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【2025/2/17 日本商業新聞】コーセー記者ミーティング開催 / 構造改革完遂と基盤再構築

日本商業新聞

コーセーは、「2024年12月期/記者ミーティング」を2月12日に東京中央区のコーセー本社で開催。今期連結決算の概要について執行役員経理部長の松浪慶太氏が説明した後、代表取締役社長の小林一俊氏が「『Milestone2030』の進捗状況と今後の取り組み」を説明。2030年の目標実現に向けて、「構造改革の完遂と基盤再構築」を基本戦略として取り組むフェーズ1における「事業」「地域」「機能」「グループ」の4戦略を説明した。その後、「JILLSTUART Beauty」の今後の戦略を戦略ブランド事業部事業部長の森田哲朗氏から、そしてコーセーのモノづくりについて、商品開発部部長の萩原宏行氏が説明した。



■売上高5%成長目指す

 【「Milestone2030」の進捗状況と今後の取り組み/小林一俊社長】


昨年11月に公表した新中長期ビジョンでは、「財務目標」「非財務目標」を設定。「財務目標」のうち、収益性と効率性では、目標とやや乖離があるが、フェーズ1で「構造改革の完遂と基盤再構築」を行い、フェーズ2から推し進める。売上高と営業利益率のイメージとして、売上高は2030年まで年平均5%以上の安定成長を目指す。


一方、営業利益率だが、フェーズ1では日本と中華圏における事業基盤の再構築に加え、2026年稼働予定の南アルプス工場の減価償却負担の増加等もあるため一時的に足踏みし、フェーズ2、フェーズ3に改善する計画である。なお、フェーズ1では、日本の「稼ぐ力」の再構築、中国本土の黒字化と収益性改善を最優先事項としている。


「Milestone2030」での成長投資では、2025年~2030年の6年間で累計約2千億円を投資。そのうちM&Aと資本提携に600億円を、南アルプス工場建設を含めた生産体制の強化、DXやR&Dの強化等にそれぞれ500億円強の投資を計画。まずフェーズ1で、「構造改革の完遂と基盤再構築」を基本戦略に、確実な成長スパイラルへの基礎固めを行う。


フェーズ1では、戦略ごとにこれまでの取り組みや方向性を大きく見直す構造改革と、長期的な成長実現のために必要な基盤再構築として、基本戦略を設定。戦略に応じて必要な時期は違うが、既に成果が出ているものもあり、2~3年で達成する計画となっている。


戦略ごとの重点ポイントを説明する。「事業戦略」では、ハイプレステージを主軸とした利益創出に注力。DECORTÉは、日本で昨年同様、AQとリポソームシリーズのスキンケアを中心にメイクアップで商品力を強化、多様な顧客層のニーズに対応していく。


アルビオンでは、2026年4月に自社ECサイトの立ち上げを計画。強みのカウンセリングによる店頭での提供価値最大化を図りつつ、多様な購入ニーズに対応しデジタル戦略の強化を図る。


タルトは、2025年度以降も北米のコンシーラーシェア№1のポジションを堅持しつつ、リップやマスカラに加え、成長カテゴリーへ積極的に新商品を投下。マーケティング戦略では、得意のデジタルプロモーションを基点にCRMを強化。既存ECプラットフォームでの販売を継続しつつ新たな販売チャンネルへの展開も検討していく。


コスメタリー事業へも注力する。コスメタリー全体で引き続きカテゴリー№1戦略を推進。コーセーコスメポートでは成長領域の拡大として、スキンケアやヘアケアカテゴリーの攻略に向けてテコ入れを行う。重点領域の競争力強化では、主要カテゴリーのクレンジング、シートマスク、日やけ止めでさらなるシェアの拡大を図っていく。


続いて「地域戦略」。中華圏市場の構造改革と戦略展開について説明する。2024年度に抜本的な中国事業の構造改革を行い、店舗・人員の整理、余剰在庫の処分によりブランドの価値毀損を回避し、持続的な売上・利益の継続創出を可能とする事業構造へシフト。今後のDECORTÉと雪肌精のビジネスモデル展開に伴う最適化に向けて百貨店カウンターを大幅集約し、精鋭化した。


2025年度以降の中華圏での戦略は、中国本土でDECORTÉはハイプレステージイメージの確立に向け、AQ・リポソームシリーズを中心としたブランディングを推進。成分・効能やエビデンス訴求を中心としたプロモーションで、現地ニーズを捉える。カウンターは、大都市のハイエンド百貨店に集中展開し、店舗ごとの費用対効果の向上を図る。雪肌精は、チャンネルを百貨店からモール展開する集客力の高い専門店に移行し、日本同様マス向けの販売に転換していく。


ASEANでは、シンガポール、マレーシア、インドネシア等が好調、中国でオンライン販売に強いECプラットフォームへの新規出展を計画するなどコスメタリー商品の展開に向けた生産体制強化も視野に入れている。中国・韓国トラベルリテールでは、旅行者をターゲットとしたビジネスモデルへ回帰し、在庫の正常化に向けて出荷コントロールを継続する。


また、グローバルサウスへ戦略をシフトし、インオーガニックな成長投資も行う。昨年末にタイのピューリ社買収を公表した。「Milestone2030」では、脱・自前による地域に最適化されたグローバルでの企業成長として、地域に根付いたブランドの新たな獲得を掲げている。パンピューリは、当社の新たな事業ポートフォリオとして、タイを中心に、中華圏でもプレゼンスの向上を図っていく。


続いて、インドのフォックステイル社との戦略的提携だが、脱・自前による地域最適化の第2弾で、現地起点のマーケティング・モノづくりの強化を図る。同社が得意とするお客さま視点のデジタルコミュニケーションと、データ解析によるファン獲得の知見やノウハウを活用して当社のインド事業の拡大を目指す。


「機能戦略」は、日本を中心とした筋肉質な事業体質へと転換を図る。収益性改善に向け、日本を中心にあらゆるレイヤーで費用構造を見直す。成果を出すためには中長期的な取り組みが必要だが、足元では、管理費や販売費の抜本的見直しを進め、費用削減にも取り組む。


その他、サステナビリティ戦略推進による「価値創造」「基盤強化」に取り組む。具体的事例として、「D&I AWARD2024」で準グランプリを初受賞、同時に最高ランクのベストワークプレイスに初認定。また、「えるぼし認定」で最高位の3つ星を取得した。


最後に「グループ戦略」について。創業80周年の2026年を節目にグループシナジーの極大化意思決定の迅速化、経営資源の戦略的・効率的配分等を目的に、純粋持株会社体制へ移行する。当グループと思いを同じくする企業やブランドと相互連携し、持続的な企業価値向上を実現するビューティーコンソーシアム構想を推進する。

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