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日本商業新聞

【2024/9/9 日本商業新聞】〝マインドシェア〟焦点に / 共に未来を描けるか / 地域での存在価値向上が鍵に

2024年度は、制度品メーカーから重大な発表が相次ぐなど、化粧品専門店流通にとって大きな〝潮目の年〟となった。本格的な動きが見られるのは25年度に入ってからになると考えられるが、各メーカーの発表を踏まえ、専門店においても自店の方向性を改めて見直す動きが見え始めている。そこで、現時点での店頭における各メーカーの動きに加え、発表に対する意見や要望、また専門店が今後成長を図っていく上で何を重視しているのかなど、店頭の声から考察する。(中濱)



■〝マインドシェア〟焦点に


まず店頭の動きをみると、「資生堂」では『CPB、BQ、インウイなど専門店の主力ブランドが売上をけん引、次々とヒット商品を出してくれており非常にありがたく感じている。今後もヒット商品の輩出など、ブランド育成に対する注力を続けて欲しい。一方で、人材面の影響が出るのは半年後くらいになるのでは…』と感じているお店がほとんどという状況だ。


「カネボウ」も資生堂と同様『黒カネボウからヒット商品が続々と生まれており、新規獲得及び固定化にしっかりと繋がっている。あとは人材面の影響がどれくらい出るかだろう』と話す。


次に、デジタル戦略及びEC展開を発表した「アルビオン」においては『時代の変化への対応であり、メーカー主導できちんとコントロールしてくれると信じている。今後も活動を通じたリアルの強みを押し上げてくれるメーカーとして期待したい』という見方が大半であり、要望としては『店の規模や資本力によって差が出るため、専門店が行うEC展開はやめてほしい』という意見が集まった。


そして専門店との今後の展開を発表した「コーセー」では『デコルテ ルースパウダーなど、リポソームに続くヒット商品が続いている他、施策や活動においても現場との連携が高い。また先日の発表で〝専門店との絆を大事にしたい〟という前向きな言葉は強く印象に残った。専門店の展開を強化していく方向ということで、今後の取り組み内容にも大きく期待できる』と、最も高い期待感が寄せられた。


総体的にみると、商品面では全メーカー好調な動きをみせており、店頭の勢いを押し上げる状況となっているが、25年度に向けた動向においては未確定な要素が多いことから『現状は様子見』と話す経営者がほとんどといった印象だ。


こうした中で、「今後メーカーとの共存共栄を図っていく上でどういった点を重視するか」という質問に対しては、専門店経営者は口をそろえて『〝マインドシェア〟を重要視する』と答える。



■共に未来を描けるか - 地域での存在価値向上が鍵に


その言葉の背景には、時代が動いている変化の時だからこそ、もう一度、お客さま一人ひとりの肌・身体・心に寄り添い、最適な商品やサービスを提供する「化粧品専門店」の存在意義を再確認するという意味でも『お店のことをしっかりと見てくれている、一緒に未来を描いていこうという気持ちが感じ取れるメーカーと共に歩んでいきたい』というマインド面が重視されているように感じられる。


片側で、専門店においても、メーカーの変革を背景に『自店が目指す方向性についても考え直す必要がある』と言及する。その中で共通認識として挙げられることは『専門店は旧態依然とした流通かも知れないが、このニッチな商売にこそ活路がある』とし、『現在の単身率や健康寿命の延長等を考えると、地域コミュニティとなる店舗の重要性、あるいは化粧年齢の延長は十分想定できる』という前向きな考えのもと、『今後は自立した組織づくりを図ると共に、地域に存在し続ける自店の優位性を上げていくために、デジタルの活用や人材採用・教育、制度品に拘らない商品のセレクトやサービスを強化していく』と目標を語る。潮目が変わるこの1年、メーカーも専門店も、明確な方向性を軸とした存在価値の向上が求められていると感じている。

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