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日本商業新聞

【2024/2/5 日本商業新聞】マツキヨ「ケイポート」を買収/ドミナント戦略を強化/専門店ブランドの契約如何に

 ドラッグストア最大手マツキヨココカラのグループ会社であるマツモトキヨシグループが、東京都内で化粧品専門店とドラッグストアを展開する「ケイポート」を買収するとの一報が入った。都市部展開を強みとするマツキヨココカラは、今回の買収によって東京都内でのドミナント戦略を進めシェア拡大を図る。そして最も注目すべきは、化粧品専門店の買収により、化粧品制度品メーカーとの「ブランド契約」の行方がどうなるのかという点だ。マツキヨGの真の狙いは何なのか、今後の動向が注視される。(中濱)



■ドミナント戦略を強化


 マツキヨココカラ&カンパニーのグループ会社であるマツモトキヨシグループが、「アルビオンドレッサー恵比寿店」、資生堂オンリー店「BEAUTÉ STUDIO K-PORT」をはじめとする化粧品専門店の他、東京都内にドラッグストア・調剤薬局13店舗を展開する「ケイポート」の発行済み全株式を取得し、子会社化すると発表した。マツモトキヨシグループは、更なるグループの競争力強化およびドミナント戦略の一環として、ケイポートの全株式を取得するとし、株式取得は2024年4月1日に行われ、子会社化が完了する。


 マツキヨココカラは、人口が密集する都市部中心に出店、食品の売上構成比は約1割で、化粧品と医薬品がグループ売上高の約7割を占める。会社四季報によると、ドラッグ大手3社の時価総額は、マツキヨココカラの約1.1兆円に対し、ウエルシアHDが6530億円、ツルハHDが4993億円(23年5月時点)と、大手の中でも2倍近くの差をつけるなど群を抜いた強さをみせる。


 マツキヨココカラの強さの1つに「PB開発」が挙げられる。化粧品では、コーセーと共同開発した「レシピオ」をはじめ、「アルジェラン」「ザ・レチノタイム」といった独自の化粧品ブランドを展開。23年には男性向け化粧品「イイサム」をローンチするなど、自社の顧客データをもとにしたマーケティングやブランドづくりに力を注ぐことによって高収益を上げている。



■専門店ブランドの契約如何に


 このように、ドラッグストア業界の最大手であり、化粧品販売においても圧倒的な強さを持つマツキヨGが、今回化粧品専門店を有する「ケイポート」を買収するという突然のニュースに、化粧品業界では大きな波紋を呼んでいる。


 まず店舗展開としては、都市部中心での展開を強みとする同グループにおいて、東京都内で展開するケイポートを子会社化することで、ドミナント化に拍車をかけシェア拡大を狙う。


 そして最も注目すべき点が、化粧品制度品メーカーとの「ブランド契約」の行方だ。先述の通り、化粧品販売に強みを持つ同社だが、1つだけ持ち合わせていないのが、カウンセリング販売を主とする「プレステージ化粧品領域」であり、この領域をも狙いのひとつとして捉えているのかが注視される。


 2018年、化粧品専門店「MASAYA」を傘下にしたウエルシアHDは、ウエルシア店舗内での展開はないものの、MASAYA本体に磨きをかけることで、より1店舗の強さを上げてきている。


 例えば、百貨店空白県が増える昨今、百貨店に代わる新たな高価格帯化粧品の購入場所となるべく、2020年8月にイオンモール徳島に出店。またブランドにおいては、制度品メーカーだけでなく、一部店舗において、ディオールやナーズ、ジバンシー、エスティーローダー、アディクションといった多数の百貨店ブランド取り扱う。


 更には、自社ECの充実など、ウエルシアの資本力を背景に、プレステージ化粧品における地位確立とウエルシアとのシナジー効果を図る。


 その土俵に、ドラッグ最大手のマツキヨココカラが参戦するのか否か。現段階では詳細は分からないが、同社の今後の動きが注目されると共に、各化粧品メーカーの見解が待たれる。

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