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【2025/5/26 日本商業新聞】第2のブランド育成進む

  • 日本商業新聞
  • 5月27日
  • 読了時間: 4分

化粧品メーカーでは海外事業の苦戦が続いている。業績回復を目指す上でコスト対策が行われる中、化粧品専門店流通においてはメーカーに依存しない自立経営化が進んでおり、そこで今、化粧品専門店において第2、第3の〝マイストアブランド〟の確立に動く店舗が増加している。中でも特筆すべきは、商品だけでなく〝体験で売上を立てる〟ということ。今後は「商品+体験」という2軸での「自店のブランド価値の創造」に期待が集まっている。(中濱真弥)



■商品+体験の2軸へ

昨年末より、大手制度品化粧品メーカーを主軸としながら、2番手となる「マイストアブランド」の強化及び導入を図る化粧品専門店が増えている。その背景には、コロナ禍以降各化粧品メーカーでは、中国・トラベルリテールの苦戦が続いているだけでなく、先日発表された2025年12月期第1四半期決算では、アメリカのトランプ政権を端とする為替の影響も重なり、海外事業をはじめとする売上及び利益回復が課題となっている。このように、各社コスト対策など業績回復に向けた対策が行われていることを受け、化粧品専門店においてもメーカー依存からの脱却に向けた自立経営が進んでいることが要因として挙げられる。


化粧品専門店流通では、営業や美容部員の派遣基準の見直しが実施されるなど、大多数のお店が「以前に比べメーカーからの支援が少なくなった」と感じており、特に〝街の化粧品屋さん〟と呼ばれる1店あたりの売上規模が小さなお店の不安は一層強く、「今後もメーカーを信じてついていってもいいのか…」と危機感を募らせる経営者も多い。



■体験型サービスの重要性増す

そうした中で、今後安定的な収益の確保を図っていくための対応策として、「売上の柱となる第2、第3のマイストアブランドを育てることも片側で必要だ」という意識を持つ専門店が増えてきている。


実際に、化粧品専門店に販路を置く中・小の化粧品メーカーでは「導入を検討したいとの声が昨年末より大幅に増えている」あるいは「新規開拓が例年に比べて急速に増えている」という声が昨年末あたりから徐々に増えている。こうした状況を受け、今号の【専門店キャッチアップ】では、「2番手のマイストアブランドへの取り組み」をテーマに掲げ、各店のリアルな考えや、実際の取り組みについて語っていただいた。


その中で、「星の国」高瀬社長は「主要メーカー以外のブランド育成は、差別化や安定的収益確保において非常に重要だと考えている」と述べ、その理由として「しっかりと取り組むと大手制度品メーカーよりも高い支援が受けられる場合もある」と言及。


その一例として、カバーマークとアクセーヌを展開する「ピアス」では、新聞やフリーペーパーを利用した送客施策を実施。また「ヒノキ」では、サンプルからお客さまへの特典まで目標と取り組みに合わせた支援を柔軟に企画してくれているという。



そして「マイストアブランドは商品だけでなく〝体験価値〟という観点からも、第2の売上を立てられるコト提案を考えていくことが必要になる」と話すのが「アテナリ」と「ひかりや」だ。


まず「アテナリ」では「メイクレッスン」に注力。吉永社長は「当店ではメイクレッスンメニューを15コース取り揃え、女性だけでなく男性にも対応。多い月で月間30名ほどレッスンでの来店があり、このメイクレッスンでの売上がしっかりと立っている」と話す。また今後は美容師免許を有していることから、美容師しか扱えないメニューも導入し体験提案の強化を図る。


次に「ひかりや」の立本社長は、「アイムクリエイターのソニックエステに期待大」と話す。3年前に導入し、現在毎月100件以上の予約を得られるまでに成長。また地元タウン誌にソニックエステの広告を掲載したところ「化粧品単体の広告よりも高い集客効果を発揮。体験型サービスの重要性を改めて実感している」と語る。


化粧品専門店が成長を図っていく中で〝マイストアブランド〟が注目される中、今後は「商品+体験」でのブランド価値の創造に期待がかかる。

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