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日本商業新聞

【2024/7/8 日本商業新聞】マルチチャネル化の波に乗れ / 唯一「体験」「感動」提供 / 専門店の重要性さらに増す

現在、業界問わずデジタルの進化による「マルチチャネル化」が進んでおり、この化粧品業界も同じだ。各企業がこぞって「マルチチャネル化」を進める背景には、新たな顧客との接点拡大だけでなく、複数のチャネルを通じて様々なサービスを提供することで満足度向上や顧客分析等につなげていきたいという意図が見てとれる。しかし、こうしたマルチチャネル化が進めば進むほど専門店流通の重要性はさらに増すのではないのか。何故ならば「体験」や「感動」という価値を提供出来るのは専門店流通だけだからだ。(半沢)



■マルチチャネル化の波に乗れ


資生堂は先週、同社が展開する総合美容サイト「ワタシプラス」を刷新し、資生堂の「OMOTENASHI DX」を体現するプラットフォームとして、資生堂公式ECサイト「資生堂オンラインストア」を7月25日から開始することを発表。機能やコンテンツを拡充させる他、「ドランク エレファント」や「クレ・ド・ポー ボーテ」等、取り扱いブランドも順次拡大する等オンラインストアを充実化。また、リテーラーECや化粧品専門店オンラインサービス「オミセプラス」との連携強化やEC専門サイトへの積極展開等、国内EC売上の拡大に注力することも明らかにした。


コロナ禍による影響で資生堂を始め、多くの企業ではデジタルへの取り組みを強化した。単に商品を販売するだけではなく、オンラインストアやスマホアプリ等を通じて様々なサービスを提供する企業が一気に増えたのは記憶に新しい。


その結果、複数のチャネルで生活者へアプローチが出来るようになったことで、リアル店舗だけでなく、ECやSNSでもサービスが受けられるようになり、多くの生活者は「時間」「場所」「商品」に応じて、複数のチャネルを使い分けながら多くの情報を取得したり商品を購入出来るようになった。これが、いわゆる「マルチチャネル化」である。今回発表された資生堂の取り組みは、その複数存在するチャネルの一つ「オンラインストアの強化」となる。


現在、化粧品市場では急速にマルチチャネル化が進んでおり、多くの企業がその対応に力を入れていて、それは小売店も同じだ。特に化粧品専門店においては、この2~3年、市場環境が大きく変化していることに伴って、お店独自でオンラインストアを立ち上げたりホームページやスマホアプリ、SNSへの取り組みに注力。メーカーと同様、複数のチャネルを介して多くの生活者にアプローチするという動きが当たり前になっている。



■唯一「体験」「感動」提供


当然、リアル店舗もそれら複数あるチャネルの1つだ。ネットを介したチャネルに共通するのは「利便性」中心の価値提供なのに対して、「体験」や「感動」という価値を提供出来る唯一のチャネルであり、化粧品専門店の最大の強みでもある。それが「お客様」や「ブランド」を育てるということにつながっていることも忘れてならない。


今月下旬に発刊予定の「夏季特集2024」の特別企画インタビューとして「アテニア」「ポーラ」の2社を取材。これら2社はECや百貨店、直営店舗等で多くの支持を獲得してきたメーカーだが、この2~3年、専門店流通での取り組みを拡大させており、その狙いや今後の店舗施策等について話を聞いた。



■専門店の重要性さらに増す


今回の取材の中で、これらの取り組みの狙いについて2社とも「ブランドの育成」と口を揃える。各担当者は「専門店様ならではの丁寧な接客応対と高い技術による施術でお客様自身の肌で魅力を感じていただくことで愛用者は拡大、ブランドの育成につながる」と話しており、新たな流通で展開すること以上に、その流通特性に対して大きな期待を寄せている。


数年前、各企業がデジタルに取り組み始めた時には、賛否両論の声も一部聞かれたが、今は否応なしでデジタル化は進んでいる。もっと言えば「どう対応するか」に論点は変わっている。しかし、これらマルチチャネル化が進むほど、唯一、生活者自身の肌を介して「体験」「感動」という価値を提供出来る専門店チャネルの重要性はさらに高まるはずだ。その時、お店としてどう取り組んでいくのか、大きなポイントなのは間違いない。

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