top of page

【2025/6/16 日本商業新聞】パーソナライズ化が一層加速化?

  • 日本商業新聞
  • 6月17日
  • 読了時間: 4分

テクノロジーの進化のスピードが加速化しており、いずれ美容業界にも大きな変化が訪れるだろう。例えば、肌の測定機器が今よりもっと簡単に詳細な情報が把握できるようになれば、よりパーソナルな化粧品やお手入れ方法を望む生活者が増えることで、より専門性の高いアドバイスや提案が必要とされる。当然、それらの変化に準備していくことは大事である。しかし、それ以上に専門店としての専門性を生かして顧客満足を醸成し、生涯顧客を増やすことに繋げていくことこそ、デジタルの進化で様々な変化が起きている今、さらに重要になっている。(半沢健一)



■生涯顧客増やす重要性


美容業界で様々な変化が起きている中、特に記者がそれを強く感じるのがデジタルの進化による変化である。例えばマーケティングであれば、お店からの情報発信の手段として主流だった「紙のDM」にとって変わり、今は殆どのお店でLINEやインスタ、X等のSNSが主流となっている。手作り感ある紙のDMは印象に残りやすいという利点があるものの、スピード感やお店と会員が直接コミュニケーションが取れる等、SNSの存在感は益々強まっている。


そして、デジタルの進化による影響はそれだけに留まらない。先日、大手OEM企業のトップに取材した際、興味深い話を聞いた。それはデジタルの進化が与える影響についてで、そのトップは「今後、美容業界においても大きなパラダイムシフト(転換期)が訪れるかもしれない。その変化に対応できなければ、今以上に異業種の企業参入が増えていくだろう」と危惧していた。


話は変わるが、日本の某半導体メーカーでは今使われている半導体よりも小さいサイズの開発が行われている。実現すれば処理速度は格段に向上し、次世代のスマートフォンや高度な自動運転が可能になるという。


さらに体内にチップが埋め込めるようになることで、常に体の状態を把握することができるという。まずは医療の分野で使われ始めるだろうが、将来的には美容の分野でも活用され、肌状態を瞬時にデータ化して、それに最適な化粧品や美容法の提案が可能になる。つまりパーソナライズ化がより一層進んでいく。


将来的な話だがこの数年の医療やデジタルの進化のスピードは加速していることを考えると、そうした状況が訪れるのは意外と早いかもしれない。



■専門性生かし顧客満足提供


もちろん、テクノロジーの進化により、いずれ美容業界にも大きな変化が訪れるだろう。例えば、肌の測定機器が今よりもっと簡単に詳細な情報が把握できるようになれば肌質や肌状態は当然、生活者の嗜好に合った、パーソナライズな化粧品やお手入れ方法を望む生活者が増える。そして、より専門性の高いアドバイスや提案が必要とされるようになる一方、それに十分応えることができなければ、お店や商品、ブランドに対する満足感を高めることに繋がらなくなってしまう。


このように、デジタルの進化による美容業界で起こるであろう変化は、メーカーだけでなく、生活者や販売店、特に専門店にも大きな影響を与える。それが顧客満足に直結していくのなら準備を整えておく他ない。


ただ、デジタルの進化に合わせた準備を整えておかなければならない一方、専門店がこれまで取り組み続けてきた「顧客との絆(信頼関係)づくり」はさらに大切になると捉えている。なぜなら、デジタルの進化がもたらす変化はあくまでも利便性や満足感を高めるための手段に過ぎず、その利便性や満足感を体感してもらうには、まず来店してもらわなければならないからである。そして来店してもらうには、お店への信頼感や期待感が一番の来店動機になるのは言うまでもない。


今後も美容業界でも様々な変化が起きていくのは間違いない。だからこそ、最後は「お店の生涯顧客をどれだけ増やしていけるか」が大事になる。生活者のニーズや思いに応えていくためには、デジタルで生活者との接点を増やし、お店の生涯顧客づくりを進めること。これが今後様々な変化が起きても、専門店としての魅力を発揮していくことに繋がっていく。

Comments


bottom of page