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【2025/4/21 日本商業新聞】1~3月化粧品専門店の動向

  • 日本商業新聞
  • 4月22日
  • 読了時間: 4分

2025年1~3月の第1四半期が終了した。今年度は年明けから食料品をはじめとする物価高騰を皮切りに、天候不順など不安要素が重なった。そうした中、化粧品専門店の状況をみると、先の影響は受けたものの「前年を超える実績で着地した」と答えるお店が多かった印象を受ける。しかしながら、ブランド別での進捗状況では、これまで躍進を続けてきた「コスメデコルテ」や「KANEBO」「資生堂」の勢いに若干の陰りがみられるなど、実績の内容にも少しずつ変化が表れてきているようだ。(中濱真弥)



■物価高の影響色濃く 昨年までの勢い弱まるブランドも


2025年1~3月のトピックスとしては、食料価格の高騰やガソリン補助金の縮小によるエネルギー価格の上昇が影響し、1月の消費者物価指数は総合で前年比4%上昇と家計に重くのしかかった以外にも、2月は全国的に天候が荒れ、消費者の外出意欲が低下するなど経済面においてマイナス要因が感じられる結果となった。


そうした中「化粧品専門店」の店頭状況についてうかがうと、まず「売上」は、3カ月合計で前年比をクリアしたお店が大半であったが、「1月2月の低迷基調を3月で挽回できた」という声の他、「昨年実施されたクレ・ド・ポーボーテの値上げによる駆け込み需要の影響で、前年クリアに苦戦した」など、地域や取り扱いブランドによって店頭状況はばらつきが見られた。



共通の実感としては「物価高騰による買い控え」が挙げられる。あるお店では「一部のお客さまからブランドダウンを希望される方がいるなど、物価高による品目減少や、化粧水・乳液以外のものはプチプラで買っているという声をよく聞くようになった」「福袋が例年以上によく売れたなど、コスパを意識するお客さまが増えたように感じる」というように、化粧品購入に対して物価高の影響が色濃く出てきていることが見て取れる。


化粧品においても、4月以降、資生堂をはじめ各メーカーの値上げが発表されているが、現時点では「あまり影響はないのでは」との見方が多い。とはいうものの、CPBではベースメイクカテゴリー(ヴォワールコレクチュールn・プードルコンパクトエサンシエルn)の動きが良かったというお店や、アルビオンではエレガンスのラプードルの駆け込みが見られている。


そして注目を集めるのが、6月に実施されるコーセーの300品目を超える値上げだ。「値上げラッシュの中で最も影響が大きくでるのでは」と見られており、店頭では「品切れが起こる前に購入を促す施策を打っていく」など、「これから値上げに対する準備を進めていく」と話す。



次に「メーカー別」の動きについては、制度品主要メーカーは引き続き底堅い動きを見せてはいるものの、これまで躍進を続けてきたコスメデコルテ及びKANEBO、資生堂の勢いは若干鈍化傾向にあるようだ。


「コーセーは昨年までの成長のペースが弱まり前年割れの店舗も増えている。カネボウも少し失速気味でこれまでのような大きな勢いはなくなった。資生堂は昨年の勢いはなくなったという実感を持っている」と、実績においても少しずつ影響が表れているという。


その中で、多くのお店から「堅調な動きを示している」と期待の声が集まっているのが「アルビオン」だ。その要因としては「ミスト活動など、美容活動の徹底がしっかりと実績に繋がってきている」というのが共通の意見として挙がっている。


あるお店では「1~3月の店全体の実績は前年比105%。うち主要4メーカーでみると、資生堂とカネボウが前年割れ、コーセーは110%台、そしてアルビオンは130%台と好調に推移している。この差の要因は、アルビオンとコーセーのミストを中心とした店頭活動を軸とした取り組みが奏功したと感じている」と言及する。


今後の取り組みについては「流行りのトレンドに左右される点もある為、今のうちにスキンケア愛用者の獲得・育成が必要」と答える経営者がほとんどとなった。今後は流行の片側で、生涯顧客に繋げていく愛用者育成の強化を図っていくことが求められる。

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