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【2025/1/20 日本商業新聞】日本の化粧品だけの魅力

日本商業新聞

昨年の化粧品市場は、新型コロナの影響から抜け出したものの、物価高の高騰や人手不足等の問題で本格的に回復しているとはいえず、メーカーや専門店は、その対応に追われた。そして、この2025年も様々な部分で大きく変化をしていくだろう。しかし、それでも変わらないのは、「使ってみたい」と感じさせる魅力を持った化粧品、そして「このお店で化粧品を購入したい」と思わせる魅力を持った買い場、この2つが支持されていくこと。そして、この2つの魅力が揃えるのが「化粧品専門店」である。(半沢健一)



■変化の中でも存在感を


昨年2024年は、韓国や中国、タイやインドネシア等の「アジアンコスメ」が台頭。国内コスメではあまり見られない海外コスメならではパッケージデザインが若年層を中心に支持を獲得。また、リーズナブルな価格設定もそうだし、機能性も日本の化粧品との差をそれほど感じさせないことや、環境問題への意識が高まっていることを背景に、オーガニックコスメ等の売り場も拡がっており、今後も海外コスメの人気は続くと考えた方がいいだろう。


これまで日本の化粧品の優位性、言い換えれば魅力は、機能性や品質の高さ、そして安心・安全だと捉えていたが、その差が縮まりつつある今、新たな魅力を挙げるとするなら、それは日本ならではのおもてなしの精神やメソッド、豊かなストーリー性にあると記者は捉えている。これらは日本古来から日常生活の中で育まれてきたもので、すぐに取り入れられるものではない。


それを体現しているブランドや商品は幾つかあるが、その中でも記者が注目するのが、カネボウ化粧品の「SENSAI」。このブランドは、グローバルに日本の繊細な美意識を発信するプレステージコスメブランドとして1983年に誕生した。欧州を中心に数多くの国で展開しており、日本では2019年に発売を開始。日本の美意識と科学に基づく多くのアイテムは、国内外の女性から高い支持を獲得しており、昨年はシェアと売上実績で過去最高を達成する等している。


注目ポイントは、日本古来から存在する純国産種の蚕の希少種「小石丸」から産出された絹糸から抽出した成分を配合する等、独自性の高さは勿論、日本伝統の「茶道」に着想して開発した独自メソッド「Saho」を通じて提供されるおもてなしの精神が多くの女性の共感を獲得した。「SENSAI」では、この「Saho」の重要性を深く理解してもらことで、新製品だけではなく、既存品の育成にもなり、それが過去最高の実績に繋がったと聞いている。各国の市場で支持を獲得した背景には、品質や機能性は勿論だが、日本ならではの美意識や価値観、思想で磨き上げられた魅力が大きなポイントとなった言うまでもなく、それは日本の化粧品にしか感じることができない魅力とも言える。



■2つの魅力を揃える専門店


一方、専門店に目を向けてみると、お客さまの肌悩みやニーズ、そしてライフスタイルに配慮しながらの提案、そして高い技術に裏付けされた施術や丁寧な接客、これが専門店の魅力であり、化粧品を展開する他の流通にはない。この2025年も化粧品業界は様々な変化が起きていくのは間違いない。しかし、生活者が「使ってみたい」と感じる化粧品が支持されること。そして生活者が「このお店で化粧品を購入したい」と思わせる魅力を持った買い場に人が集まることは変わらない。


この2つの魅力を揃えているのが専門店だ。日本の化粧品にしかない魅力、そして専門店にしかない魅力、この2つの魅力をお互いに高め合える場所が専門店である。お店独自の取り組みによって、専門店として、お店としての魅力を発揮していくことが、今後起きていく変化の中にあっても、その存在感は揺るぎないものにしていく。

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