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【2023/9/4 日本商業新聞】資生堂 日本事業〝改革〟へ/改革への〝決意表明〟/25年コア営業利益500億円へ

資生堂では、去る8月8日「2023年12月期第2四半期決算説明会」を開催。その中で、代表取締役社長COO・藤原憲太郎氏が「日本事業・飛躍のための改革」について発表。「自己革新こそが永続的な発展を作る」と、改革を自ら主導する決意を表明し、更に今後取り組んでいく〝三つの柱〟「Profitable Growthへの事業構造転換」「固定費の合理化」「組織風土改革」について説明を行った。ここに全文を掲載する。



■改革への〝決意表明〟


 はじめに当社の上期決算においては、順調に実績を上げている一方で、足元をみると引き続き不透明感が残っており、2月に説明した中期経営戦略「SHIFT2025andBeyond」における25年コア営業利益率12%、27年の15%の実効角度を上げていくためには、戦略改革のスピードを一層引き上げる必要があると考えている。


 そして、中期経営戦略達成の最大の改革の鍵は「日本の再成長による収益基盤の再構築」であり、今日皆さまには、日本事業改革への〝私の決意〟をお伝えしたいと思っている。


 まずCOO着任から半年間、日本事業の改革を確かなものとするため、日本事業に関わる社内から取引先まで多くのセッションを通じ、事業構造の理解を深めると共に、そこから私自身で課題を抽出し、さらに個別セッションにて理解を深めてきた。


 これを踏まえてまず前提にすべきは「日本が決して成長市場ではない」ということ、そしてシェア拡大を図りながら成長する必要があるということである。そのためには、より市場のニーズ、消費者の動向に敏感となり、素早く対応できる体制が必要だと感じている。


 コロナの影響については、ある意味良い転換点であったと感じている。インバウンドがなくなりマイナス成長となり、自分たちのビジネスモデルでは収益が上げられないということが露呈。現場では、現状に対する危機感、変革への期待、成長への情熱を持つ社員が多くいることは確認できたことは本当に良かったと思っている。


 しかしながら、ジャパンの組織が過去から引き継いだものを維持しつつ、市場変化への対応を模索することから、例えば戦略にメリハリがつかなかったり、対応スピードが遅くなったり、対応策が複雑になってきているという現状も挙げられる。


 私はもう一度日本事業のビジネスモデルの変革が必須だと考えており、市場からのニーズ、そして消費者の購買行動を起点としたビジネスモデルで、再設計した組織を既存の商習慣ルールから解き放ち、作り直すことが本質的な課題と捉えている。


■25年コア営業利益500億円へ


 収益構造の課題としては、「ニーズ多様化に対応するためのブランド数の多さ」「デジタルへの対応とデータマネジメントコストの増、Eコマースの規模不足」「多様なチャンネルとブランドを運営する複雑な組織体制」というものが非効率を生み、結果的には固定費を重くしているという状況にある。現実を直視し、機会を見定め、飛躍のため改革をやりきる必要がある。


 改革のテーマは〝自己革新こそが永続的な発展を作る!〟。資生堂の歴史を振り返ると、自己否定をしながらイノベーションを起こし発展してきた企業と言える。市場がコロナから回復を見せつつある今、消費者の市場視点からブランドを強くし、勝てる組織を作り上げていく、この〝自己革新〟こそが「永続的な発展をつくる」というのが私の信念である。


 今変わらなければ日本事業としての存在意義すら危ぶまれる。それ程の強い危機感を持っている。よって、私が9月1日付で資生堂ジャパンの取締役会長を兼任し、改革を自ら主導していく。改革のレベル障害の大きさ、待ったなしのスピードを考えると自分でやるしかなく、やるべきだと判断した。直川氏はジャパンの社長CEOを続投し、私と一緒に取り組んでいく。


 改革では、3つの柱「Profitable Growthへの事業構造転換」「固定費の合理化」「組織風土改革」で収益構造の抜本的な改革を進め「SHIFT 2025and Beyond」で掲げた〝2025年コア営業利益500億円〟達成を目指す。



■収益構造抜本的に改革、Eコマース比率30%まで拡大


 まずビジネスモデルについては、消費者を起点としたビジネスモデルへの変革を推し進めていく。消費者の購買行動とリソース配分を見直し、収益の上がるビジネスモデルへの転換を図る。


 具体的には「プレステージ」は、ブランド価値を高めることで収益率を改善するビジネスモデルの強化を図っていく。デジタルによる効率化を推進しつつ、サステナブルな成長に必要なブランドへの投資を十分確保するとともに、新製品の強化によって顧客基盤の拡大を図っていく。


 また、ブランド価値の最大化と商品のイノベーションによって、高い付加価値を価格にも転換していくことを進めていく。


 次に「プレミアム」については、セルフ販売の能力強化を進めていく。消費者の購買行動を軸とし、一貫した強いコミュニケーションによって効率的でデータドリブンなビジネスモデルを構築していく。たくさんのお客様データと、それを適切に活用するデジタルケーパビリティを有する資生堂だからこその価値提供を実現していきたいと考えている。


 「Eコマース」については、高い収益性と成長性を最大限に活かしていく考えで、Eコマース比率は、2025年までに30%まで拡大していきたいと考えている。


■制度品ビジネスを進化、消費購買体験で価値最大化


 また「営業組織」の変革としては、エリア視点でのチャネルの整理も同時に進めていきたいと考えている。さらに、「制度品」ビジネスという100年続いてきた仕組みも、時代に即した進化が必要だと考えており、現代の消費者により合った消費購買体験の提供を可能とすべく、この制度品モデルを進化させ、お客様とお得意先さまの価値を最大化していきたいと考えている。


 営業組織は、チャネル軸からエリア軸へと転換を図っていく。それぞれの地域で人の流入は異なるため、従来のチャネル視点ではビジネス機会を逃すか、投資の配分が大変難しいことが挙げられる。現場がエリア視点で市場を見ることによって、また現場に投資配分の権限を委譲することで、顧客の動きによりフィットしたリソースのアロケーションが可能となると考えている。


 また、これまで以上に積極的にリテーラーとの戦略提携は推進したいと考えている。今までのような、メーカーとリテーラーの関係という発想から、お互いの強みを生かした「活動創造パートナー」として、新たな成長機会の追求をしていきたい。


 次に「ブランドマネジメント変革」について、日本市場ではブランドの数が他地域に比べて多く、SKUも多い。ただ、ブランド別に収益率を見てみると、ほとんど投資がなくても収益に貢献しているブランド群もあり、単にブランド数を減らせば収益が改善するということでもない。


 よって、ブランドについては、各々のブランドミッションをより明確にし、投資のメリハリをつけ、マーケティング活動もブランド一律の考え方からよりフォーカスすることで、投資効率を高め、ブランド収益率の改善を図っていきたいと考えている。


 「グローバル/アジアブランド」は、ブランドSHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテ、エリクシール、アネッサを中心に、ブランドを軸とした活動によって中長期的な成長をリードし、事業の安定的な成長と収益確保をミッションとする。


 ブランドと価値を高める投資、商品イノベーション、また店頭でのブランド体験を通じて、ブランドの成長価値を高め、市場成長を上回る伸長を実現していく。


 日本事業に占めるグローバルブランドの売上構成比は40%程度であり、これを中長期的に70%まで高めることを目指し、ミックスの改善によって収益性改善をドライブしていく。


 「日本ローカルブランド」では、より商品戦略にフォーカス。現場起点・商品中心のオペレーションで、市場のニーズをよりクイックに捉え成長を実現していく。特に「ヒーロー商品」のオペレーションに集中することで、投資の効率化と収益性の改善を図っていきたいと考えている。


 また「SKUの改善」も同時に進めていく。これまで説明してきた「Profitable Growth」への事業構造の転換は、固定費の削減に繋がっていくと考えている。


 成長モデルを、ブランドミッションの明確化、消費者を起点としたビジネスモデルへの転換、エリア視点での投資配分を行うことで、よりシンプルで一つ一つのアクションがボールドなオペレーションへと転換していくと考えている。


 その結果、効率が高まり、固定費の合理化が可能となる。具体的には、「物流費」は返品削減、搬送物の効率的な配送によって改善を図る。また「データ関連費用」も、集約によって外部委託費を削減、「オフィス」に関しては、営業オフィスは既に半減しているが、それ以外も含めてオフィス再編、直営店の見直しなどについても検討を進めていく。


 また、オペレーションを支えるバックオフィス体制もよりスリム化を図るとともに、ヘッドクォーターと重複する業務については、よりコストシナジーを追求することで、生産性の高い組織構築を目指していく。


 そして「店頭人財」については、従来のように店頭でお客さまの来店をお待ちするという接客システムから「お客様と接する時間の最大化」を追求していきたいと考えている。


 エリア単位の営業戦略によって、エリアの状況にマッチした店頭人員へと配置を見直し、デジタルの活用などを進め、接客時間を最大化することで、ブランドと消費者のエンゲージメントを高め、持続的な成長を実現していきたい。


 将来的には、人材の価値をより最大化する仕組み構築の検討も進めていくと同時に、バックオフィス人財、店頭人財とも生産性の最大化を目指していきたい。そのためには、リスキリングの機会提供と共に、資生堂の中にとどまらないキャリア構築を後押しするための早期退職制度も有効に活用していく。


 これらの変革をリードするためには、社内の組織風土改革が必須である。コロナ改革の遅れによって成長の実現が困難だった組織は、変革への戸惑い、新たな挑戦へのためらいを感じた。しかし、今年の上期の実績は、社員の自信を取り戻す良いきっかけになったと思っている。


 これからは消費者を全ての起点とし、社内に残るタブーを排除し、社員がより未来に向けて挑戦できる社内風土、自己革新ができる組織体制の構築を進めていく。業界№1であるがゆえの足枷を克服し、リスクをしっかり見極め挑戦できる組織文化に変革していく。


 また、これまでコンセンサスを重視した意思決定も、危機的な状況においては戦略的なトップダウンの意思決定こそが重要と考える。しがらみにとらわれない柔軟な発想を持った次世代リーダーも、変革の推進役として活躍してもらいたいと考えているなど、社内の議論をできるだけシンプルにし、素早くアクションができる体制にしていきたいと考えている。これらは来年頭から新たな体制でスタートすることを目指して検討を進めていく。


 「経営体制」については、私が資生堂ジャパンの会長を兼任することに合わせ、岡部義昭氏が副社長チーフマーケティング&イノベーションオフィサーに9月1日付で着任する。日本の改革において、ブランドマネジメント変革は非常に大きなポイントであり、ジャパンのマーケティングチームと岡部氏が一緒になって変革をドライブしていくことを狙いとしている。


 なお、これらの組織を含めた変革を着実に進める上で、重要な役割を担うチーフピープルオフィサーの人選も固まった。これについては後日発表させていただく。このように、ヘッドクォーターの経営体制の強化を通じて、日本の改革を25年までに完遂し、コア営業利益500億円のレベルの安定した稼ぐ力を確立すれば、資生堂グループとして新しい挑戦を続けるためのポジティブサイクルが出来上がる。必ずやり切っていきたい。

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