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日本商業新聞

【2024/5/13 日本商業新聞】進む自店の「価値づくり」/店内外の2点を軸に/地域密着ならではの活動を強化

コロナが明けて以降、化粧品専門店流通では「都市型及び大型専門店」と「地域密着型専門店」への二極化が色濃く進んでおり、その中で地域密着型の専門店においては、大型店にはない独自性溢れる活動を通した他店との差別化が求められている。アフターコロナを迎え約1年が経過した今、各地域の専門店において〝自店の価値づくり〟への取り組みが少しずつ動き始めてきており、その取り組みの中から「店内活動」と「店外活動」の2点が重要な活動軸になることが明確に表れてきている。(中濱)



■進む自店の「価値づくり」


アフターコロナを迎えた化粧品専門店流通では、高トラフィックな立地である程度の坪面積を有し、多数のコスメブランドを展開するなど、店全体の強さで集客力を発揮する「都市型専門店」及び「中・大型専門店」と、1~2メーカーを主体に、地域のお客様を対象とした〝人〟を介したパーソナルなコミュニケーション力でお店の存在価値を発揮する「地域密着型専門店」の〝二極化〟が進んでいる。


とはいうものの、都市型及び大型専門店は一部の限られた専門店であり、大半は「地域密着型」の専門店で占められているのが現状といえる。では限られたブランドと既存会員が中心の地域密着型専門店において、今後お客様から選ばれるお店へと成長・発展を目指していくためにはどうすれば良いのか。


弊紙では、兵庫県明石市「シバニ化粧品」のフレイル予防をはじめとする社会貢献活動や、愛知県西尾市「オリーブ」のエステや脱毛など、お客様の美に関わる全てをカバーする取り組み等を紹介してきたが、様々な取材を通して感じたことは、大型店にはない地域密着店ならではの活動に特化し、自店の〝価値づくり〟を強化していること。そして昨今、他店との差別化に繋がる独自の価値づくりに取り組む店舗が徐々に増えつつあり、その活動内容を通して「店内活動」と「店外活動」の2点が重要な軸になることが分かってきた。



■店内外の2点を軸に - 地域密着ならではの活動を強化


 次号掲載予定の連載企画【専門店キャッチアップ】では、「大型店に負けない地域密着型ならではの活動」をテーマに紹介するが、その中の一部を抜粋すると、「店内活動」事例においては、高齢者宅への配達を購入金額に関係なく実施。その裏には、単に商品を届けるだけでなく、独居高齢者の見回り活動も兼ねており、更には何かしらの頼まれ事も請け負うなど、生活を送る上での困りごとなど「御用聞きサービス」を展開するお店や、『SNSがここまで発達したのは承認欲求の表れ。出来る限りお客様1人1人を認識し、寄り添った対応を行うことが必ず強みとなる』と、まずはお客様の名前と顔を覚えることを徹底し、活動においては、プレディアから2年ぶりに限定発売したBBスプレーファンデーションが発売されたことを機に、購入履歴を遡り、終売の際に惜しまれていたお客様へ1件1件連絡を行い喜ばれたという取り組み以外にも、熱中症対策でお茶や塩飴をお渡ししたり、子どもにはお菓子を配り塗り絵で一緒に遊んだりと、〝人間力〟を上げていく接客の質向上に繋げるといった店内活動を強化。


「店外活動」では、体操教室の開催や同じ地元で出店している他流通店舗とのコラボイベントなど、地域ならではの横の繋がりを活かした外への発信強化の他、お仕事体験の受け入れといったキッズイベント関連も増えている。特にキッズイベントに関しては、普段専門店への入店に対し「敷居が高い」と感じている方も、子どもがクッションとなることで参加しやすくなるだけでなく、体験を通じてお店の雰囲気やスタッフの人柄に触れ、そして子どもの喜ぶ顔を見て感動に繋がる…という一連の体験をきっかけに、お店への信頼感が一段と上がることで、新規獲得率が他のイベントよりも比較的高いという実績も出てきている。


このように〝町の化粧品屋さん〟だからこそできる、地域のお客様への貢献活動は少しずつ広がりをみせており、これからも新たなアイデアが出てくることは間違いない。まずは自店で「できること」から、一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。店も生き方は変わっていく。その中で、どこと一緒に未来に向かって手を取り合うのか〝選択と集中〟が一層加速すると感じている。

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