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【2024/10/7 日本商業新聞】お店そのものが美容のプロ / スタッフ全員で紹介 / 人を介した活動の重要性

日本商業新聞

この数年、化粧品業界はデジタル化とネットの活用で大きな変革が起きている。コロナ前には、LINEやX、インスタグラム等のSNSによる情報拡散で裾野を拡大。そして、コロナ禍では外出自粛や対面接客が規制されたことを理由に自宅でのオンラインカウンセリングや、スマホアプリを使った肌診断が注目を集めた。そして、コロナ後の今も進化は続いており、デジタルとネットを使った新しいアプローチが次々と誕生している。ただ、それらが進めば進むほど、「人」、もっと言えば「人を介した活動」の重要性も改めて高まってきているように思える。(半沢健一)



■お店そのものが美容のプロ


前文で記した通り、コロナ前からデジタルとネットの活用して、生活者への情報発信や体験の提供など、新たなアプローチが誕生している。その流れは今後も進んでいくのは間違いなく、どんなコンテンツが誕生していくのか楽しみだ。


ただ、そうした流れにあっても、変わらないのは「人」の重要性。もっと言えば、デジタルやネットを活用することで、より化粧品に興味を持つ生活者が増えていくに伴い、「人を介した活動」の重要性もさらに高まるのではないだろうか。



■スタッフ全員で紹介


先日、地方にある、集客力の高い商業施設で展開している専門店を取材した。その取材では、日々の活動やお客様への想い等について話を聞いていたが、9月発売の新製品の予約活

動の話になった際、「人を介した活動」の重要性というか、素晴らしさを再認識した。


お店は集客立地なためフリー客が多いが、それと同時に、何かしらの肌悩みを持って来店される方も多いという。そのため、たまたま接客したスタッフが肌悩みを聞くうちに、「この方の肌悩みには、あの新製品が最適」と感じた際、例え担当メーカーが違っていても、それを紹介した結果、当初の計画以上の予約を獲得。その多くがフリー客で、さらに、店頭で試しただけで予約したという方も多いという。


簡単に言えば、その化粧品のことをよく知らなかった生活者がスタッフや美容部員の話を聞いて、一度試した後、予約をしたということになる。


それを実現させたのは常に全スタッフがメーカー問わず製品情報だけでなく、実際の効果感や使用感も共有し合うというコミュニケーションの高さにある。



■人を介した活動の重要性


話は少し変わるが、お店の経営者が社長就任時からとても大事にしてきたのが「お店づくり」。それは、お店の広さや品揃え、装飾等の目に見えるものだけに留まらず、お店にいるスタッフのモチベーションも高めることが、お店の入り易さや信頼感に繋がると考えており、常にスタッフや美容部員が働き易い環境づくりに注力している。それが、スタッフや美容部員のモチベーションだけでなく、コミュニケーションを高めることに繋がった大きな理由だ。それ故に担当メーカーが異なるスタッフであっても、ごく自然な形での紹介活動が可能となり、その化粧品をよく知らないフリー客でも予約をしていったのではないのか。実際、お店の中では来店客とスタッフ、そしてスタッフや美容部員同士が会話しているシーンが至るところで見られた。


繰り返しになるがデジタルやネットを使った新たなアプローチが増えるのに従って、生活者の化粧品への関心は上がる。それと同時に「自分に肌に合った化粧品なら使ってみたい」というニーズも高まるはず。その時、欠かせないのは、やはりお店にいるスタッフや美容部員の、つまり「人を介した活動」で、それが最終判断の材料となる。


もともと「人を介した活動」を武器にしてきた専門店。そしてお店にいるのはスタッフや美容部員で、いわゆる「美容のプロ」である。違う見方をすれば、お店そのものが「美容のプロ」とも言える。だからこそお店で働く全員がスクラムを組み、お客様の対応していくことが益々重要になってくる、そう思えてならないのである。コロナが収束した今、今後のお店づくりについて様々な考え方があるのは承知しているが、その一番は「お店全体で人を介した活動に徹することが出来る環境」を整えていくことではないだろうか。

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