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【日本商業新聞 2025年7月7日号】重要な全てを揃える専門店

  • 日本商業新聞
  • 7月8日
  • 読了時間: 4分

アイスタイルは「@cosmeベストコスメアワード/2025上半期新作ベストコスメアワード」を発表。総合大賞に花王の「THE ANSWER『スーパーラメラシャンプー&EXモイストトリートメントFOR DAILY DAMAGE』」が選ばれた。シャンプー・トリートメントのカテゴリーからの大賞は史上初のこと。物価高の今、生活者の「失敗したくない」という心理が働き、高い機能を期待する生活者の支持を獲得したようだ。ただ、機能性が高くても、それを正しく伝え、効果を感じてもらう、そして、その生活者に最適な提案でなければ支持は得られず、それを全て揃えているのが化粧品専門店である。(半沢)



■化粧品の〝真価〟を発揮


「@cosmeベストコスメアワード/2025上半期新作ベストコスメアワード」の授賞式の席で、総合大賞を受賞した花王ブランドマネージャーの野原聡氏は「生活者の美容関心領域が拡がっており、ヘアケアにもより良い商品を求めるニーズが高まっている」と語った。また、アイスタイルが実施した独自のアンケート調査でも、ヘアケアにかける金額について「増やしたい」と半数以上が回答。同社は今後もヘアケアの高価格帯化は続くと予測する。


また、様々なモノの価格が上昇している中、「失敗したくない」という生活者心理が拡がっていることを背景に、各メーカーの研究知見や商品開発によるエビデンスが伴った、高機能で高価格帯の化粧品に対する期待感も高まっているように思えてならない。


そのため、メーカーが発信している商品情報も研究力や商品開発力を強く訴求した内容が多くみられ、今回総合大賞の花王のシャンプー・トリートメントも「花王100年の研究で導き出した、ヘアケアの答え。」というコピーで訴求。その他、今回のアワードで上位にランクインしている商品の多くが研究力や商品開発力をアピールしている。



■パーソナライズ化した活動


ここまでだと、今の生活者が化粧品に求めるのは、研究力や商品開発力等のエビデンスに裏付けされた高い機能性で「効果が感じられる化粧品」ということになる。確かに効果が感じられる高い機能性は魅力的で大事だ。しかし、それだけではなく、肌に塗布した時の感触や香り容器のデザイン等にも魅力を感じて愛用する生活者は多い。そして、それ以外にも生活者が魅力に感じるところは数多く存在する。


先日、都内の化粧品専門店を取材させていただいた時のこと。お店はSNSを含むデジタルを活用した取り組みで若年層の集客に一定以上の成果を上げていた。取材の中で経営者は「化粧品はどのお店にもあります。だからこそ、うちのお店に来なければならない理由がないと、通い続けていただけない」と話していた。要は、デジタルで集客に繋げられた次のステップとして、通い続けてもらうための取り組みが重要で、このお店ではお客様満足を追求して、独自の施策や店頭活動、接客応対の全てに、パーソナルな価値を加えていくことをとても大切にされている。


冒頭でエビデンスが伴った高い機能性に対して期待を高めている生活者が増えていると記したがそれらを「正しく伝えること」「効果を感じてもらうこと」、さらには「そのお客様の肌にあった使い方を提供すること」で、その化粧品の真価が発揮されるのは明らかでありそのどれか一つでも欠けてしまっては駄目だ。


化粧品専門店に当てはめて考えてみれば、それは、これまで取り組み続けてきたパーソナライズ化した活動そのもので、それが担う役割は思う以上に重要である。今、化粧品専門店の役割や存在意義は改めて重要視され、今益々大事になると思われるが、それでも楽観できない状況といえる。


ただ、チャンスといえるのは、よりパーソナルな活動を強めていくことこそが、専門店の存在感や必要性を強く打ち出していくことにつながるはずで、そのために店頭での活動もより磨きをかけていく他ない。人手不足の今、そこにかける手間も時間も余裕がないことは重々承知しているが、それでも化粧品専門店として魅力を発揮するためには避けて通れない。

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