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日本商業新聞

【2024/10/21 日本商業新聞】生活者がブランドに求めるのは? / アクセーヌで生涯顧客 / 生活者に寄り添う店づくり

ブランドの魅力は、配合成分や処方技術等を始めとする機能性、さらに香りやデザイン、使用感触、プロモーション等、幾つかの要素が組み合わさって固有の世界観となり、生活者はその世界観を通じて、「華やかさ」や「憧れ」を感じている。しかし、一部の生活者はそれだけで選択している訳ではない。そのブランドを「無くてはならない存在」として選択しているケースもある。この化粧品業界には様々なブランドが存在するが、生活者に寄り添った活動や提案が重要とされている今、改めてお店とブランドの2つの特性を生かすことが必要とされている。(半沢健一)



■生活者がブランドに求めるのは?


この数カ月間、専門店を取材していて感じるのは、改装に踏み切るお店が増えていること。背景には、コロナで改装出来なかったことやコロナが収束して人の流れが回復したこと、そしてコロナ禍で生活者の化粧品への志向が変化したこと等への動きだと捉えている。

また、そうした改装に伴い、よりブランドの魅力を強く訴求したコーナーづくりも進んでいる。ブランドの魅力とは、配合成分や処方技術の新規性、そして機能性、さらに香りやデザイン、使用感触、プロモーション等、幾つかの要素が組み合わさって世界観となり、生活者はそれを通じて、「華やかさ」や「憧れ」を抱く。ただ、一部の生活者は、それだけでブランドを選んでいる訳ではなく、「無くてはならない存在」として選んでいる生活者もいる。



■アクセーヌで生涯顧客


先日、今年9月にリニューアルを実施したばかりのお店を訪問。そのお店は、同じ市内に数店舗のグループ店を展開しており、昨年から店舗毎に違う中心層に合わせ、ブランドの配置変えを行っている。今回取材した店は同じグループ店の中で比較的若年層が多いため今回のリニューアルを機に、若年層からの支持を多く集めるブランドを集約して展開している。


お店の経営者との会話の中で「面白い」と感じたのは、先述の「華やかさ」や「憧れ」で支持を集めるブランドと共に、敏感肌で悩む方に向けた取り組みとして「アクセーヌ」にも注力している点。「アクセーヌ」は、皮膚科専門医と共に創り上げた理論を基に、アトピー性皮膚炎や化粧かぶれ、大人ニキビ等の多様な肌トラブルを抱える肌に対応する敏感肌用ブランドで、若年層の支持も高く、その年齢層の構成比が高いお店にとって重要な位置付けとなる。


お店の経営者は「売上規模はそう大きくありませんが、安定した推移を続けているし、長く愛用される方が多く、生涯顧客づくりを目指すうえで大事なブランドです」と説明。


さらに、愛用者の来店頻度は高く、たとえブランドスイッチをしても、しばらくすれば「やっぱりアクセーヌがいい」とリターンする方も多い。



■生活者に寄り添う店づくり


生活者が化粧品を購入する際、「華やかさ」や「憧れ」が重要な要素なのは間違いないが、一方で「アクセーヌ」のように「その化粧品でなければ」という生活者もいる。もともとお店では「アクセーヌ」を取り扱っていたが、今回のリニューアルでコーナーを視認性の高い場所に移動したことで、若年層の新規客が増えて売上は拡大し、お店のボリュームゾーンである若年層に寄り添ったお店づくり、コーナーづくりの重要性を改めて認識する機会となった。


今回は「アクセーヌ」を取り上げたが、これ以外のブランドでもブランドとお店の特性を踏まえた取り組みによる成功事例はある。ネットで多くの情報を取得出来るようになったが故に、その生活者が求めること、悩んでいることを個々のライフスタイルに合わせて提案することが重要だが、これからはもう一歩踏み込み、お店の特性を踏まえながら細かく対応していくことが、生活者の志向の変化に対応していくことにもつながってくる。


だとすれば、そのブランドの特長や魅力をきちんと伝えるためにも、お店だけでなく、メーカーも一緒に取り組んでいくこと、そして、人気の高いブランドを豊富に取り揃えたお店づくりから進化した、お客さまの特性を把握し、それに応えられる、本当の意味で生活者に寄り添ったお店づくりも重要だと言える。

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