コロナ禍が明け〝新時代〟を迎えた2024年。これまでの常識が通用しなくなった世の中において、化粧品専門店を取り巻く環境も大きく変化している。そうした大変革ともいえる時代を生き抜くためには、まずはしっかりと情報を得ることが重要だと考える。その中でも「消費者の購買行動を知る」「メーカーの動きを知る」、そして「自店を知る」という〝3つの知る〟が、情報の3大キーポイントになると感じている。(中濱真弥)
■専門店 大変革の時代へ
2024年は〝新時代〟の到来を告げるポストコロナを迎えた中で、化粧品専門店流通においては、制度品メーカーから各社の方向性について発表が行われるなどその動向に注目が集まる1年となった。そして今年も残すところあと2カ月となり、いよいよ実行フェーズに移る2025年に向け各社の動きが活発化している。
またメーカーの動きにとどまらず、消費者の購買行動もこれまでの常識に捉われない新しい商品の買い方や選び方へと変化している中で、化粧品専門店においても新たな1年に向け、自店の現状分析、それに対する課題や改善策、活動などをしっかりと明確化しておく必要がある。そのうえで、これからは〝3つの知る〟が最大のキーポイントになると考えている。
■〝3つの知る〟カギに - 消費者・メーカーの動き活発化
まず1つめが「消費者の購買行動を知る」である。コロナ禍を経て最も大きく変化したことが「情報収集」であり、今や世代に関係なくSNSで情報を収集し、目的を決めて購入するパターンが非常に増えている。そして目的買いの消費者はECの併用も活発で、その時々に応じて買い場を変える〝接点の多様化〟が当たり前の時代となった。
その一方で、「モノ消費」から「コト消費」、さらに「トキ消費」の時代へ突入しているなど、「その日」「その場所」「その時間」でしか体験できない〝コト〟を通じた体験価値の提供が今後ますます重要視される時代に入ったといえる。
そして2つめが「メーカーの動きを知る」。先述の通り、消費者の購買行動は流通をまたいだ接点を必要としていることから、専門店流通においては、対面販売を軸としつつ、オンラインをいかに融合させるかという各社の〝OMO戦略〟が進むことは時代の流れだと言えよう。その中でも特に、11月に予定されているアルビオンが打ち出す「方針説明会」の内容がどういったものになるのか注目が集まっている。
また資生堂ジャパンでは、「2025年度経営体制」を発表。「事業本部」がなくなり新たに「領域」として体制変更が行われた他、人数もスリム化が図られているが、「柔軟な対応と、迅速な意思決定と実行」という以外に詳細な説明がないだけに、「今回の経営体制が専門店にとってどのような意味合いを持つのか、今後の人事の続報が気になるところ」と、多くの専門店経営者がその行く末を見守っている状況だ。
一方、コーセーでは10月16日から1泊で「全国セミナー」を開催。漏れ聞くところによると、専門店にとって前向きと捉えられる内容が盛りだくさんだったようで、出席者も大いに盛り上がり「来年もコーセーの独走が続きそうだ」と感想を抱いた方が多かったようだ。
このように、引き続き各メーカーから来年度に向けた方針発表が続くことが予想されるだけに、しっかりとその動向を把握しておくことは必要最低限として求められる。
最後の3つめが「自店を知る」ということ。消費者ニーズやそれに伴うメーカーの動きなど、自店を囲む外的環境は今後も変わっていくことは間違いない。しっかりと世の中の情報を知ったうえで、自店は時代に取り残されていないか、あるいはお客さまのニーズにきちんと応えられているのか現状把握が必要だ。
例えば「売上・客数・客単価」など、売上推移や顧客データの分析はできているだろうか。その中から導き出される課題は何かが見えてきたならば、あとは課題解決に向けた企画や応対、仕掛けを考えていけば良い。まずは自店の現状を知ること。そして新たな挑戦にも取り組んでいくこと。それが〝一店一店の価値の最大化〟に繋がっていくと確信している。
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