? 社長: そうか。どう説明すれば、具体的に見えてくるだろうね。 部下: 今後の見通しや、将来の構想を具体的にイメージしやすくしてほしいんです。 社長: わかった。じゃあ、資料を作成してスライドで見せよう。 社長: この先当社は、この市場に狙いを定めている。そして・・・・・。
こちらによくまとまっております。 プロが教える信頼関係を生み出す秘訣 足達大和氏 https://life-and-mind.com/rapport-making-secret-477
このような手法をもとに信頼関係を作り出しラポールが形成されることによって、相手との自由闊達な意見交換や本来の感情を相手に伝えることができます。逆に言えばラポールなしに真実の意見交換は難しいのです。
保育士さん大量退職に話を戻しますと、その背景には…ほぼ間違いなく…このラポールが形成されていなかったという原因が考えられます。
信頼関係があったなら、給与のダウン以前に話し合いをしっかりと行い合意が形成されていたでしょうし、長時間の労働も目的を持って行うあるいはなくすことができていたのかもしれない。 辛い局面も経営者と保育士さんが皆で協力して、全員の未来のために苦境に耐えていたかもしれない。いずれにしても、大量辞職という手段をとった時点で、すれ違い、相互不和、不信が今回の破綻につながっていたのです。
経営者と従業員という関係値ですでに役割がある点、ただただ対等な関係値にすることは非常に難しい。 ですが相手を信頼し、話をよく聞き、相互に信頼関係を築くことはできます。 人が苦境に立った時に動くのは、お金のためでも労働環境のためでもありません。人のためなのです。
今、あなたの会社で本当の意味での信頼関係は醸成されているでしょうか? 自分の意見を相手に伝えることに集中して、相手の意見を受け取ることをおろそかにしていませんか? 会社が苦境に陥ったときに助けてくれるでしょうか?
ラポール=信頼関係が形成された時、社員さんや従業員さんは自発的に行動を起こしてくれるようになります。 現在のコロナウイルスのような危機的状況においても、対策を考えるなど一緒に行動してくれているはずです。そして会社や経営者の目指す目標を共に達成するための本当の仲間になり、引いては必ず会社の発展につながることでしょう。
名古屋市のサービス業の経営者Tさんの経験談を一つ。その経営者さんは昨年胃がんで倒れられて4ヶ月の間現場を離れざるを得なかったのですが、準備もなく倒れ病状も悪かったためその期間中具体的な指示ができませんでした。にもかかわらず店の士気は以前に比べて逆に上がって売上も生産性も10%以上向上したとのこと。 どうしてか聞きますと、No2のスタッフさんが「今こそTさんへの恩返しと自分たちの力の見せ所だ」と他のスタッフを鼓舞したようです。
日頃から会社の行く末を、従業員さんの行く末を案じて耳を傾け、話をしていたのでしょう。お金のためではなく、倒れたTさんの信頼に報いるべく皆が頑張りました。4ヶ月ではありますが難局を乗り越えかつ成長をしたのは経営者の判断ではなく従業員さんの力だった、とはTさんの談です。
改めて信頼関係を考えてみることで、今そしてこれからの会社がより良くなります。 是非一度振り返ってみてください!
もし信頼関係の築き方や現状でお悩みがある方、共感できる方、現状のお困り事等ぜひメールでご相談ください!
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